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●『人の輪をつなぐ―オリンピックとポスターデザイン展―』
出の問題に沸いている。新国立競技場の費用のそれだ。当初1300億ほどと思われていたものが、倍ほどすることがわかった。よくわからないのはそこだ。



●『人の輪をつなぐ―オリンピックとポスターデザイン展―』_d0053294_0443418.jpg費用は工事を請け負う業者が計算しているのだろう。ということはゼネコンの言いなり、つまりまたとない儲け話だ。政治家も裏で分け前にあずかるだろう。誰も責任を取らない国であるから、今からでは別のデザインは間に合わないとの理由で建設し、お金の問題は後でどうにかするということになるに決まっている。ザハ・ハディッドの案を強く推したという安藤忠雄を呼び出して政治家は問い詰め、国民の渋い眼差しの矛先を変えようとの魂胆のようだが、安藤にしても言いたくても言えない事情が多々あるに決まっている。変なことを口走れば建築界から追放どころか、暗殺されるかもしれない。2020年の東京オリンピックは震災の復興を宣伝に掲げてコンパクトなものにすると世界に向けて宣伝したのに、シンボルとなる新競技場が、空前の高値になるとあっては、政治家たちの無能というより、したたかさを思う。どうせ最初からそのようなつもりであったに違いない。税金はじゃぶじゃぶ使うもので、後の世代のことは後の世代が考えればいいとの無責任連中の巣窟だ。安藤がザハを持ち上げたのは、今彼女が世界的に旬を迎えているからだろう。話題の建築家の設計になるものを東京に造れば、それを見るために世界中から人が来ると考えもしたであろう。今日TVで知ったが、彼女の案が決まったコンペは2か月の応募期間であったという。それはいくら何でも早い。ザハにしても以前に描いておいた図を応募したはずで、彼女にすればその競技場の周辺の環境などはほとんど知らなかったのではないか。広大な土地に建設するならいいが、日本はとにかくせせこましい。そのためになおさら工事費が嵩むという。それに周囲の景観との調和が取れないとの懸念もある。ザハのデザインはいつも奇抜過ぎるのだ。イカモノと言ってもいいかもしれない。だが、曲線を多用したデザインは、施工業者泣かせかもしれないが、その反面技術の見せ場が多く、ゼネコンにすれば立派に造って見せると奮い立っているだろう。鳶職が不足していることも懸念材料で、それが建設費を嵩上げしていると思うが、造りにくい、凝ったデザインのものをなぜ建てる必要があるかと言えば、合理的だけでは面白くないという考えが現在の建築界にはある。競技場は楕円形の巨大な容器で、建設費を極力抑えたいのであれば、どこにでもあるような、見たことがあるような無難な形になる。それではせっかくの二度目の東京オリンピックでは面白くないと安藤だけはなく、関係者全員が考えた。ザハにすれば自分らしさを発揮するために、無難な形としての根本を押さえながら、そこにどのような凝った装飾を加えるかを考えただけで、彼女には責任はない。こんなゲテモノは無理だと日本が拒否すればそれでおしまいであった。ところが安藤が選んだのは、話題性からは最大の効果が得られると踏んだからで、また建築費用はまさか2500億や3000億といった巨額になるとは考えなかったからだ。筆者は以前の国立競技場をリフォームするのかと最初は思っていたが、それは無理だったのか。せっかく1964年の輝かしい東京オリンピックのシンボルとなっていたものを、あの聖火台もお払い箱になって、何とももったいない。いつでも点火出来るように、聖火台を造った会社はずっとメンテナンスをやり続けて来た。それでてっきり2020年も使われるかと思っていたのに、あっさりと競技場は取り壊され、更地になってしまった。日本はとにかく更地にすることが大好きな国で、それは言い代えれば、ゼネコンに仕事を与えなければ自民党が存続出来ないからだ。それで以前の競技場をリフォームするといった案が出たとしても、軽く一蹴されたに違いない。知恵を捻出すべきなのに、捻出の言葉は金に関係している。『みんなの税金を使って造るのですから、(ここにいる)みんなで儲けましょう』といった話が取り交わされたことを想像する。
●『人の輪をつなぐ―オリンピックとポスターデザイン展―』_d0053294_0445088.jpg さて、先週の水曜日に家内とバスに乗って京都工芸繊維大学の美術工芸資料館に展覧会を見に行った。ふたつ開催されていて、今日は歴代のオリンピックのポスターなどを展示した方について感想を書く。写真撮影禁止の表示がなかったが、天井に監視カメラが設置されていて、カメラを取り出すことが憚られた。それでも3枚だけ撮った。それはポスターなどの、いわば美術資料ではなく、大学側が用意した説明パネルで、それくらいは撮影してもいいだろう。その3枚を今日は載せるが、筆者が注目したのは、1964年の東京オリンピックに登場した各競技のシンボル・マークだ。当時筆者は小学6年生で、それがとても斬新に見え、模写もした。それはピクトグラムと呼ぶもので、デザイナーたちは著作権を放棄したらしい。それは世界に同様のものが広まってほしいとの思いがあったからだ。緑色の非常出口の表示は世界基準になっていると思うが、あれも日本のデザイナーが創案した。著作権を放棄したのかどうか知らないが、優れたデザインで、どの国の人が見ても緊急避難の際、どこに進めば出口に着くかがわかる。そのデザインは1970年代後半に造られたものではないだろうか。80年代かもしれないが、ともかく東京オリンピックのピクトグラムの影響を大きく受けている。その意味で、東京オリンピックは日本のグラフィック・デザイナーたちの実力の発揮の場として大いに役立った。それ以降日本のグラフィック・デザインが大きく変わったと言ってもよいほどだが、ポスターをデザインした亀倉雄策は戦前から雑誌『NIPPON』で活躍していて、その素地の上に戦後の日本のグラフィック・デザインの大輪の花が咲いた。今東京オリンピックのポスターその他のデザインを見ると、厳格で素っ気ない、まるで神社のような雰囲気を感じるが、亀倉は日本らしさを追求すると自ずとそのような印象をもたらすデザインになると思っていたであろう。そして、最初にそういうデザインをするのは正しい。それが二度目、三度目となると、遊びの思いが入って来る。これは悪く言えばすれっからしになるからで、よく言えば余裕が出て来るからだ。1972年の札幌オリンピックや1998年の長野オリンピックは当然そのようになっていて、楽しいデザインのポスターやキャラクターだが、その分印象は薄い。本展はこれまでのオリンピックのポスターの実物を展示していて、どれも国柄が出ていて興味深かったが、1924年のパリ大会は、いかにもフランス人という顔の男性がふたり描かれていて、その優しそうな顔がとても印象的で頭から離れない。芸術性が高いと言えばいいかもしれないが、日本のように何でも文様化するのが得意ではなく、写実的な表現を用いながら、目につきやすさを狙っている。それは日本ではまぜ絶対に試みられない手法で、文様表現を見慣れた目からすれば、かなわないという気にさせられる。だが、日本は日本であり、1964年に見せた亀倉雄策の後を継いで、時代に即した楽しいデザインが案出されて来ている。では2020年の東京オリンピックの招致ポスターはどうかと言えば、伝統は確かに引き継いでいるが、印象にきわめて薄く、いかにも平凡だ。そこに現在の日本のグラフィック・デザイン界の衰退を見ると言えば言い過ぎだが、もっと大胆な変化がほしい。だが、新国立競技場を見ても、1964年のように日本が自前でデザインするのではなく、世界で有名な外国人の案を採用した。それだけ日本は国粋主義から脱して好ましい国になったかと言えば、建築家の才能が枯渇して来ているだけと言うことも出来る。筆者の関心は、本展に展示された1964年の東京オリンピックの記念切手が2020年にはどうなるかにある。郵政が大きく変わったので、1964年とは違って記念切手を当時の10倍以上は発行するだろうが、問題はそれよりもデザイン的にどうかだ。凹版の切手が出ればいいが、それはまずないだろう。それに、ピクトグラムもかなり心配で、1964年のものに比べて完成度、芸術性の点でどこまで期待出来るか。今日の3枚の写真は、1964年、1972年、1998年と、時代ごとにいかにピクトグラムが変化して来たかを示したいために撮った。後二者は冬季オリンピックであったので、1964年とは比較しにくいが、2020年はそうではない。時代を如実に反映するのは、大きな建築物もそうだが、案外こうした記号、シンボルといった小さなデザインだ。新国立競技場のデザインで揉めているところを見ると、ポスターその他のグラフィック・デザインはあまり期待しない方がいいかもしれない。それでも知恵を捻出し、歴史に大きく残るものを作ってほしい。公募があれば筆者も応募しようか。
●『人の輪をつなぐ―オリンピックとポスターデザイン展―』_d0053294_045849.jpg

by uuuzen | 2015-07-13 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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