●「武田理沙~フランク・ザッパ・メドレー関西初演」 武田さんと筆者が10月26日、大阪の神山町のALWAYSにて対談します。
●フランクフルトの思い出、「マインツァー・ラント通り」
ルセデス・ベンツの会社の建物がザッパの宿泊したホテルの斜め前にあったが、ドイツでは日本で思うほどベンツは高級ではないのか、フランクフルトから目当てのザッパの『ザ・イエロー・シャーク』の初演を3日連続で見た翌日、サイモンさんがつかまえた女性が運転するベンツのタクシーで飛行場に向かった。



d0053294_22402170.jpgそれはさておき、フランクフルトに着いてすぐ演奏会が開かれる旧オペラ劇場(アルテ・オーパー)を確認することにし、昼の食事を済ませた後、サイモンさんと筆者と息子の3人はホテルに荷物を置いてそこまで歩いた。筆者らが泊まったホテルがマインツァー・ラントという名前の大通りをほんの少し北に入ったところにあることは先日書いた。サイモンさんがそこを予約したのは、アルテ・オーパーになるべく近いところでしかも安さを考えたからだろう。ホテルとアルテ・オーパーは同じ大きなマインツァー・ラント通りにある。11日の投稿に掲げた3枚目の写真からは見えにくいが、ホテル前を走る路面電車の線路は、中央駅方向に90度曲がり、直進しない。そのため、筆者らは中央駅に向かう交差点に入ったところで下車して、北東に伸びるマインツァー・ラント通りを歩いたが、アルテ・オーパーまで交差点から1キロほどだ。フランクフルトはサイモンさんも筆者も初めてで、古い石造りの建物や真新しい高層ビルを眺めながら、ところどころで写真を撮った。今日は息子のアルバムに貼ってあるそれらの写真から選び、グーグルのストリート・ヴューでの現状を比較するが、ストリート・ヴューは2008年夏の撮影で、16年の差がある。大阪の御堂筋沿いでも大きなビルが毎年のように建て変わるので、フランクフルトはその勢いがもっと大きいと思うが、今フランクフルトの同じ通りを歩いても25年前とどのように違うかはわからないはずだ。京都の四条河原町や新京極、寺町の商店街といった繁華な場所は、毎月のように新しい店がオープンし、以前がどういう店であったかは即座に思い出せない。だが、そのように変化が著しくても、同じ場所であることは他の大部分の店を覚えていることでわかる。これは人間が少しずつ老いて行っても、以前と同じ人物であることがわかるのと同じことで、街にも人にも固有の雰囲気がある。マインツァー・ラント通りも同じで、25年程度では流れている空気に違いはないだろう。あるいは25年も経てば以前と同じ街とは思えない人もあるだろうが、街を代表する歴史的な建物や場所があれば、全く別の街になる変わることはない。京都で言えば寺社がそうだ。それらがなくなれば、ただのどこにでもある街で観光客は来ない。フランクフルトではレーマー広場がその代表で、アルテ・オーパーもその一例だ。新しいオペラ劇場があるので、古い方はもう不要と日本では考えるかもしれないが、古いものをなるべく使おうというのがドイツのようで、アルテ・オーパーでは今でも演奏会がある。日本では古い建物はコンクリートの寿命とされる60年を待たず、時には20年ほどで壊してしまう。新しく大きな建物が建てば、以前のものは不要とされるが、それは古い建物は耐震工事を施す必要があり、また歴史的な建物として保存するほどにはデザインが優れていないという考えによる。
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 日本の建築家の中に世界的に見て優れたデザインで設計する才能がどれほどあるのかないのか、ハンス・ホラインの現代美術館を思うと、そのいかにもウィーンらしいたたずまいに感心し、日本らしさとは何かと思う。バブル期に日本の建築家は大いに活躍の場があり、ポスト・モダンという謳い文句で奇抜な建物が各地にたくさん出来たが、バブル崩壊後のそれらで今も価値があると認められる建物がどれほどあるだろう。そして、その後の建築ブームの下火によって、もはや実験や冒険は夢となったようだが、次の東京オリンピックに際して国立競技場のデザインを国際的に募った後の経緯は、日本の新しい建物に対する一種の保守性を見事に示した。イランのザハ・ハディッドのデザインが退けられ、彼女はその後に急死したが、代わって採用された案は意識に残らないほどの無難なものだ。ザハの建築が日本に似合うとは筆者もあまり思わないが、強烈な印象を与えつつしかも街に似合う建物をもっと建ててほしい。それを日本のどの建築家も考え続けていると思うが、日本らしさをどう捉えるか、またそれを新しい建築でどうデザインするかは簡単な問題ではない。国民の考え自体があまりにもまちまちであるからだ。阪急電車で京都から大阪に向かう途中、新しく出来た10数戸の家並みがスペイン風のデザインでまとめられているのを見ると、もはや若い世代が日本らしさを求めていないことがわかるが、金持ちの家を紹介するTV番組でもそれは同じで、ヨーロッパから輸入したシャンデリアやソファを初め、車庫には外車ばかり、畳の部屋は皆無で、どの部屋も欧米ないし国籍不明のデザインとなっている。それが日本の成金の象徴で、本人たちは自分を成功者と思っている。その趨勢は今後減退することはなく、ほぼすべてがそうなって行くだろう。そしてそういう家が成功者の証となれば、街全体も同じ臭いを発散するようになる。その国籍不明の街並みが日本らしさとしてバブル期には世界の建築家が注目したこともあったが、折衷主義の行き着くところの真の雑多と言えばいかにも未来を先取りしているようで聞こえはよくても、裏を返せば理念がないことであって、烏合の衆の国家ということになる。この話をし始めると明治維新に行き着くが、日本語を捨ててフランス語を公用語にすべしと言った志賀直哉の考えが実現していたならば、今頃日本は小フランスになっていた。そうなればなったで、国民が幸福であれば何ら問題はないという意見が大勢を占め、幸福すなわち平和すなわちみんな食べることに事欠かず、争いもないという国であれば、以前の風習その他をいとも簡単に捨て去る。人間とはそういうものだ。日本はその点において、ゆっくりあるいは急速にかはわからないが、日本らしさを保持するという考えは少数派で、100年しない間に寺社以外の建物はすべて欧米のそれと区別がつかなくなっているだろう。そのことで誰も困らないのであればそれは正しいこととみなされる。
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 ヨーロッパの歴史都市を訪れた人はそれと日本の街と比べて、日本はもう少しどうにか街のたたずまいに関してもっと敏感になって統一性を作れないものかと思う。だが、日本は地震が多発し、家は消耗するものと考えて来た歴史が長い。それでは世界的に見て国力の劣りにつながるので、鉄筋コンクリートはやむを得ないところがあるが、一方で法隆寺がなぜ地震で倒壊しないのかと思う人があって、木造建築が鉄筋コンクリートにあらゆる面で劣るとは言えない。そこをもっと掘り下げれば、現代にふさわしい木造住宅が出来るような気がするが、明治維新から150年経って、もはやそれ以前に戻ることは無理になっている。伝統は途絶えれば復活は困難だ。東京でも大阪でも高速道路が川に上を走るという醜悪な光景に何も感じないことが今後改まるかと言えば、これから人口減少に向かい、国力が縮小して行くのであればもう無理だ。風風の湯で新聞記者をしていた81歳のMさんとそんなことをよく話すが、日本は戦後かなり無理をして来て、高度成長の影の部分をこれからじっくりと時間をかけて人に優しいものへと直して行くべきだ。東京の日本橋の上を走る高速道路は撤去されるようだが、大阪も水の都という名称を誇示するにふさわしい河川のあたりまえの眺めを市内では取り戻してほしい。さて、フランクフルトでは高層ビルが林立するが、高速道路がマイン川の上を走るという未来的か馬鹿げた光景はない。古い建物に斬新なデザインの建物が違和感なく同居し、過去と未来に明らかにつながっている街であることがわかる。今日の最初の写真はマインツァー・ラント通りのトラムの線路のない交差点から100メートルほどアルテ・オーパー寄りの北側だ。人物をかたどった看板が208mの表示を掲げていて、それが面白いので撮った。これは208メートルの高さにまでビルが建つとの意味と思ったが、ストリート・ヴューで同じ場所を確認した2枚目の写真ではそうではないことがわかる。では標高かと思えば、フランクフルトは112メートルで、このビルの高さが90メートルもない。ともかく、16年の間にどのように変化したかは2枚の比較でわかる。筆者が訪れた時はビルを建築中で、その前の歩道と車道の間に柵のようなものがある。また巨大な逆さのネクタイの彫刻が道路際に設置されたが、これは背後のビルが衣服関係の建物かと言えば、そうではないようだ。また16年の間に街路樹が大きく育った。3枚目は道が左手に少し曲がる場所の交差点で、右はヴェサー通りだ。突き当たりにアルテ・オーパーが見えるので撮った。4枚目はストリート・ヴューの同じ場所だが、車道からの撮影なので、3枚目とは少し角度が違う。4枚目の左上の黒い斜線は信号を支える棒で、1992年とは信号の位置が変わった。また中央分離帯が出来ている。最大の違いは3枚目右端の昭和を感じさせる6階建てがガラス張りの高層に変わったことだ。左端の石造りの古い建物は法律事務所だが、今後もそのままであってほしい。
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by uuuzen | 2018-01-15 23:59 | ●新・嵐山だより


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