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●祇園祭(前祭)の巡行―TVで見た若冲の「見送り」
界に変化を感じる。特に蛍光灯がたくさん灯っている場所に行くとそうで、明るいというより、市会全体が白く霞んで見える。蛍光灯だけでなく、自然光でも同じで、陽射しが強い場合、目の前の景色が煙で覆われているように感じ、家内に何度も火事の煙が漂っているのではないかと言う。



筆者は夏場の外出時はサングラスをかけるが、それをたまに外した場合、光の強さが眼前の眺めを白っぽく感じさせるのかもしれない。なるべくそう思うようにしているが、それでも最近はあまりに目の前が白く見えるので、白内障になって来ているのかと思ったりもする。だが、家内の兄や、最近久しぶりに話す機会のあったK先生の白内障の手術をした時のことを聞くと、手術前の見え方が筆者とはかなり違う。白内障というからには、眺めが白く見えることと筆者は思っていたが、そうとは限らないようだ。それはともかく、筆者の視力は確実に変化している。細かい文字が見えにくくなっていることよりも、数メートル以上離れた景色が煙で霞んだように見えるのは気味が悪い。それはサングラスをかけると気にならないが、部屋の中ではそうも行かない。また、白内障の手術はとても簡単で、10分程度で終わると聞くので、さほど筆者は今の見え方を気にしていないが、家内の兄やK先生の年齢になると手術が必要になるのだなと、何となく先に迫る老いゆえの体の変化を思うと鬱陶しい。それはそうと、先日の祇園祭の宵山で気づいたことがある。視界に関することだ。投稿の最初の写真はそのことを思いながら撮った。数年前に京都市は条例を作って市内の派手な看板を一掃した。特に河原町四条から烏丸までの間はそれが重視された。この件に関しては以前に比較写真を載せたことがある。正しく言えば、京都駅地下街での景観比較を写真で紹介する展示で見かけた写真を撮影したもので、その新旧の写真の撮影場所とほとんど同じところを同じく西を向いて、宵山で撮った。その写真からわかるように、四条通りのビルにあった縦に細長い看板はほとんど撤去された。ただし、緑地に白抜きで大丸百貨店の電飾看板のみはそのままで、これは緑色であるのでかまわないということと、大丸は四条通りでは最も目立つ建物で、その看板が目印になるとの判断だろう。見事にその看板以外はなくなって、視界がチカチカせずに落ち着いたものになった。これは京都は派手で何でもありの大阪とは違うのだぞという意識の賜物でもあるが、電飾看板で外国人観光客を喜ばせる必要のない、伝統を誇る京都ならではだ。一方、外国人観光客は大阪の道頓堀を日本で最も有名で訪れたい場所と思っているようで、大阪は大阪で目立ってナンボの精神で今後も邁進する。
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 四条通りから派手な看板を撤去するという考えは、祇園祭りも関係しているだろう。宵山のせっかくの山鉾の提灯が、ビルから四条通りへと突き出る看板の光や色合いによって全く目立たないでは、何が祭りかわからない。何度も書いたことがあるが、都会は毎日祭りをしているのと同じ状態で、京都の四条通りもその例に洩れない。だが、四条通りは祇園祭りでは重要な場所で、山鉾を目当てに訪れる観光客を喜ばせるためには山鉾が主役にならねばならない。それは、いくらビルが山鉾の高さを軽々と越えたとしても、見栄えだけは山鉾が最も派手である状態を保つべきで、ならば看板に遠慮してもらおうということになる。もちろんそれだけが理由ではないが、京都らしい落ち着いた景観を求めるのであれば、看板の色合い、大きさ、設置場所に制限を設けるという考えは妥当だろう。その改造にかなり金がかかり、それが個人負担であるとしても、みんなで選んだ議員が議会で決めたことにはしたがうのは本筋だ。派手さを競い合うときりがなく、ついには看板が店そのものよりも目立つとうことになるが、そうなれば最も目立つものはごく一時的なことになるか、派手なものばかりで結局どの看板も印象にあまり残らないということになる。祇園祭りの山鉾がそのような状態にあるのではないかとも言えそうだが、これはうまい具合にある一定の型の中に収まっている。これは祇園祭りを始めた町衆が申し合わせ、今の条例のようなものを作ったからであろう。山と鉾の違いがあり、また鉾にも舟鉾のような、直方体の本体ではない異形も混じるが、胴懸けなどの装飾品によって、そういう差はあまりに気にならない。それでいてどの山鉾もこれ以上は派手にはなれないという限界まで華麗と言ってよく、そこに京の町衆の美意識の凄さがあるが、そういう考えを現代に当てはめると、せいぜい街中の派手な看板を制限することとなって、ま、それだけでも進歩と言えば言える。何が言いたいのかと言えば、現代では祇園祭りクラスの統一の取れたお祭りをすることがもう不可能ということで、これは京都が伝統の遺産で食いつないでいることを一方では示してもいる。つまり、京都から神社や寺を除けば、見るものはないということだ。また、神社や寺に因む以外のものを求める観光客は大阪や東京に向かう。そういう住み分けでいいのかもしれない。とはいえ、京都も都会で、ビルの谷間の祇園祭りの山鉾を見ると、なぜ京都をビルの森状態にしてしまったのかと思う。看板の規制という枝葉のことより、もっと根本的な都市計画の点で京都は100年くらい前に大きな誤りを犯したという見方も出来る。だが、このことに関して筆者は多少は楽観的で、100年後に京都のビルを可能な限り壊して、江戸時代のような街並みに戻していることを夢想する。ビルの派手な看板を異常と思う心の次に芽生えるのは、醜悪なビルそのものに対する眼差しであろう。人口が減って行く日本で、今のようなビルの数が必要でないことは明らかで、まずは京都の四条通りからビルを消し去って行くのがよい。
 さて、今日の最初の写真は10日に撮った。河原町蛸薬師で見かけた祇園祭りの行事で、こういう小規模な祭りが山鉾巡行以外にあちこちで実施される。稚児が乗った馬の前後に長い行列があり、北のどこに向かっていたのか知らないが、京都で最も車の多い河原町通りを馬がゆっくりと歩いて行く光景は、馬に対して何ともご苦労さんという思いがした。馬の調達や馬を引率する人の日当など、祭りには金がかかるが、それらは全額ではないにしても町衆が負担していて、祇園祭りのために普段はなるべく慎ましく暮らすというのが、祭りを長らく続けて来られた最大の理由と言ってよい。毎夜の街で豪遊し、年中がお祭りのような人生を送っている人は、ハレとケの区別も知らず、早々と体調を壊してこの世から退場して行くが、そういう人生を送る人は成金というのが相場で、祇園祭りなどの古き伝統に関心もなく、また寄与もない。芸能人はみなそういう人種と言っていいが、そういう人種をうまく使って古い伝統は注目を浴びようとするところがあって、たとえば山鉾の懸装品を、当代の有名画家の作品を下絵に使って織り上げることだ。昭和時代には特にそのことが流行したが、その傾向は今後もそれなりに続くだろう。今年は若冲生誕300年ということで、若冲が生まれた家から最も近い長刀鉾の胴懸のうち、後方の「見送り」が若冲の絵を綴織で再現したものが巡行で披露された。筆者はTVでその様子を見、そしてその画面を撮影した。それが今日の2枚目だ。若冲の絵を多少拡大して復元しているが、若冲の落款や印章は省いている。そうしても若冲画であることは明らかであるとの判断だ。若冲が生きている頃の同じものを作ればよかったのにという意見があるかもしれないが、当時の技術ではそれは不可能であった。また、これまでなぜ若冲の絵を下絵に使って胴懸を作らなかったのかと思わないでもないが、有名な画家がたくさんいて、若冲を注目する風潮がなかった。となると、今回長刀鉾が新調した若冲の下絵による見送りの胴懸は、若冲人気が今後また下火になると、そっと倉庫の奥深くにしまい込まれる可能性があることを意味している。それは当然で、祇園祭りに限らず、寺の障壁画も同じだ。当代の有名画家に描かせて一時期寺を有名にすることに使い、その画家のブームが過ぎ去れば、また新たな画家に描かせる。神社や寺からすれば、一画家など消耗品に過ぎない。また、祭りとはそのように消尽することであって、贅を凝らしたものを短期間で消耗させることに意義がある。それはともかく、若冲の下絵が初めて祇園祭りに使われたことを思えば、生存中の若冲と、錦街の町衆との関係をあれこれを想像してしまう。わが町に有名な画家若冲がいるならば、ぜひ彼に何か描かせるなりして祇園祭りに協力してもらおうといった声が起こったのかどうかだが、それがなかったとすれば、若冲はよほど変人であると思われていたのだろう。
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by uuuzen | 2016-07-19 23:59 | ●新・嵐山だより
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