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●『大阪天満宮 盆梅と名宝展』その2
培は人為であるから、盆栽は工芸品に見える。工芸品とは違って世話が必要で、それによって成長するものであるから、工芸品のように飽きが来ることはないのだろう。盆栽は日本のお家芸として世界的に有名で、老人の趣味とは限らず、若者でも興味を抱く。



●『大阪天満宮 盆梅と名宝展』その2_d0053294_2346291.jpg
毎年1月の下旬になるとTVで長浜で開催される盆梅展が必ず紹介される。それを今年は見に行こうかと思いながら、長浜には二度行ったことがあるので盆梅のためだけでは電車賃も時間ももったいないかと思い直した。思い出したので書いておくと、最初の長浜に行った時はいかにも昭和30年代といったタイル貼りの店を見かけた。そのレトロ感がとてもよく、それをもう一度見たい思いもあって数年後にまた行ったが、その建物はなくなっていた。最初に行った時でももう営業していないようであったので、取り壊されるのは仕方がない。そこで想像するに、その二度目の訪問から10数年経ち、長浜はさらに新しい建物が増えたはずで、町並みの面白さはさらに減ったのではないか。そんなふうに思うので盆梅展の様子をTVで見てもぜひとも行きたいという気になれない。また、筆者は盆栽にさほど関心はない。ところが大阪天満宮でも盆梅展が開催中であることを知り、あべのハルカスの展望台に行くついでに見ることにした。規模は長浜盆梅展よりはるかに劣るだろうが、盆梅であることには変わりがない。そうそう、盆梅に限らないが京都のみやこメッセでも盆栽展が開催される。去年秋にあって、それを見に行ってもいいかと考えながらそのままになった。そのため、大阪天満宮の盆梅展はようやくのことと言える。ひとつふたつの立派な盆栽を見る機会はあっても、ある程度まとまった数を見る機会はなかなかない。今回は初めての機会でそれなりに面白かった。「それなりに」というのは、だいたい想像どおりであったからだ。驚いたのは盆栽の横に立てられている木札に書かれる推定樹齢だ。短いものでも100年、長いと300年で、このあまりの高齢に驚く。それと同時に本当かなという気がする。どのようにしてわかるが疑問だ。幹を切って年輪を数えればよいが、狭い鉢の中で生きているので幹は最も太い部分でも直径20センチほどだ。それでたとえば樹齢300年とすれば、年輪の1年分は1ミリ以下だ。最も太い部分でそれで、梢ではもう年輪というものは確認出来ないほど密に詰まっているはずだ。レントゲン写真でそうした年輪がうまく写るのかどうか知らないが、盆栽の樹齢は以前に誰が大事にしていたかという経歴からおおよそわかるのだろう。つまり、経歴で貫禄が決まり、珍重されるのではないか。来歴を重視するのは美術品と同じで、先に工芸品と書いたが、実際戦前の売立目録には美術品に混じって盆栽が載っている。となると、自然に枯れてしまわない限り、大事に大事にされて名品と呼ぶべきものが各地にあるのだろう。だが、盆栽は世話をする必要があるから、美術品とは違って金持ちなら誰でも所有出来るというものではない。
●『大阪天満宮 盆梅と名宝展』その2_d0053294_23463221.jpg
 筆者は3階のベランダで多肉植物を数年前に育て始めた。それが少しずつ枯れてしまって今では半分ほどになった。その代わり、その半分は倍近く大きくなったり数が増えたりしているので、全体の量は変わらないように見える。品種が違うものは水やりの頻度を変えねばならないのに、多肉植物に関してのド素人の筆者は調べたり覚えたりするのが面倒で、どの鉢にも週1回水を灌ぐ。最初の頃は季節ごとに水やり回数を変えていたのに、今では四季を通じて週1回で、そのために枯れてしまったものがあるだろう。だが、そういう筆者のずぼらな態度によく耐えたものだけが現在残っていると考えてよく、同じ調子で育ててももう枯れる心配はないように思う。本当は月1回は栄養になる液を薄めて施すのがよいが、それも面倒で水だけ与えている。それでも生き延びるのであるから植物は不思議だ。土と水と光があればよく、それは盆栽も同じではないか。樹齢100年を越えたものはあまりに貴重なものに思え、筆者ならとても手元に置いて世話する気になれない。水を与えるにしてもどの程度がよいのかわからない。与え過ぎると根が腐り、少ないと枯れる。盆栽を世話する人はよほど根気と愛情が必要で、自分の人生より長く生きることに対して羨望ではなく、奉仕させていただいているというへりくだった気持ちを持っているのだろう。その点は貴重な美術品と同じだが、美術品と決定的に違うのは、盆栽はいつかは寿命が来ることだ。今回樹齢300年以上のものはなかったが、それはひょっとすれば限界なのかもしれない。となれば、樹齢300年の盆栽を手元に置くと、いつ枯れてしまうのか心配で精神衛生上よくないだろう。せいぜい樹齢50年から100年のものを育てる方がいいような気がする。美術品の話が出たのでついでに書いておくと、樹齢を偽った盆栽が流通しているのではないか。美術品の贋作と同じで、専門家の手にかかるとせいぜい樹齢数十年のものでも100年以上経ったものに見せかけることは出来るだろう。年輪を調べない限りわからないから、美術品の贋作より作りやすいように思う。また、植物は接ぎ木で育てることがよくあるが、盆栽も同じ手法を使って古さを見せかけることが出来るかもしれない。何だか樹齢300年を疑っているような書き方だが、会場で真っ先に思ったことは、たとえば「樹齢300年」の表示は20年後もそのままで、25年後には「350年」になるだろうなという予想だ。どの盆梅でも50年で区切られる樹齢を記してあって、50年ほどは誤差があると考えることも出来る。そう考えるとありがたみよりもいい加減さが先に立つ。それで樹齢をごまかした盆栽もあるのではないかと思った次第。だが、樹齢がいくらであろうと、見事であればいいではないか。
●『大阪天満宮 盆梅と名宝展』その2_d0053294_23465778.jpg
 盆梅だけの展示かと言えばそうではなく、松もあった。それに5月には盆藤展が開催される予定で、どのような木でも盆栽として育てられるのだろう。となると、盆桜があるのかどうか気になるが、今調べるとあった。それでも桜はすぐに花が散るので梅のように比較的長く楽しめない。やはり新年が明けてまだ寒い時期に真っ先に咲く梅がよい。さて、今日の写真を説明する。本殿の向かって右にある梅花殿に靴を脱いで入ると、一昨日載せた最後の写真の杉戸の真正面に今日の最初の写真の盆梅が展示されていた。金屏風の前に置かれ、「大和野梅」と書かれていた。3枚目の写真も同じ品種で、奈良が原産地だろうか。同じ品種であっても形は全然違うのは当然で、梅は枝を切り進んで好みの形に整える。これには造形感覚と梅がのびのびと育つにはどの方向に成長させるかという栽培の知識が必要で、筆者のように放ったらかしにする人間には向かない。そう言えばわが家の裏庭向こうの小川沿いの小道には、一昨年の天神さんの縁日で買った白梅と紅梅が植えてあるが、今日見ると白梅はすっかり落花し、紅梅は数個しか花が残っていなかった。早速枝を数本残して後は全部切り落とすべきだが、これには勇気がいる。かなり思い切って丸坊主に近い形にしても来年また新しい枝が伸びて開花するはずだが、せっかく伸びた細い枝を切り取ってしまうのは何となくかわいそうで、もうしばらくはそのままにしておく。話を戻して、最初の写真の「大和野桜」は根元が極端に太く、鉢いっぱいになっている。その上に白い花をつける枝が踊るように曲がりくねっていて、全体に面白い形をしている。3枚目も白梅だが、根元は岩のようになっていて樹齢300年を納得させる。これだけ貫禄があると、持ち主は限られるだろう。筆者は最初の写真の方が剽軽でよい。2枚目の右は「甲州野梅」で、白梅かあるいはほんのりピンクがかっていたかもしれない。左の「黒松」はいかにも盆栽という感じで、松の盆栽はあまり面白くない。梅と違って工夫出来る箇所が少ないからだろう。あまり突飛な形に整えると松らしさが失われる。可憐な松では喜ばれず、血胸は堂々たる雰囲気が求められる。4枚目の写真は「黒松」が貫禄充分で、幹が大きくカーヴを描いているところは龍のようだ。盆梅は右から「佐賀里梅」「白加賀」「思いのまま」と名前がつけられ、いずれも幹が面白い。「思いのまま」とは変な名前で、梅の思いのまま放置して育てているのだろうか。樹齢約80年で、隣りの「白加賀」の100年と比べてそんなものかと思うと同時に樹齢はあまり関係ないようにも思わせる。「白加賀」は幹に大きな空洞が出来ていて、それが豊かな景色を形づくっている。鉢をこのままにしておけば、もうこれ以上は幹は太くならないのではないか。盆栽は植物への強制が第一であり、動物で言えばペットか。行儀よく、忠実に来年も開花させるには、筆者の想像を絶する手間と愛情が必要なはずで、筆者の性には合わない。梅花殿には全部で2,30の鉢があって、長浜盆梅展に展示されるような大きなものはなかった。大阪天満宮が所有しているものかどうかは知らないが、「梅花殿」という場所で展示するからにはたぶんそうだろう。
●『大阪天満宮 盆梅と名宝展』その2_d0053294_13403589.jpg

by uuuzen | 2014-03-25 23:49 | ●展覧会SOON評SO ON
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