●銅のような夢
はどおってことはない。やっぱり金だろと、拝金主義のまかり通る世の中だが、金は金メダルで、どうせ出場するなら銅より金だ。



金メダルを獲れば金もたくさんもらえるから、ドーピングして寿命が多少縮もうが金メダルがほしい選手が多いらしい。風風の湯で常連の82歳のMさんと先日そんな話題になって、Mさんは運動選手にドーピングを認めてもいいではないかと言った。その理由は訊かなかったが、禁止してもやる奴はやるし、いっそのこと問題視しない方が人間の運動能力の限界がわかっていいとの考えだろう。それに薬物で身体を壊しても自己責任との思いもある。金メダルを獲得して歴史に名を留めたいと思う気持ちはわからないでもない。誰よりも秀でようと日々懸命に努力しているのであるから、銀や銅では駄目で、絶対に金で、自分の記録が破られない限り、人々の記憶に自分の名前と記録が刻まれる。運動と違って、芸術では作品コンクールは別にして、誰が、何が一番ということは原則的にはない。そのため、芸術に関心がない人も多いだろう。好きなことを好きなように表現していることを、他人が面白いと感じるかどうかは、表現者が金をもらわない限りはどうでもいいことだが、世の中はそのような単純なことでもない。たとえばこうしたブログでは、今はあまり見かけないが、ブログランキングへの参加者には、「いいね」のボタンをクリックしてほしいと思う人がある。一種の名誉欲だ。それがブログの投稿を持続させ、本人の生き甲斐となるならば、いいことだ。そしてランキングの上位を保つことが金になるのであれば、なおいい。家内は筆者が何をしている時が一番楽しいかと最近訊いた。改めて思うと、さして何もない。いいことよりも面白くないことの方が多いかもしれない。あるいは、ほとんどの時間はいい気分で過ごしているが、ほんのわずかな癪に障ることが心の中で拡大視され、家内からは筆者が不機嫌に見えるのだろう。で、その不機嫌が何に起因するのか家内にわからない。たまに筆者はその理由を言うと、なるほどと納得するが、面白くないことは消えてはまた湧き上がる。その原因はさまざまで、また規模も大小あるが、不機嫌でいると自分が損なので、本能的になるべく忘れようとする。そして普段の筆者は家内がつくづく言うように、とても陽気で、そういう筆者であることがとてもよかったと言う。だが、不機嫌さの原因の解消がうまくなされない場合が多々ある。そのうちにそれも忘れるが、意識の底で澱のように積もっている。そしてそれが無意識の夢の中でふと浮かび上がり、目覚めている時には想像もしない映像や会話とともに出鱈目な物語、場面として蘇る。その中の強烈なことは目覚めても覚えているし、またもっと迫力のある夢では何年経っても忘れられない場面がある。以前にも書いたが、そういう夢の中での一種嫌な気分は、目覚めている時の理性に何らかの影響を与える場合がある。つまり、人間はあらゆる出来事に対処しつつ、それらの出来事から精神的に影響を受け続ける。それから逃れられるのは、たぶん認知症になるしかないと想像するが、認知症の人でも眠っている時に悪夢を見るだろう。
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 筆者は最近よく夢にうなされるらしい。家内が深夜に筆者を揺り起こすことがあるが、筆者が何事かを口にするかららしい。その自分の言葉で筆者は家内が筆者を揺する前に目覚めることも多いが、すぐにまた眠りにつき、今度は違う夢を見る。家内は眠っている筆者がほとんど意味不明のことを語ることが不安のようで、筆者に何か嫌なことを抱えているのかと訊く。そして、筆者の脳に多少の異常が生じ始めているのではないかと心配もするが、そうであったとして、どうしようもない。本当は病院で検査してもらうべだが、自分の体調は自分が自分の隊長であるからには、一番よく知っている。また、そうあるべきで、医者に全面的に委ねるのは間違いだ。それはさておき、筆者に心配事がないわけではない。あってあたりまえで、それを次々に処理している。どうにもならないことはひとまずそのまま放置するが、これも誰しもそうだろう。筆者の心配事は心配というほどのことでもなく、たいていはいつでもすぐに処理出来るが、気にならないのでそのままにしている。ローンはもうないので、わずかな年金暮らしではあっても、金の心配はしていない。家内にすれば経済的な余裕があった方がいいが、60代半ばになればもう諦めるしかないし、それに金がたくさんあっても使い道がない。あればあったで使う筆者は億単位の金があっても今と生活や気分は変わらないはずだ。これは心配事ではないが、最近ある漢詩の一語の意味がわからず、2,3日悶えた。ついに重い腰を上げて歴彩館に足を運んで調べたが、それでもわからなかった。さてどうしたものかと、また振り出しに戻った気分でいると、ふと思い当たった。数日の苦しみが一瞬で消え、とても気分がよくなった。筆者はわからない何かがあれば、これまで必ず自力で解決して来た。そういうことはつい数日前にもあった。250年ほど前の儒者の一行書のうち、2文字が読めなかったのだ。それも2,3日間考え続け、急に閃いた。4文字から類推した景色に合う言葉を探して残り2字を突き止めたのだ。そのように苦労して判明したことを、他人は一瞬で読んで納得し、次の瞬間にはまるで自分が最初から知っていたと思うことがある。書かれたものを読むことにはそういう自惚れをもたらす効果がある。それはともかく、数日要して判明したことは、大きな自信につながって、気分がよい。そのため、嫌な夢を見る原因がわからないが、以前の嫌な思いや後悔があるからだろう。公開や航海はよくても、後悔はしても始まらない。と、銅メダルにも及ばない駄洒落を書くが、そう言えば銅では駄目で最近鉄を買った。筆者は昔銅版画を一時していたこともあって、LPジャケット程度の大きさの新品の銅板を数枚持っている。その銅板をほしい寸法に切って使ってもよかったが、切る道具がない。それに鉄の方が強度がある。目的の寸法のものを1枚入手したが、取り付け用の穴を数個開けるためにドリルが必要だが、木工用しか持っていない。それで、鉄板は放置しているが、そのような日常の些事の多さが嫌な夢の原因かもしれない。
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 現実の中で夢のような光景に出くわした。11月19日の日曜日は、「関西文化の日」で美術館などが無料で見られた。それで家内と梅田に出て、国立国際美術館などを見て梅田に戻ったが、往路は利用しなかった堂島地下商店街を歩いた。地下にくぐると、初めてのことだが、どの店も閉まっていた。賑やかであるはずの地下道がそうではなかったことは、夢の中での光景に感じられ、家内がトイレに行っている間に筆者は写真を1枚撮った。梅田方面に向かって歩いて行く人は途切れないが、向こうからこっちにやって来る人はない。歩き始めて、ある店のシャッターに貼られた紙でその日は全店が休みであったことを知ったが、それでどの店も閉まっている不思議な光景を何とも思わなくなったかと言えば、地下に下りた時に味わった驚きは消えない。他愛もないことではあるが、そういう奇妙な感覚は、夢の中で見る光景に感じるものと似ている。同じと言ってもよい。その普通にはあり得ないことを表現すれば、超現実主義の作品になるだろうが、夢の中の理性の眠りゆえの出来事を、目覚めている時に表現することにどれほどの生産性があるのかと筆者は懐疑的だ。だが、先に書いたように、理性が働いている間にも、心の奥には夢で見た嫌な感じはいつでも蘇り得るから、理性のみで作品を作ったと思ってもそこには自分が知らない間に夢の感覚を表わしてしまう場合があるだろう。何が言いたいかと言えば、超現実主義などとおおげさなことを言わずとも、現実が充分に夢のようであり得ることだ。筆者が求めるのはそういう芸術表現のあり方で、それを日常の些事の連続の間に考えている。今日はそのことを書くつもりで書き始めたのではない。まず写真があり、その2枚にかこつけて何か書こうと思ったに過ぎないが、2枚目の写真は今日また家内と同じ国立国際美術館に行く往路で同じ場所で撮った。およそ1か月ぶりに訪れたが、いつものようにどの店も開いていた。それで1か月前に撮影した同じ場所だと思って、来た道を振り返って撮ったが、カメラのシャッターの反応が遅く、中央に若い男性が大きく入ってしまった。それはいいとして、この写真を撮る際に気にかかったことがある。写真の左端に作業服を着たマスク姿の年配者がこちらを向いて立っている。その男性は筆者が撮影し終わってもなお筆者を凝視していた。それが何となく気まずいので、そそくさと筆者は家内と近くの出入り口から地上に上がったが、展覧会を見た後、また同じ地下商店街を歩いた時にはその男性はいなかった。どうでもいい些事の最たることだが、そういう些事の連続に心は少しずつ反応し、無自覚の領域に何らかの形で蓄積される場合がある。また何が言いたいかと言えば、2枚目の写真はいつもの見慣れた、大阪の地下商店街では銅メダル級のドーチカの写真ではあるが、そこに今までに遭遇したことのない奇妙なおじさんが写り込み、また筆者は撮った自覚はないのに、中央に若い男性も見える。つまり、見慣れた場所の光景が夢のような様相を呈している。こういうことを思い詰めて行くと、鬱病になるのかもしれない。筆者はその気がなく、嫌な夢もどおってことはないと高をくくっている。
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by uuuzen | 2017-12-23 23:59 | ●新・嵐山だより


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