後になれば事情が変わって思いが遂げられることがある。そうしたことで筆者は今年大きな収穫があった。どうしてもほしかったものが手に入らなかったのだが、事情を説明し、尽力してもらったおかげで筆者の手元にそれはやって来た。
ただし、それ相応のお金を支払った。そのことは家内に言っていないが、金に代えられないものがある。それは機会だ。それを逃せば莫大な金額を支払う用意があってもどうにもならない場合がある。筆者はそのあるかないかわからない機会を一か八かで試したのだ。すると、思いどおりになった。ただし、そうなることはどこかで信じていたところもあった。そのように信ずると思いは通じると言えばいいか、不可能なことでも実現する。そのようにして筆者はこれまで自分がほしいものは何でも手に入れて来た気がするが、手に入らなかったものはあまりほしくはなかったと諦めることも身につけた。どちらかと言えば諦める場合の方が多いが、それで特にほしいものが入手出来た時は世界が自分を中心に回っているような気分がして嬉しい。これは欲あるいは気は多いが、それがわずかにかなうことで満足出来る性格と言えるだろう。今朝TVを見ていると、40代半ばの独学の女性画家を紹介していて、彼女は絵がもっと売れるようになると、今は発泡酒を飲んでいるが、プレミアム・モルツを飲みたいと言った。「何だ、たったそんなことなら、いつでも飲めばいいのに」と思う人は多いだろうが、ささやかな欲望を抑えている時もまた楽しいものだ。筆者は彼女の思いがよくわかる。ただし、筆者は何かを我慢していることはない。おいしい酒は確かにいいが、なければないで平気だ。彼女の絵はアマゾンでも売られているほどで、独特の装飾的で幻想的な抽象画は一種の御守りの縁起物のように歓迎されている。ネットでは彼女の笑顔の写真が出ていて、30代半ばに不幸を経験したためか、どこかさびしげな美女といった感じだ。だが、そういう女性が画家に向いている。今後ファンは多くなり、プレミアム・モルツを毎晩飲めるようになる日は近いと想像するが、キャンバスや絵具などの材料費の捻出、個展開催の経費など、どの程度の価格で売るかで生活は差が生じる。アマゾンでは2万円程度の価格で同じような絵を量産しているようだが、今朝のTVでは画風がさまざまであることがわかり、なかなか感じのよい作品もあって、30万円ほどと言っていた。本人が全額受け取るならいいが、画家として売り出すには間に人が入るであろうし、本人の取り分がどうなるかだ。今の古そうなマンションとは別にアトリエがかまえられるだろうか。それよりも、TVへ顔を露出すると、美女であればまず男が寄って来るはずで、そこで彼女の運命が変わる。男運がよければいいが、その反対の場合もある。また男に騙されるなどの経験をすると、絵はさらに変化して画家として深みが出るかもしれないが、描くことをやめてしまう場合もあるだろう。そこで、表現者は強靭な性格であるべきで、また表現に最大の価値を置き続ける必要がある。ビールを飲むことと絵を描くことのどちらを取るかと彼女が問われれば、当然絵のはずで、そのためにも発泡酒で我慢出来ている。
昨日は雨で、今日は満月が見られないかと思っていると、昼間はよく晴れた。家内と自転車で嵯峨野に買物に行き、また白い花の写真を撮ったので、「梅雨入り前の白花」と題してさらに投稿出来る。午後5時半に風風の湯に行くと、8日もそうであったが、連休客の襲来が一段落してガラ空き状態であった。いつも筆者は2時間滞在するが、その間10人ほどで、2,3人しか利用していない時間帯もあった。これは風風の湯としては嫌なことだが、客は貸切状態で温泉を満喫出来る。風風の湯に出かける前にカメラを持参するつもりが、そういうことはしたことがないため、忘れてしまった。カメラを持って行こうと思ったのは、温泉から出た後、玄関前で駅方面を見ると、そこに満月が昇っているはずであるからだ。帰宅してまた外に出るのは面倒で、出たついでに撮影出来ればいいと思ったのだ。だが、予想に反して玄関前に立った時、満月はなかった。駅前でも見られず、雲が厚いことがわかった。露天風呂からは夕焼けが見えてきれいであったのに、それから数十分後に曇り空となった。そう言えば8日に風風の湯に行った帰り、夜空に満月に近い朧月が上がっていた。もう梅雨が近いか、梅雨と言っていい。それで、今夜の満月はもう無理かと思いながら、3時間ほどして外に出ることにした。後になれば事情が変わって思いが遂げられることがあり、雲の合間から見えるかと思ったのだ。いや、きっと見えると思った。すると、筆者の思いどおりの角度に思いどおりの満月が見えた。少しオレンジ色で、また少し雲があるのか、輝きは鈍い。その方が月の輪郭がはっきりと写る。毎月同じ場所で撮るので変化に乏しい写真だが、今日のは少しは雰囲気が違うか。先ほどの天気予報は、明日は午後から雨と言っていた。今夜は運がよかった。そうそう、今日は風風の湯では500円の生ビールが200円で、今日こそそれを飲みたいと思いながら、家内は入湯代しか持参しなかった。カメラもそうだが、筆者はどうしてもと思わない場合は何事もよく忘れる。つまり、風風の湯の休憩室で冷えたビールをさほど飲みたいと思っていないのだ。それで帰宅してビールを飲んだかと言えば、筆者はウィスキーが好きで、新しいのを栓を開けて飲み始めた。息子がいれば数時間でふたりで一瓶は空くが、ひとりではわずかでほろ酔い気分になる。ムーンゴッタもオレンジ色で酔っているようだ。