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●南観音山に乗る、その2
んで楽しいと思われる文章は少なくても楽しんで書いたものであるはずだが、摂氏30度の部屋でこうして書こうと決意することは多少の苦行の気分を伴なう。



●南観音山に乗る、その2_d0053294_00095337.jpgそれで無理して楽しさを装っても行間にそれは滲み出るはずで、いつもどおり、思いのままを連ねるしかないと思い直す。さて、一昨日からは3階のデスクトップのパソコンではなく、1階のわが家で最も涼しい場所、それでも30度はあることは先に書いたとおりだが、そこに置いてあるノートパソコンで書いている。キーのタッチがとても柔らかいので、最初はかなり面食らったが、何となくそれも慣れた。筆者は順応性があるのだろう。嫌なものは何が何でも嫌だが、食べ物に関しては全くそれがないし、住まいその他の粗末さも平気だ。ただし、嫌な人間は顔を見るのも嫌で、好き嫌いが激しい。ただし、それはなるべく相手には見せない。それでも相手は感じているはずだが、表立っては何事もトラブルがないように物事は進んでいる。それは大人、あるいは京都という土地柄だ。ま、ここで筆者が嫌いなタイプの人間の例をあれこれ挙げても読者を嫌な気分にさせてしまうであろうから、話題を変えるが、いったんこうして話題が始まったからには、これから書く内容も多少は左右される予感がある。ま、それも暑さのせいにしておこう。さて、京都は外国人観光客が急増し、嵐山のわが自治会には空き家を民泊に利用する動きが加速化している。最近筆者はわが自治会内をくまなく歩くことがすっかりないので、どこがどのように工事中であるか知らないが、先日風風の湯で自治会内のとある人に出会って湯舟で世間話をした。70代半ばの男性で、以前は民泊をしていたのだが、近年はそれをやめたと思う。その男性が話すには、隣家とその隣りは長年空き家であったのが、最近改修工事が始まったそうで、近いうちに民泊として営業するとのことだ。当然法律を守っての工事その他で、その男性は文句を言うことも出来ないし、またそのことをわかっているが、それでも不満がたまっているようで、筆者にその思いのたけをぶち撒けた。しかもその話し声が風呂全体に響きわたる大きなもので、筆者はそのことに顔をしかめ、早々に話を打ち切った。その男性が言うには、隣家の裏手のベランダが喫煙コーナーとなるそうで、その煙が漂って来ることにまず不快感があり、またそのベランダを乗り越えて宿泊客が侵入して来るのではないかとの恐怖心があるとのことだ。そして、自治会で何らかの規則を作り、自治会長が抗議すべきではないかとも続けた。筆者はもう自治会長ではないので、その話を自治会の会合で話すことは出来ないし、またするつもりもないが、何でも自治会にというのは困りもので、そうした各町内のことは町内でどうにかすべきだ。あるいはその男性自身が言えばいいことだ。その男性が大きな声で訴えたことは、外国人観光客、特に香港や台湾、中国、韓国といった連中は、何をするかわからず、おそらく平気でベランダを乗り越えて侵入して来るだろうということであったが、さすが筆者はその言葉に閉口した。というのは、周囲にそういう観光客がたくさんいて、中には日本語のわかる人もいるであろうからだ。外国人観光客に敵意丸出しというのは、個人の勝手であるから、筆者がその男性にとやかく言うことではないし、また言ったところで考えを改める年齢ではもうない。筆者がふと思ったのは、完成した民泊に宿泊した外国人観光客の若い女性が、隣りに住むその男性がベランダ越しに侵入して来るのではないかとの恐怖を抱くのではないかということで、実際若い女性宿泊客が民泊の経営者に犯されることは生じている。筆者はそのことを男性には言わなかったが、冗談で言ってもよかったかもしれない。そうでもしなければ男性は自分の考えが一方的であることに気づかないだろう。
●南観音山に乗る、その2_d0053294_00102661.jpg 日本も京都も狭く、人間関係は難しいところがある。それでお互い譲り合う精神が育まれて来たと言ってよいが、時にそれを逸脱する人がいる。それは若者に限らない。むしろ還暦を超えた老人に多いかもしれない。晩節を汚すという言葉があるが、それを自覚している間はいいが、そんな言葉があったことを知らない老人は多く、また知っていてももう今さらどうなっても好き勝手をやりたいと、つまりかなり精神が壊れている人もいる。政治家はだいたいそんなタイプの集まりだ。老化とは腐食でもあって、精神も腐って行くが、それを少しでも遅らせる、あるいは拒否し続けることは強靭な精神力がいる。それはともかく、腐っているものには誰も近寄らないから、おかしな老人は自然と孤独になり、またそのことでさらに腐るが、どうせ先は長くない。今面白い話を思い出したので書いておく。これも最近風風の湯で経験したことだ。筆者はサウナ室に3回繰り返して入ることにしている。1回当たり12分で、その直後に2分ほど水風呂に入る。サウナ室に2回目に入ろうとした時、下の段の中央に50代半ばらしき見知らぬ男性が座っていて、筆者はじろりと見つめた。筆者は上の段にいつも座るので、その男性の眼差しを一瞥してすぐに上の段に陣取った。するとその男性はすぐに筆者の方に振り返り、しげしげとこう言った。「お兄さん、ものすごく男前ですね。ヴァレンタイン・デーのチョコレートのお返しが名毎年大変でしょう」。筆者は一瞬返答に窮したが、「60半ばのおっさんをつかまえて何を言ってるんですか」と笑いながらに答えた。すると、なおもその男性は筆者も見つめながら、「いやあ、本当に男前ですね」。その話を後で家内に伝えると大笑いしたが、筆者もその男性が少し普通とは違って、どこか知恵遅れ的な風貌であったことを思い出した。だが、話す内容はごくまともで、四条壬生で鍼灸院を経営していると言った。また、仮に幾分知恵遅れ気味であったとして、そういう人は思ったことをそのまま口にする正直さを持ち合わせているであろうから、筆者に言ったことはあながちおべんちゃらとは言えないのではないかと家内に抗議した。鍼灸院経営であれば毎日いろんな人を見ているはずで、筆者の顔はその男性にとってよほど珍しいものに映ったのだろう。また、珍しいだけでなく、その人の考える男前の基準に合致していたことになる。ともかく、男からであっても、男前と言われて気分を悪くする男はいない。しかもとっくにそういう形容詞がふさわしくない65歳の筆者だ。家内に言わせると筆者はつんと澄まして近寄りがたい雰囲気を漂わせているらしいが、家内にそう言われるたびに筆者は、「男はそれくらいの方がええ」と返答し、また自分の顔を世間になるべく晒したくないことを再確認する。ネットでは筆者の顔写真は2、3枚は出ているが、それさえも本当は消去したいと思っている。
●南観音山に乗る、その2_d0053294_00105995.jpg さてようやく本題だ。南観音山は今日の写真からわかるように、赤がきれいな胴懸けをふんだんに使用し、これぞ京都という雰囲気があり、またいかにも観音にふさわしい。昨日書いたが、加山又造が龍に下絵を描いたが、それとそれを拡大して織り上げた胴懸けが、南観音山を所有する店の2階の壁面に飾られていた。店は大店(おおだな)と呼んで、町内では一番金持ちというのが相場だが、この大店は新町通りの東側にある。1階は300円を支払う小さなコーナーがあり、すぐに靴を脱いで2階に通じる階段を上る。そして2階はすべて祭りのために開放され、展示室となっている。昨日載せた最初の写真からわかるが、2階に上がって奥の部屋の東側に加山が描いた団扇の原画が展示されていて、加山が5,6年にわたって毎年3,4点ずつ描いたことがわかった。では、加山は数年にわたって描きながら、最終的に全部をどういう一揃えとして見せたかったのかと言えば、あまりその計画性は感じられなかった。つまり、同じ画題で同じような絵があった。これは加山があまりその仕事を重視していなかったからであろう。あるいは去年何をどう描いたのかほとんど記憶にないほどに多忙であったかだが、おそらくそうだろう。売れっ子の日本画家として加山は大きな人気を博した。筆者が京都に移住し、そして最初の友禅の師匠のもとを離れて染色工房に勤務し始めた70年代後半、工房にはたくさんの画集があり、また筆者がそこに入った頃の主催者は加山のファンで、加山の絵を模倣した下絵で帯を描いたりしていた。当時筆者は加山のことを皆目知らず、また分厚い画集によってその画業を知ってからも、加山の作品に関心が湧かなかった。琳派を現代風にアレンジしたと言えば聞こえがいいが、それは独創性の欠如でもあって、西陣の図案家なら大なり小なり、誰でも出来る仕事だ。加山のことについては何年か前にもっと書いたことがあるので、ここではこれ以上書かないが、加山は琳派の装飾性を、たとえば酒井抱一や芳中のように、自分の個性で多様化したとは言い難い。それは前述の団扇の絵を見てもわかる。それらは加山の絵と言われなければ、多少値の張る市販品と誰しも思うだろう。加山の本領は琳派の画風にはなかった。前に書いたように、裸婦の屏風などにある。だが、それではまさか祇園祭の胴懸けの図案には出来ない。男の本能のひそやかな楽しみを満足させるような加山のそうした危うい絵を加山が描いたことはとても勇気があったことを示し、その点において筆者は加山を評価するが、そうした一種の危な絵に名を遺すことは画家として不本意であろうか。加山はそうは思わなかったであろう。ただし、筆者は加山が描く裸婦を、たとえば菊池契月が描く女性像より上には置かない。エロスは見せびらかす女の態度にはない。隠したがるところにある。加山はそれを知っていたが、現代はもうそういうロマンが消えた時代と確信していたのだろう。そしてそれは正しい。
●南観音山に乗る、その2_d0053294_00113080.jpg 撮影しなかったが、団扇や龍の胴懸けが飾られる部屋の南の壁際に、大きな観音の坐像があった。どこかの寺に保存されているのか、あるいはその店にあるのか知らないが、かなり古いもので、南観音山の由来となるものだ。撮影禁止の表示はなかったが、撮影することが憚られた。仏像はむやみに撮るものではないだろう。搭乗客の何人かはその観音さんの前に座って拝んでいたが、それをすることも何となく差し出がましく感じた。また、南観音山にこの観音像があることは、北観音山にも別の観音像があるはずと思い、早速今度は北観音山に搭乗しようとばかりに、早々に1階に降りて北へと歩くと、搭乗不可の貼り紙があったことは先日書いた。ともかく、南観音山にこれほど大きな観音坐像があることを初めて知り、各山鉾ごとに同じような神仏の像があっての祇園祭であることを再認識した。昔は火事によってこうした守り神としての像が焼けてしまうことが多かったであろうが、その像だけが伝わる場合としては布袋山や鷹山などがあり、今後の山鉾の復興が期待される。またそうした像が焼失したとしても、また同じものを作って魂を入れればよく、信仰は心の問題で、形あるものに完全には左右されない。さて、今日の2枚目の写真は山の天井で、天井絵が描かれていると思ったが、緋毛氈が中央に貼りつけてあった。そこに絵があればもっといいが、加山が生きていれば依頼されたのではないだろうか。写真下に「北」の墨書があり、実際そこは北方を向いている。南観音山は新町通りを北に向かって進み、そして東に折れて南を進むが、5枚目の写真を見ると、前懸けの前に2本の太い綱が下がっていて、そこに男がふたり扇子を持って鉾の進行をつかさどる。今日の最初の写真の左端半ばに、道路際に設置されたガラス陳列ケースが見えている。その中に加山が描いた団扇を印刷した団扇が飾られていた。これはどうでもいいことだが、山に搭乗して1階に降り立った後、筆者は北に進んでいると思いながら、また南に向かった。その時、家内はもう四条通に戻って帰るのかと思ったそうだが、筆者は団扇が展示されるガラス・ケースをまた見ながら、『さっきと同じものが北にもあるな』と思いながら、30メートルほどその先を行き、そしてようやく南に向かっていることに気づき、家内にそう言った。家内は呆れ果てたが、筆者が方向音痴であることは昔から承知だ。家内の渋い顔を見ながら筆者は踵を返し、また団扇のガラス・ケースの前を通り過ぎ、そして北観音山に向かった。それが搭乗出来ないことを知った後、去年と風景が少し変わったかと思いながら、新町三条界隈をしばらくあちこち歩き回り、そして山鉾の最北である役行者山を見ることにした。その手前100メートルほどのところで大きな煙が上がっていることに気づいたが、それが護摩木を焚いているものであることはすぐにわかった。何しろ役行者だ。実際その山のすぐ近くに来ると、10名ほどの山伏が揃い、法螺貝を吹きながら、また真言宗の題目を唱えながら、道路の中央で護摩木を焚いていた。交通整理している警備員に誘導されて筆者と家内は人込みの横を北へと通り抜けて行ったが、山伏のすぐ近くには、黒い絽の着物を着て汗まみれになりながら護摩木の燃える煙を見つめる町内の関係者、また彼らを取り巻く形で、立ったままで両手を合わせて拝んでいる人たちが200人ほどはいた。役行者山を間近に見るのは初めてのことで、どの山鉾も昔からの習わしにのっとりながら、粛々と祭事を執り行なっていることがわかり、今さらながらに祇園祭の多様性を見た思いがした。
●南観音山に乗る、その2_d0053294_00120068.jpg

by uuuzen | 2017-07-27 23:59 | ●新・嵐山だより
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