付属のファイルをダウンロードすると、MP3の音源で、筆者のパソコンでも聴くことが出来た。2分57秒のザッパのギター・ソロが今日は1か月ぶりに届いたアレックスのメールに添付されていた。
いつものように画像はなく、この音源だけで、文章も短い。もうあまり書くことがないのだろう。今回はファンのリクエストに応じてのことで、1か月に最低一度は何かを報告するという義務の思いからだ。ギター・ソロは80年代半ばにザッパがマスター・テープを用意したらしいが、「イリノイの浣腸強盗」の中間ソロで、どこでいつ録音されたのかわからないらしい。熱烈なファンなら調べられるだろうとのことだが、海賊音源を豊富に持っているファンならわかるだろう。ドラムスが安っぽく聞こえるので、録音機材かテープ速度はあまりよくないのではないか。2作目のギター・アルバム『ギター』の冒頭曲で、「イリノイ」の中間ソロである「セクシャル・ハラスメント・イン・ワークプレイス」の別ヴァージョンと言ってよいが、ブルースっぽさは少なく、ザッパの個性がよく表われた別の曲だ。キーボードの音は「セクシャル・ハラスメント…」とそっくりなので、同じバンドの81年の演奏だろう。ギター・アルバムの編集のためにいろいろとソロを選んでいる時に見出したもので、結局そのアルバムには含めなかったのだろう。それはさておき、アレックスは最後の作業に入っているらしい。今は映画『BABY SNAKES』のフィルムをどうにかしているようで、ザッパが編集からカットしたものを整理しているのだろう。今回の文面の最後には、もうすぐ完成するザッパのオーディオ・アンド・ヴィジュアル・デジタル・ヴォールドへのパスが与えられるとあって、これはどのような形になるのかさっぱり想像がつかないが、今回のギター・ソロのように画面にダウンロードないし視聴可能なタイトルが、今度はずらりと並んだ画面に変化し、それに自由にアクセス出来るという仕組みではないか。アレックスへ提供した資金に応じて、その選択出来る数が違って来るのかどうかだが、ダウンロード出来ればそれを他者に配布する者が出て来る。一部の人に公開しても、それはやがて誰でも入手可能なものとなる。とはいえ、今回のギター・ソロのように、真っ先に楽しめるのはよい。こうしたことにアーメットはどれほど許可を出しているのかが問題だが、そこはアレックスが集めた資金が多少はザッパ・ファミリーに流れ、それに応じた部分はアレックスの自由にさせるだろう。一方、こうした未発表音源や映像のデジタル化はジョー・トラヴァースが主導していて、ザッパのテープ収蔵庫から発掘される内容によって、アルバムやDVD用に回すか、あるいは今回のようにさほど重要でないと思われるものは支援者に無料で聴かせたり見せたりするのだろう。つまり、あまり重要でないものが支援者に提供されるような気がしている。デジタル・ヴォールド・パスは聞こえがいいが、その内容は当然すべてのものではない。それに音や映像の質も落とされるだろう。