パッと見ただけでわかるという具合にパソコンのあらゆることが出来ているかといえば、案外そうでもなく、まずは覚える必要のあることが多い。筆者はUSBスティックなるものを初めて今回手にした。
ネットで調べると、いろいろな容量の商品が出ているが、今回の容量をぎりぎり収められるものがいくらほどするのかわからない。一方、アマゾンのこのボックス・セットの購入者の評価をみると、まだ日本語によるものはない。英語で書かれたものが数件あって、その最後は星が4つで、文章は辛辣だ。それはザッパ・ファンならだいたい誰でも思っていることで、簡単に言えば原価が安いはずなのに、ザッパ・ファミリーは儲け過ぎではないかということだ。そして今回のUSBスティックは2ドル程度のもので、ボックス・セットひとつ当たり70ドルの利益を取っているだろうと書いてあった。これが5000セットでは3500万円で、これが暴利かどうかは判断の分かれるところだ。筆者は5000セットしか世界で売れないのであれば、その程度の利益がザッパ・ファミリーにあってもいいと思う。年にそう何度もない新譜の発売で、ザッパ・ファミリーの収益は驚くほどでもないだろう。アマゾンのその投稿者は、兄弟喧嘩をせずに両親の意思を尊重しろとも書いているが、前者に対しては同感だ。金のことで揉めるのはよくない。だが、先日も書いたように、そういう事例は古今東西どこにもある。また、日本のアマゾンではもう品切れになっていて、あまり数が入って来なかったと見える。評判がよければアーメットはまた追加生産するはずだが、5000に満たないのであれば無理かもしれない。原価に見合った商品の価格にすべしというのは理解は出来るが、前例のない商品であればそこは役得であって、今回の100ドルの価格は妥当なもののような気がする。それは限定商品と聞くからでもある。また、USBスティックは、内部の情報が簡単にコピー出来るはずで、アーメットはそれを思って5000が妥当と判断したのではないか。つまり、同じ数かそれ以上の数が購入者によって複製され、それがネット・オークションなどに出回る可能性がある。そのリスクを思えばなるべく高く販売したくなるだろう。今回のUSBスティックに入っているデータの容量を調べると、13.9GBで、また今年8月11日に作成したことがわかる。0:05:37は0時5分37秒に完成したのか、あるいは5分37秒要したのかわからないが、いずれにしてもデータを送り込むのは短時間のはずで、原価は本当に2ドル程度ということになりそうだ。この約14GBをパソコンに取り込むとなると、筆者のデスクトップ型はメモリが3GBで、全く無理だ。今はテラ・バイトの容量のハードディスクを搭載したパソコンが普通に売られているが、そこまで必要なデータは筆者にはない。
筆者が心配するのは、USBスティックはかなり小さくて軽いので、どこかに紛失してしまうことだ。たぶんそういう人が必ず出て来る。そのためにも複製しておくべきだが、筆者はUSBスティックを買ったことがなく、複製出来るかどうかわからない。また、その手間を考えると、なくさないようにこのまま使い続けようと思うが、パソコンの故障その他の理由で、USBスティックの機能が壊れることもあり得るような気が一方でしていて、やはりコピーしておこうかという気になる。CD-Rに焼くと枚数が多く、またCD-Rはいかにも海賊盤のようで味気なく、その盤を大切に使う気が湧き起こらない。そこで一番いいのは、やはりこのまま大切に使用すればいいということだが、先日も書いたようにステレオで鳴らすことが出来ないのがさびしい。最近のステレオでパソコンにつないでUSBに入っている音楽を鳴らす装置を接続するものがあればいいが、そんな話は聞かない。CDプレイヤーが安価に売られるようになったので、そこにUSBを接続出来るようにすることはあまり技術的に困難ではないような気がするが、今回のような商品が一般化すると、家電メーカーが競ってそういうプレイヤーを売り出すだろう。ともかく、筆者は時代遅れの人間で、またそれでもかまわないと思っている本当の時代遅れだが、どうにか今回のUSBスティックに関してはファイルを開いて好きな演奏を流すことが出来ることがわかった。その方法は次回説明するとして、昨日のザッパ仮面の続きを書く。昔筆者はザッパ仮面をギリシア・アルカイック期の彫刻を参考にし、紙粘土で作ったことがある。そしてその写真を撮って写真店にジグソー・パズルに加工してもらい、それを4分の3ほど組み立てた状態の写真を撮って、その白黒コピーをイギリスのファンジンの運営者に手紙つきで送った。そのファンジンの表紙に使ってほしかったのだ。返事がなかったので、どうなったのか長い間知らなかったが、何年も経ってから筆者の思いが遂げられていることを知った。筆者の送った白黒コピーはそのままファンジンの確か最終号の表紙に採用された。そのファンジンは今はネットで名前をそのまま転用して「T‘mershi Duween」となっているが、ふたりいた編集者のひとりが亡くなり、またネット時代が始まったので正確には「Son ofT‘mershi Duween」、また「IDIOT BASTARD SON」と謳っている。つまり、筆者の作ったザッパ仮面は、アナログ時代のザッパのイギリスのファンジンの最後の表紙を飾った。アメリカにもファンジンはあったが、今一番頑張り続けているのはイギリスだろう。アメリカの大西さんがザッパ・ニュースを送ってくれるそのソースもそこからのものが多い。それはさておき、筆者の作ったザッパ仮面は、今回の仮面のように目玉や口が空いておらず、また目玉は前述のようにギリシア時代のコレ像を模した表現だが、ザッパに見つめられているのは落ち着かないので、いつの間にか節分の豆を買った時についていたミニの鬼と福の仮面を左右の目玉にかぶせた。今日はその写真を載せておく。
さて、先ほど大西さんからメールが届いた。3枚組CDのカタログ番号に「K」がついていることについて、海外のファンが分析している。そのKはFRANKのつづりの5番目だという。なぜ5番目なのかだが、USBスティックには77年10月28日、29日、30日、31日という4日にわたる計6つのステージが収録されている。それらを順にF,R,A,Nと命名すると、3枚組CDのボーナス・トラックはKに相当するという考えだ。ただし、これが正しいかどうかわからない。それはともかく、今日は初めて28日のSHOW1を通して二度聴いた。「拷問は限りなく」はギター・ソロがまだ穏やかで、ウォーミング・アップを感じさせる。驚いたのは「YO MAMA」のギター・ソロが海賊盤に入っていた「スクワーム」で、ザッパはこのニューヨークでのハロウィーン・コンサートの初回に早くもギターの名演を得ている。ほかの作業をしながらすっかりBGMとして聴いているので、心を留める箇所が少ないが、それは3枚組CDとほとんど同じ曲が同じ順序で演奏されるからで、アマゾンの評価欄にも書いてあるように、このボックス・セットはかなり熱心なザッパ・ファン向きだ。細部の細部の違いを研究する人向きで、筆者はそのタイプではないので、音の環境作りにちょうどいいと思っているに過ぎない。そうであっても、ふとした拍子に、ザッパの輝かしい演奏する姿が彷彿とし、落涙しそうになる。そう思えば貴重な贈り物で、100ドルは安価ではないか。