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●山崎箜山 嵐山ジャズライブ
技と呼ばれることもその技術についての知識がなければよさがわからない。絵ならば写真のようにリアルな表現であると、たいていの人は上手だと言うし、また実物がそこにあるかのように思えれば神のような技術とも囃し立てる。



●山崎箜山 嵐山ジャズライブ_d0053294_20474922.jpgつまり、写実的な作品は誰にもわかりやすく、人気がある。先日NHKの『日曜美術館』でそうした写真のような絵画の特集をしていた。2,3年前に筆者は知ったが、関東にそうした絵ばかり集めた美術館がある。昔スーパー・リアリズムという絵画が流行ったことがあるが、日本でそれがぶり返して来たようだ。あるいは前述のように、いつの時代でも写実主義絵画は人気があるから、一定の絵描きはいるのだろう。受容と供給の関係だ。それも無理もない。数秒で描いたような意味不明の抽象絵画のどこがよくて、また金を払ってまでほしがる人がいるのかという、よくある意見はもっともなもので、長い時間を費やした写実絵画の方がありがたみがあるというのは、つまりは労力の差ということだ。だが、先の番組を見ながら筆者も家内も退屈であった。実際の絵を見ていないが、見ても確かに驚くとして、ただそれだけの気がする。あるいは美女を描いた絵は『ああ、きれいなモデルを使ったな』と思うはずだが、やはりそれもそれだけのことだ。それどころか、筆者はそうした美女を描いた絵がとてもいやらしく見えた。美女がいやらしいというのは、筆者が不純だと思われるかもしれないが、どことなくポルノを思わせたのだ。まさかポルノ女優をモデルに使っているはずはないだろうが、画家が描くモデルが醸し出す雰囲気は、視姦を連想させた。モデルの着衣を剥がしたくなるというのではない。描かれたモデルがうすっぺらな美しさを漂わせる、つまり嘘っぽいのだ。だが、美女をリアルに描いたそういう絵は絶大な人気があって高く売れるに違いない。また、そういうことを画家がよく知っているだけに、ますますその絵が不純に見える。そして描いた当人がインタヴューに応えていたが、その顔ですべて納得した。同じような絵を描く逝去した画家の写真も出たが、その顔も筆者が想像するとおりであった。
●山崎箜山 嵐山ジャズライブ_d0053294_204863.jpg

 さて、音楽でも神技はあるし、それを競うコンクールが毎年たくさん開かれる。技術と表現力に点数をつけるのだが、前者はさておき、後者は点数がつけられるか。課題曲であれば、その曲の名演に照らしての判断だが、そこには審査員の好き嫌いが入り込む。絵画でもそんなコンクールはたくさんあって、筆者も昔は毎年のように作品を出品した。そして一定の成果を得て出品を止めた。今年の夏、招待状をもらったので、たまには見に行かねば失礼かと思って会場に出かけた。四半世紀前に筆者が毎年挑戦していた公募展だ。筆者のように脱会せずにその後ずっと出品し続けている作家がたくさんいて、みなそれなりに大御所扱いになって来ている。当然だ。年功序列社会であるからだ。もちろん筆者の知らない若手もたくさん出品していて、彼らは四半世紀後にはそれなりの大御所になる。順番だ。筆者はわずか10分ほどで会場を後にした。四半世紀前と雰囲気がまるで同じで、四半世紀経ったことが信じられなかった。他の公募展もみなそうだ。それでいいのだろう。団体展はそういうものだ。そしてそこに所属していると、みな自分をいっぱしの作家と思って安心する。そういう装置は美術界には必要なのだ。なぜかと言えば、そういう場を欲する作家が大半であるからだ。さざれ石の巌となりてで、作家ひとりひとりは小さな石に過ぎないが、巌と勘違いするのだ。なかなか本題に入れないが、音楽家はどうかと言えば、オーケストラの一員になると似たようなものかもしれない。だが、今日取り上げるのは先週近くの喫茶店で開催されたジャズ・ライヴで、4人のメンバーはみな個人営業者だ。この4人が演奏するのは何年かぶりの二度目という。それでも2,30分の打ち合わせで本番に入った。それが可能なのは楽譜があるからだ。ジャズであるので当然と言うか、アドリブはある。だがそれは小節の数を予め決めておけば問題はない。また、めったに一緒に演奏しないメンバーであるのに息が合うのは、4人がそれなりに親しいことと、演奏する曲が誰でもよく知るからだ。また、喫茶店で演奏するからには、そうした曲を揃える必要がある。これがいつもジャズの生演奏を聴かせる店であれば、多少は難解な曲を混ぜてもゆるされるだろうが、今回初めてジャズの生演奏に接する人も少なくないだろう。
 このライヴがあることを自治会のFさんから聞いたのは当日の5日前だ。今年4月20日に同じ喫茶店で和太鼓の演奏があり、そのチケットをFさんからもらって一緒に見たが、今回は急に決まったらしい。9日と言っていたのが11日で、また用意されたチラシではメンバーのひとりの名前を間違うというミスがあり、主催した喫茶店側が慌ただしかったことがわかる。ドリンクつきで2500円で、繁華街のジャズを聴かせる店からすれば安いだろう。60名限定で、Fさんから聞いた時はまだたくさん売れ残っているとのことであった。そして、Fさんはチラシを見せながら、メンバーのひとりがわが家のすぐ近くのUさんであることも言ってくれたが、それで行くことに決めた。Uさんは寡黙な人で、昔からジャズをやっていることはよく知っている。練習の音がわが家まで聞こえて来ることもあった。その両親や奥さんとも長年親しくして来たが、実際の演奏は聴いたことがなかった。それで今回はいい機会だと思った。Uさんは祇園界隈の店で演奏しているが、そこまで聴きに行かずとも近くの喫茶店でやってくれるのはまたとない機会だ。それにしてもUさんは近所にチラシを配ってもいいのに、それをしないほどの静かな人だ。チラシは尺八を演奏する山崎箜山(こうざん)という男性のみの写真が印刷がされるが、これはその人が他のメンバー3人を雇ったという形だろうか。写真は紋付を着ているので、筆者はてっきり尺八を用いる邦楽をジャズ風に演奏するのかと思ったが、蓋を開けてみると全くそうではなかった。1960年生まれで、筆者より9歳下、そしてビートルズが大好きと自己紹介があった。そしてビートルズの曲も演奏されたが、ジャズからポップス、歌謡曲から童謡まで、レパートリーの幅は広い。司会をした喫茶店のマスターは、歌謡曲では誰でも知る大物と共演するなど、尺八界では有名と言ったが、1曲聴いてわかったことは、尺八はまるでフルートと言ってよく、となればハービー・マンを思い出せばいいが、ジャズには似合うということだ。箜山氏は1曲ごとに曲にまつわることを手短に話してくれたが、勉強熱心なことがわかった。京都は虚無僧の本山があって、尺八の本場とのことで、箜山氏は最初は邦楽から入ったのだろう。そういう渋い曲をやっても喜ぶ人は限られるから、仕事としてどんな曲でも演奏しようということになり、そしてやはり酒を飲ませる場での演奏が中心となるとジャズになる。
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 演奏は途中30分の休憩を挟んで全10曲であった。10曲目はアンコールで、予めそれを含んでの前後5曲ずつだ。10曲では多少物足りないが、それがちょうどいい。順不同で列挙すると、「ムーンライト・セレナーデ」、「ユー・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」、「かわいいアイシャ」、「テイク・ファイヴ」、「ゆうやけこやけ」、「りんご追分」、「レット・イット・ビー」、「A列車で行こう」、「ホワイト・クリスマス」だ。「ユー・ビー・ソー…」では箜山氏この曲の邦題を最初につけた大橋巨泉が後に誤訳を認めたエピソードを披露したが、そのことを知っていた人は60人ほどの客にどれほどいたであろう。題名の最後の「ホーム・トゥ」の「トゥ」がミソで、巨泉はこれを無視して訳したのだが、それでも通用していた昔と言うなかれ。日本では現在も同じような誤訳が繰り返されているだろう。箜山氏は尺八を3本持参したが、キーが違うとのことで、曲によって使い分ける。筆者はFさんとともに最前列に陣取ったが、音量はちょうどよかった。Uさんはソロのパートでなかなか手慣れを見せた。アンコールが終わってお開きになった時、Uさんに話しかけた。昔、アメリカに住んでいたことを聞いていたので、そのことを訊ねた。ロサンゼルスにいたそうで、音楽仲間からザッパのコンサートがあるので一緒に行こうと誘われたこともあったらしいが、関心がないので断ったとのことだ。帰国後、関東と関西を半々に活動していたが、今はもっぱら京都が中心らしい。そして年末なので忙しいそうだ。生活がかかっているので、いわば音楽職人としてどんな曲でも演奏せねばならない。そう思うと、オリジナル曲で有名になることは神技が必要ということだ。「かわいいアイシャ」はステーヴィー・ワンダーの名曲だが、何十年経っても誰でもどこかで聴いたことのある曲はスタンダードとして認められ、ジャズ・メンはあたりまえのようにそうした曲を演奏出来る必要がある。「レット・イット・ビー」もそういう曲の仲間となっているが、箜山氏にはビートルズ曲ばかりのライヴを次回は期待したい。ポール・マッカートニーの来日のことを話題にしながら、箜山氏は「マッカートニー大先生」と言ったが、きっとポールの大ファンなのだろう。筆者はジョンの曲を尺八で聴いてみたい。「ラヴ」なんかは高齢者向きの渋い響きになるのではないか。これからは高齢化が加速化し、また団塊の世代が喜ぶようなレパートリーがよいが、今回のライヴはそうなっていた。
●山崎箜山 嵐山ジャズライブ_d0053294_20483365.jpg

by uuuzen | 2015-12-18 23:59 | ●その他の映画など
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時々ドキドキよき予告

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