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●ボーダレス・アートミュージアム NO-MA
続きなのでJR守山駅まで佐川美術館から歩けばどうかと、出かける前は多少は考えたが、筆者ひとりではなく、また真夏であるので、バスに乗るほかなかった。



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佐川美術館に入る前にバス停の時刻表を見ておいたが、筆者と同じ考えの人が割合いたようで、出発時刻10分前にバス停前に行くと、10数人が日陰になるベンチに座っていた。少し間を詰めてもらって座ったが、その後も数人やって来た。みんな車で来るとばかり思っていたが、電車とバスで来る人もいる。ネットで調べると美術館から守山駅までバス停の数が4つほどで、おかしいなと思っていたが、間の大半は記されておらず、実際は20箇所ほどあった。それに、最初は160円ほどであったのが、駅に着く時には480円に上がった。距離は6キロほどで、歩けないことはないので、480円は高い気がするが、田舎では乗る人が少なく、それくらい徴収しないことには経営が成り立ない。それはさておき、やはり堅田駅から歩いて琵琶湖大橋をわたり、佐川美術館に行ったことは、電車とバス代の節約になった。嵯峨嵐山駅から守山駅まで出て、そこからバスで美術館を往復すると、ひとり1000円ほど高くついたのではないか。それに筆者は同じルートを同じ方法で往復するのは好まない。家内はバス代が思ったほど高く、守山駅に着いた時はもう京都に帰ると言い張った。そのことは先日書いた。駅に着いたのが4時15分で、それから電車に乗って近江八幡駅まで行き、そこから初めて歩く道を通って前知識が何もない美術館に5時までに行けるかどうか、多少不安になったが、閉館は5時で、その15分前には着くだろうと思った。それは賭けで、もしも5時を過ぎていたならば、そのまままた駅に戻って京都に帰ることになるから、電車代も時間も無駄になる。それに家内の立腹度は頂点に達するだろう。筆者は出かける際には3つほどの予定を立てるが、京都市内をバスで移動するのとは違って、慣れない滋賀県で、また閉館ぎりぎりの展覧会を見ようというのであるから、普通は次の機会にしようということになるだろう。筆者も迷ったが、京都に帰ると言い張る家内をなだめ、近江八幡方面のプラットフォームに立った。5分ほどして電車が来た。3つ先の駅が近江八幡で、駅からどう歩けば最短距離かは、地図を印刷しておいた。それは6月に能登川駅に行く時についでに印刷したもので、それを使う機会が訪れた。ただし、改めてネットで地図を確認すると、ボーダーレス・アートミュージアムはその地図から100メートルほどはみ出たところに位置し、鉛筆で道路を描き加えたが、縮尺は当然出鱈目で、それがどれほど役に立つかは自信がなかった。
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 ボーダレス・アームミュージアムがいつの間にかMO-MAと呼ぶことを今回知ったが、この美術館が出来たのはもう10年前になる。出来た当時から関心があったのに、近江八幡は行ったことがなく、また駅から遠いようでまともに行くことを考えなかった。家内の兄の娘が近江八幡に家を建てて住んでいて、2,3年前にNO-MAについて話したところ、「そんな美術館があるとは知らなかった」と言われた。あまり有名でないのは確かで、美術好きにとってもちょっと特殊な美術館で、たとえば芸大を出たような人は無視するのではないか。それはもっぱら知的障害者などの作品を展示するからで、フランスで有名になった「アール・ブリュット」の芸術から日本でも注目され、いわばそういう芸術の専門の美術館になった。「アウトサイダー・アート」と言えばもっとわかりやすいが、美術史では捉えれない芸術だ。4年前に兵庫県立美術館でそうしたジャンルの外国の画家を数人集めた企画展があっが、それに日本版を思えばよい。だが、知的障害者に限らず、「アール・ブリュット」の概念に当てまる画家の作品を展示しているようで、日本ではここだけしかそうした施設はないだろう。そうそう、何年か前、演奏会を聴きに琵琶湖ホールに行った時、その広いエントランスの片隅にアール・ブリュットの焼物が数点展示されていた。それがNO-MAと提携した展示であったかどうか知らないが、関係はあるだろう。NO-MAに関しては6月にK先生の個展会場でも話題になった。その時、筆者は金澤翔子の書を話題にしたが、K先生はNO-MAの展示作品にも言及しながら、美術作品というものは知性が大事で、それがあまり感じられないものは評価したくないと意見した。これは難しい問題で、知性のある人が優れた美術作品を生むことが出来るかと言えば、全くそうではない。知性が抜群にあり、なおかつ造形的な表現技術が卓抜な者だけが巨匠になれるかと言えば、それもそうとは限らない。だが、K先生の言わんとしていることは筆者はよくわかる。知性というのは、知的な知識をたくさん持っていることでは全くない。その気になればいつでもそういう知識を貪欲に吸収出来る人が知性豊かと言っていいが、そういう人が偉大な芸術を造ることが出来るかと言えば、その確率が多少高いという程度のことだ。また、人間性を言い出すとさらにおかしなことになる。たとえば前に書いたことがあるが、アール・ブリュットを発見し、また自らもそういう絵画や彫刻を造ったジャン・デュビュッフェは、金にはがめついひどい男であったらしく、そういう男であっても世界的な名声を得るので、芸術がどういう人から生まれるとは誰にもわからない。それはともかく、K先生は京都市芸卒であり、やはりNO-MAに展示される作品を評価しないであろうという筆者の思いは当たっていると見ていいだろう。K先生の考えは当然で、誰もが入学出来る学校ではないだけに、知的さに欠ける作品を評価したくないだろう。NO-MAが出来る前からアール・ブリュット的な画家はいて、その代表は山下清やあるいはねむの木学園の子どもたちが描いた絵であろう。それらはそれなりによく知られ、今でもファンが多いが、そうした現実を踏まえてNO-MAが誕生して来た。
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 NO-MAは、「野間」に由来するとのことで、現地に行って初めて知ったが、この美術館は野間清六という有名な美術史家の邸宅を使用している。真向いにも野間の家はあって、地元では古い家柄であるのだろう。野間清六の名前を筆者は美術の本で何度も目にしたことがあるが、1966年に62歳で亡くなっている。古い美術の本を知っている人でなければ野間の名前は知らないだろう。筆者はてっきり鉄筋コンクリートの現代的な2階建て程度の小さな建物と思っていたが、昭和初期の木造建築だ。近江八幡は時代劇に使われるような古い家並みなどが豊富にあるようで、もう40年ほど前からいつか行ってみたいと思っていたが、家内の兄の娘夫婦に訊くと、そういう地区は駅からかなりあるとのことで、思い切って行く気になれなかった。それで、ひとまずNO-MAだけでもと思って、18日は無理して佐川美術館の次に訪れることにしたが、最初の計画では午後4時頃に着くはずが、佐川美術館で多少ゆっくりし過ぎた。さて、先日書いたように、駅から下りて左手にバス停が見え、ちょうど駅から出て来た筆者らを待っているようなバスがあったが、筆者らがそちらに向かって歩かないことを運転席から見ていたようで、バスは間もなく駅前を出て行った。それに、NO-MAのから徒歩10分のところに最寄りのバス停があるというから、それでは歩いた方が早いとも思った。印刷した地図によれば、とにかく北西目指して歩き、出町という地域まで行くと、そこからは美術家のポスターか立て看板があるはずと予想した。それは当たっていた。筆者が手描きしして加えた地図の範囲に入った時、NO-MAの企画展のチラシを貼った場所が目に入った。それを見逃すとまだ先に行っていたが、人どおりは少なく、また道は真っ直ぐで、そのチラシは目立った。それがあった四辻を右手に200メートルほど先がNO-MAであった。予想どおりに筆者が同館に着いたのは4時45分だ。4時半で閉館し、もう入れないという美術館は多いが、そこは頼めば何とかなると思った。家内は筆者の後方80メートルほどを着いて来るので、玄関前で家内が来るのを待ち、ふたりで靴を脱いでガラス戸を開け、すぐ左手のチケット売り場に行った。眼鏡をかけた若い女性がひとりいて、もう15分しかないといった、きょとんとした表情をされたが、事情をざっと説明し、とにかく15分だけでも見せてほしいと言った。今日の最初の写真は2階から玄関を見下ろして撮った。2枚目はNO-MAの玄関、3枚目はその向かい側の野間家で、この2枚は展覧会を見た後に撮ったので、午後5時5分頃だ。4枚目はそれから1時間ほど後か、駅に向かって歩いている時に見かけた古い郵便局で、今はもう使われていない。近江八幡の古き家並みはもう京都市内でもほとんど見かけないもので、景観を今後も大切にしてほしい。
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by uuuzen | 2016-08-27 23:44 | ●展覧会SOON評SO ON
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