猟に出かける気分かもしれない。満月が出ているか出ていないか。一昨日から雨で、せっかくの満開の桜はもう散り始めている。先ほど風風の湯に行って来たが、その前の桜の林は見事にどの桜も満開になり、また花びらが地面に目立った。
小雨と言えないほどの少ない雨で、傘は差さずに済んだが、風呂から上がった時に雨がひどくなっているかもしれず、傘を持って出かけた。桜の林方面から中年の西洋人夫婦がやって来て、満開の桜に満足そうな笑顔を見せていた。風風の湯の露天風呂でも桜は満開で、その花びらが湯船にたくさん浮いていた。サウナ室の中にも2,3枚あったが、みな干からびてポプリのように縮んでいた。サウナに入った後、露天風呂に浸かり、浮いている花びらを1枚すくって、それをしわくちゃになった下瞼に貼りつけてみた。そして湯船に宇賀部全部の花弁を集めて、女性がするように美顔用のパックのように顔全体に貼りつけてみればどうかと、その自分の顔を想像した。露天風呂からは桜の木が老木から若木まで10本ほど見えるが、どれも満開で、絶好の日ではあるが、小雨が降っている。今日は満月なので、雨はうらめしい。だが、湯船に浸かりながら満開の桜と満月を同時に味わうことは出来ない。月の昇る方角が違うからだ。女湯でも無理だ。深夜になれば別だが、午後10時に閉まる。その頃はまだ満月は露天風呂からは見えない。それで最初から湯船で満月はあきらめているが、このブログのための満月の写真が撮れないことは癪に障る。雨続きはまるで春の嵐で、今日はネットで天気予報を見ると、夜でも降雨確率が50パーセントとある。これではもう写真は無理だ。風風の湯から上がって家に向かう時、2時間前より雨は多かった。明日は曇天とあるので、深夜になれば晴れ間が出るかもしれない。筆者の寝るのはいつも深夜2時頃なので、ひょっとすれば満月が出る瞬間があるかもしれない。そんなことを考えながら午後8時に外に出た。湯冷めしそうな寒さを多少覚えながら月が昇っているはずの方角を見ると、うっすらと白く見えている部分がある。その向こうに月が出ているのかもしれないと思いながら、カメラのシャッターを切ったが、それから5分ほど待っても月は見えない。雲はかなり分厚いが、場所によっては白い雲がたなびいている。やはり深夜になれば見えるかもしれない。そう思って家に戻った。窓の外に雨の音が聞こえ始めたので、もう無理かと思いながら、11時になった時、また獲物にありつけるかどうかの気分で外に出た。すると木陰の向こうが晴れて白い雲がはっきりと見える。少し歩を進めると、黒い雲の合間から満月が4分の3ほど見えた。風が強く、雲はどんどん月を覆う方向で移動する。それで慌ててシャッターを3回連続で押した。2回目に手ごたえがあった。きっと満月全体が映っているはずだ。だが、失敗もあり得る。それでまた雲の合間から満月が出るのを待ったが、黒い雲はかなり多く、当分は無理なことがわかった。それに、雨がぱらぱらと強くなって来た。不思議なものだ。今この瞬間に外に出れば満月が見られるという予感があったのだろう。そしてその写真を撮った瞬間、また雲にすっかり覆われ、もはやどこに月があるのかわからないようになった。本来なら満開の桜とともに撮りたかったが、その機会はなかった。家に戻って確かめると、予想どおり2枚目がうまく写っていた。写真をトリミングしながら、窓は風の音を立て、雨の音も聞こえる。そんな天気なのに今月もムーンゴッタの写真が撮れた。もう絶対に駄目と思う時でもわずかな幸運の機会はある。獲物がない状態で家路に着かねばならないと思っていたのが、二度目の猟に出かけてまんまと満月を確保した。とれとれぴちぴちのムーンゴッタだ。