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●『スノーマンの世界展』
橘類を冬場に食べるのはイギリスもだろうか。12月にミカンを4箱、40kgも買ったのが、今日で全部食べ終えた。「ミカンマン」になった気分で、皮膚は多少はオレンジ色めいたであろう。



●『スノーマンの世界展』_d0053294_0572755.jpgなくなってしまうとさびしいもので、またたくさん買おうかという気になるが、いただいたリンゴが10個ほどあるので、それでひとまず我慢出来る。今取り上げる『スノーマンの世界展』は大阪心斎橋大丸で5日の日曜日に見た。クリスマス頃にも大阪に出たが、足を延ばす気になれなかった。見たくてたまらないというほどではなく、心斎橋に出ることがあれば立ち寄るつもりでいた。改めて書くかもしれないが、5日は1日乗り放題券で中山寺に出かけ、その後阪神電車で尼崎から難波に出た。阪神電車が近鉄と相互乗り入れをした結果、阪急阪神1日乗車券で尼崎から難波まで行けるようになった。ただし、難波から心斎橋や梅田に行くには大阪市営地下鉄を利用せねばならず、別料金がいる。難波から心斎橋は歩いてもすぐで、またその気になれば梅田まで歩いても行けるが、冬場はそんな気になれない。そこで心斎橋から難波に戻り、そこからまた尼崎へ行って梅田行きに乗り代えれば地下鉄代を支払わずに済むが、時間が30分はよけいにかかる。それはさておき、1200円の阪急阪神1日乗り放題チケットは4月から1300円にはなるだろう。何でも値上げで、展覧会をそう頻繁に見に行く気になれないかもしれない。それが理由ではないが、12月中旬から展覧会の感想を集中的に書いていて、今日は予定を変更して気楽なものにした。気楽とは気分をゆるくするもので、「ゆるキャラ」はそれを目的として作られてもいるだろう。「スノーマン」はまるっきり「ゆるキャラ」と言ってよいが、家内はシロクマを思わせると言った。なるほどそうだ。また、家内はしぶしぶ本展を見たにもかかわらず、予想外によかったと言った。それは気分がほぐれたからだろう。肩肘張った内容ではなく、心をふんわりと温かくしてくれるものがよいという思いだ。それでたくさんの客に来てもらいたい百貨店は、子どもから大人まで楽しめる内容の展覧会をよく開催する。そお代表は絵本に関係したもので、本展もそうだ。昨年夏に同じイギリスの絵本で「機関車トーマス」の展覧会を見た。本カテゴリーで取り上げようかと思いながら、その絵本をまともに読んだことがなく、熱烈なファンからけなされそうなので思いとどまった。また、「機関車トーマス」に関して書きたいことがふたつあって、そのどちらも俄には調べがつかない。ひとつは昔、京都市中央図書館近くのボタン屋のウィンドウで見つけて買ったワッペンだ。それがなぜかとても気に入った。トーマスの絵本をよく知らなかったんで、そのワッペンに描かれる太ったスーツ姿の中年のおじさんが誰かわからなかったが、展覧会を見てようやく納得した。そのワッペンは未使用のままどこかにしまい込んでいる。それを見つけるには10年はかかるだろう。
 「機関車トーマス」について、わが自治会の住民の大志万さんは、「イギリスには、「機関車トーマス」のような変なものが多い」と言ったが、筆者は詳しく知らないのにうなづいた。「トーマス」について知らないうえ、ほかの絵本も即座には思い出せない。そうそう、2年前、伊丹市立美術館で「パディントン展」を見た。それもイギリスの絵本だ。そして同展で密かに撮った写真があったのに、感想を書かないままとなった。どうも絵本展については書きにくい。それは当の絵本を1冊も持っていないからで、そんな状態で書けば無責任と思うからだ。そこまで考える必要はないし、また今日取り上げる「スノーマン」は絵本を持っていない。それでも書く気になったのは、今日は簡単に済ませたいからだ。少し寒気がするからで、家内は発熱して先ほど寝込んでしまった。相変わらず筆者は日づけが変わってから本格的に書き始める始末だ。12月いっぱいまでは3階にストーヴを点けないようにしているが、年が明けたのでストーヴで温かくすればいいものを、まだ我慢出来るとばかりに寒い部屋で毎日深夜こうして書いている。温かいところにいるとすぐに眠くなって、居眠りをしてしまう。そんな部屋を出て寒い3階のパソコンの前に座るのは勇気のようなものがいるが、一旦書き始めると時間を忘れる。そういう一種の厳しい時間は必要だろう。それで書く内容が「ゆるキャラ」のようにくつろいだ印象を与えるものになるのが理想だが、そうはなっていないだろう。筆者の書く内容が厳しさを感じさせるとすれば、それは上記の理由による。寒いとはいえ、今温度計を見ると10度だ。これは充分我慢出来る気温だ。ホームレスはもっと寒いところで寝ている。ホームレスと比べる必要はないかもしれないが、全く「はた羅漢」状態の筆者は暖を取るなど許されない。話がどんどん外れてしまった。柑橘類と最初に書いたのは、スノーマンの鼻がオレンジ色の丸で、これはミカンではないかと思ったからだ。だが、イギリスの冬場にミカンが食べられるのだろうか。アメリカ産のオレンジが輸入されているだろうし、日本のミカンも珍しくないかもしれない。
 雪が降れば雪だるまを作りたくなるのはイギリスも日本も同じらしい。絵本『スノーマン』は少年が自宅の庭に自分の背丈より高い雪だるまのスノーマンを作ることから始まる。自宅の窓からは背を向けた格好で、少年はスノーマンを温かい部屋の窓から見つめ、気になって仕方がない。そして布団に入って寝入り、夢を見る。それを物語にした内容で、結末は誰もが予想がつき、その点では面白みに欠けるが、その古典的なところが安心して読める点になっている。また、朝目覚めた少年は、陽射しによってスノーマンが溶けてしまった様子を確認し、それは夢の中でスノーマンと一緒にロンドン市内の各地を空中遊泳した楽しい経験からすれば悲しみではあるが、太陽が雪を溶かすことは少年はよく知っているし、また夢から目覚めたことは、もはやスノーマンがいないことでもあって、雪だるまが溶けている方が安心する。これが溶けずにそのままであれば、少年は現実と夢の境がわからなくなり、悲鳴を上げるだろう。夢と現実、太陽と雪という関係を実にうまく取りこんだ絵本で、大人にとっても愛すべき内容となっている。さて、その内容の中心である少年とスノーマンの散歩だが、少年が自分を優しく包んでくれるスノーマンを自分で作ったところに、少年のさびしい心が暗示されている。大きな家に住んでいるので、それなりに恵まれた家庭だろうが、この絵本には少年とスノーマンしか出て来ない。少年が小さな雪だるまを作るのではなしに、実際はたぶん不可能なほどの大きな雪だるまを作るところに、この絵本のちょっとした不自然さがある。それは、少年が自分を慰め、勇気づけてくれる大人を求めていると、読者は無意識に思うことだが、雪は降り積もると布団のようい分厚く、ふんわりとするので、人間は元来雪に大きくて優しい、自分をすっぽり包み込んでくれるイメージを抱いていると考えれば納得が行く。つまり、少年はシロクマほどの大きいスノーマンを作ったが、それは雪に対して抱いている思いを素直に表現しただけであるという見方だ。もうひとつ書けば、少年は明るく温かい部屋にいて、そこから出てスノーマンを作るが、作り終えるとまた部屋に戻る。温かい部屋にいると、家の外の雪は楽しいものに見える。家のないホームレスの少年がスノーマンを作るという物語にすればどうであったか。その方がより感動的になったのではないか。作者のレイモンド・ブリッグズは悲惨な現実を描きたくなかったのだろうか。『スノーマン』は冬場に暖を取ることに困らない家庭の子どもや大人たちを対象にしたもので、寒さの中で凍え死んで行くマッチ売りの少女の物語ようには長生きしないように思える。そこで自分流に『スノーマン』の物語を書き換えれば、前述のように、ホームレスをひとり登場させたい。それが子どもであっても大人であってもかまわないが、大人の方がいいだろう。彼は雪を集めて自分の背丈ほどのスノーマンを作る。それを見た少年は夢を見る。夢の中でスノーマンは自分を優しく抱いてくれたりする。だが、それは雪の精としてのスノーマンの本性というより、ホームレスの優しい心なのだ。朝目覚めた少年はスノーマンを見に行くと、もう溶けてない。そしてホームレスも消えていた。以上のような内容であれば、少年が作ったスノーマンに少年が夢の中で慰められるという点は消えるが、人間であるホームレスとの交流という点が生まれる。少年は自分は温かい部屋で生活するのに、寒いところで寝なければならないホームレスに同情するという話となって、これは大人にも考えさせる。
 筆者はレイモンド・ブリッグズの名前は知らなかった。と思っていたところ、会場の説明パネルに、彼がアニメ映画『風が吹くとき』を『スノーマン』の後、1982年に作ったことを知った。この映画は録画して見たことがある。とても話題になったもので、核戦争の惨禍に巻き込まれる老夫婦を描いている。悲惨な内容で、商業的とはあまり言えず、日本のアニメで似た問題を扱ったものがあるだろうか。老夫婦は田舎で暮らしていて、核戦争が起こったことを知り、シェルターに逃げ込んで難を逃れるが、放射能の影響に蝕まれて行く。それはまるで福島原発後の福島だ。若い世代がどんどん他県に移住している現状を思えばなおさらで、『風が吹くとき』を改めて上映しようという人もあるかもしれないが、そうしたところでどうしようもない。同アニメは無力な老人を主人公にしているところが皮肉で、これは社会の動きに関心のない人たちも核戦争が起こればその被害から免れないという現実を示している。ブリッグズは、であるからこそ、核戦争を起こさないようにみんなが知恵を出すべきと言っているのかもしれないが、同アニメは厭世感が強く、逃れられない人類の不幸を予感している。それは人類の悲しみと言ってよいもので、『スノーマン』にもそれに通じる感情がこもっている。少年がスノーマンを作り、それと一緒に遊ぶ夢を見るのは、自然の美しさや優しさへの賛美の思いがあってのことで、人間よりも自然に関心を寄せている。そのため、前述したホームレスの登場はあり得ないことと退けるだろう。自然賛美は、風景画が盛んであり続けているイギリスの人たちには多い思いかもしれない。日本もそう言えるが、『風が吹くとき』に流れる人間の無力感という皮肉な眼差しは日本では歓迎されない。そこが大志万さんが言うように、イギリスには変な絵本が多いところだろう。
 絵本『スノーマン』の原画や、そのアニメのセル画のみの展示では場が持たない。本展は30年ぶりにブリッグズを説得して完成した新作アニメ『スノーマンとスノードッグ』の紹介を兼ねてのものだ。ブリッグズが『スノーマン』の続編を拒み続けたのはわかる気がする。それほど完成度が高く、変に手を加えて凡作を送り出したくなかったのだ。だが、あまりのヒットによって、さまざまなキャラクター・グッズが作られ、また世界中に存在が知れわたったため、『スノーマン』はひとり歩きをしてしまった。もはやブリッグズの作品であってそうではない。続編を期待する声の中には、純粋にそれを期待する子どもたちもいるはずだ。そこで『スノーマン』に登場した少年が大人になったという条件で新たなに物語を作った。世界的に「ゆるキャラ」ブームで、それが大きな金を生み出すので、新たなキャラクターの登場が望ましい。そこで「スノードッグ」が考え出された。そのほか、「スノーマン」の分身がいくつも登場し、とても賑やかな物語になった。正直なところ、ブリッグズの危惧が的中したと思う。『スノーマン』にはあったそこはかとない味わいがまるでディズニー映画の派手さに変わった。続編、しかも30年後ではそれも仕方ないだろう。書き忘れていたが、『スノーマン』は文字が一切ない。絵だけであるので、文字の読めない人、世界中の人に物語がわかる。続編も同じで、コンピュータ時代であるのに、ブリッグズの指示どおりに、紙に色鉛筆で1枚ずつ原画を描いてアニメ映画が製作された。原画の枚数は20万枚で、これを全部手描きしたのであるから、何年要したのであろう。もちろんブリッグズではなく、ほかの人が描いた。その作画の様子が3つのコーナーでそれぞれ2分ずつ上映されていて、これがとてもよかった。原画がつながって動画になると、手描きの素朴な味わいが濃厚に漂いながら、流麗に人物やスノードッグが動き回り、瞬間ごとに気持ちが入り込む気分になる。多大な製作時間を費やしたのも、『スノーマン』の続編という期待と、ネーム・ヴァリューがあってのことで、評価があまり芳しくなくても、充分元は取れると踏んだからであろう。ブリッグズのアイデアから出発した作品ではないだけに、商売根性丸見えで、それがいささか鼻白むが、じっくりと鑑賞して批判すべきだ。ちクリスマスを挟んだ冬休み中の展覧会であったが、会場は若い女性がぽつぽつで、心斎橋の押すな押すなの賑わいとは別世界であった。それがまたよかった。クリスマスの夜に京都高島屋の1階で撮った写真を今日はおまけで掲げる。画面の前に立つと、自分の姿が映り、顔にトナカイの角やサンタクロースの赤い帽子が自動的に表示される仕組みだ。画面左上の記号をタッチすると、画面が停止し、右下隅にQコードが表示される。それをケーターで撮影すれば、停止した画像が得られるようであったが、筆者も家内もケータイを持たない太古人で、デジカメを胸に抱えて画面を取った。それでもどうにか写った。そうそう、筆者のデジカメはシャッターを押しても2回に1回は写らない。それではとても不便だが、多少不便な方がよいと思い直している。今日の写真はうまく写ったので儲けものだ。あたりまえのようなことを何でもそうだと思わない方がよい。そうすると、多少の落ち度があってもうまく行ったことに感謝出来る。
●『スノーマンの世界展』_d0053294_0574374.jpg

by uuuzen | 2014-01-07 23:58 | ●展覧会SOON評SO ON
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