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●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』
席でたくさん食べて飲めばまた体重が増える。食べ過ぎないように心がけているが、ここ2週間ほどは体重は元に戻っている。保健師からの指示で3月末頃に50キロ台に減らさねばならないのに、今の調子では毎月1.5キロ減らす必要がある。



●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_1463776.jpgそのためには日に三度の食事を2回に減らすべきと思うが、年末年始は人が集まっての飲食の機会があって、つい食べ過ぎる。どうでもいいことを書いてしまったが、最初に「宴」と書いた時、頭にあったのは宮廷音楽家のモーツァルトの境遇だ。王侯貴族が宴席で楽しむ音楽をモーツァルトはたくさん書いたが、そういう席でみんなと一緒に飲み食い出来たのではない。食事は給仕係と一緒で、粗末なものであった。今では大音楽家と言われる人でも、身分社会ではいい加減にあしらわれた。それは今も大差ないかもしれないが、芸能人ばりの芸術家も多く、彼らは昔の王侯貴族並みの暮らしをする。そうそう、今日はごろりと横になりながらTVを見ていると、ビヴァリーヒルズに住む金持ちの紹介があって、彼らが開くパーティの様子が面白かった。セレブ同士でも位があって、より有名な人の機嫌を損ねないようにパーティの主宰者は気を使う。へまをすると悪い評判が立って、仲間外れにされるからだ。その有名なセレブというのは中年女性のジュエリー作家で、パーティに呼ばれながら、宝石を詰めたケースをしっかり持参し、集まっている女性たちに見せていた。見せられた者はひとつでも買えば、より上のセレブを紹介してもらえるのだろう。金持ちはそれなりに交際が大変だ。パーティの主宰者は、夫が衣服の製造販売で成功し、2500坪が25億円するという邸宅で暮らしている。ビヴァリーヒルズではそれが普通か、それ以下かもしれないが、結局はみな成金だ。パーティに集る顔ぶれを見ても趣味がいいとは言えないことがわかる。一代で成功し、いわゆるアメリカン・ドリームを実現させる連中は、モーツァルト時代の王侯貴族と比べてどれほど芸術に関心があるかとなると、おそらく何も変わっておらず、俗物の集団であろう。それでも彼らがいることで金が回り、時代に見合った芸術が生まれて行く。そして、彼らの名前はすぐに消えて、芸術家の作品はもっと長生きする。そうでも思わない限り、モーツァルトにしても給仕と一緒の食事には耐えられなかったろう。
●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_147312.jpg

 さて、ここ数日は今年見た展覧会の感想を書いている。展覧会には相変わらず熱心に出かけるが、その感想を書くのはだんだんと億劫になって来た。だが、せっかく見たのであるから、何か書いておくべきとは思っていて、その思いが年末になって高まった。そうして書き始めると、次々に忘れかけていたものを取り上げる気になる。いっそ今年見たものを全部書こうかという気にもなるが、先ほどチケットの半券の束を見てその気が失せた。見たことをすっかり忘れている展覧会が多いからだ。やはり半年がいいところで、それ以前となるともう思い出せない。思い出せないものはどうせ大した内容でなかったか、昔見たのと同じような内容で、改めて書く気がしない。で、今日は何を取り上げようかと迷いながら、数時間前に閃きがあった。それはいささか大げさな表現だが、昨日の投稿つながりで宮廷を思い出し、宮廷画家の作品を取り上げるのがよいと思った。それと、ここ数日は「赤」でつながっているので、今日は赤い薔薇の写真を載せる。実はこれも随分前から気になっていた。5月に大阪天王寺の市立美術館に出かけた帰り、天王寺公園の片隅にたくさんの薔薇が満開になっていた。それがあまりい見事なのでたくさん写真を撮った。それらをブログで紹介するつもりが機会がなかった。それで撮った写真は記憶媒体にそのままになっていて、その後から撮った写真をブログ用に加工するたびに気がかりであった。それら全部を載せることはとても出来ないし、また少しでも載せる機会は見つかりそうもなかった。来年の5月になればまた薔薇はたくさん咲くから、その時にでもしようかと思いつつ、1年も経っての投稿はあまりいいことではない。それで、それらの写真の中から赤い薔薇を選んで載せれば、今日の投稿内容にはふさわしいし、ここ数日の「赤」ともつながると今日は閃きがあった。けっこう、毎日の投稿をこうして何にするのがよいかと思案する。そうであっても読者にはそれがわからないだろう。ついでに書いておくと、ここ1か月ほどは急激に訪問者が減り、多い時は数百人あったのがその10分の1ほどで、「クリエイター」部門の順位は250位ほどになっている。252位までが表示されるので、もう筆者のブログはその圏外になりそうな不人気ぶりだ。そうなるようなことを何か書いたのかどうか、心当たりはほとんどないので、今の調子で書き続ける。
●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_147991.jpg

 感想を書くつもりでその機会を逸したのが今日最初に取り上げる『ルドゥーテのバラ図譜展』だ。この展覧会については見たことだけは言及した。またそのチケットの半券の画像を載せた。「緑のタペストリーと絨毯、その12」だ。その時にはもう展覧会の感想を書かないと決めていた。ボタニカル・アートには70年代から強い関心があり、その手の本をもっと出版してほしいと、今はない京都書院の社員に話したこともある。その後急速にボタニカル・アートは人気が出て、たくさんの本が出版された。90年代だったか、薔薇の図譜のポストカード・ブックを買い、それを1枚ずついわきのTさんに2,3年要して送り続けたことがある。その表紙は手元に残しているが、今日紹介するルドゥーテの絵はなかったように思う。それを確かめるためにはTさんに訊くより同じものをまた買えばよい。ところがアマゾンその他で何度も調べているが見つからない。そういう本は何度も版を重ねないのかもしれない。それはともかく、薔薇の図譜の展覧会が開かれるというので、期待して出かけた。5月8日であったか、その前日だろう。心斎橋の大丸が会場であった。筆者ら以外は数人の客で、天気のいい頃、そのような地味な展覧会に足を運ぶより、本物の薔薇を見るために青空の下に繰り出す方がいいと思われたのだろう。会場の中に椅子が並べられ、チェンバロの演奏があったが、人の少なさに精彩がなかった。それはいいとして、ルドゥーテの名前は初めて知った。チケット裏面に説明があるので少し引く。『現在のベルギー南部サンチュベールに生まれ、フランス革命前夜から七月王政にわたるおよそ半世紀をパリで植物画家として活躍したピエール=ジョセフ・ルドゥーテ(1759-1840)の代表作『バラ図譜』全図を紹介する展覧会です。大航海時代から続く世界的な博物学への関心の高まりを背景に18世紀から19世紀にかけて、ボタニカル・アートはその全盛期を迎えました。中でも19世紀初頭、バラ・ブームの火付け役となったナポレオン皇妃ジョセフィーヌがマルメゾン城館の庭園で栽培した数々のバラを中心に、ルドゥーテが169点の彩色銅版画シリーズとして刊行した『バラ図譜』(1817-24年)はその最高峰とされるものです…』 所蔵はコノサーズ・コレクション東京というところで、これはオークションで同社が入手したのだろう。銅版画は数十や数百といった数が刷られるので、日本に所蔵されていることは珍しいことではない。現物を購入すると、将来価格が上がれば儲け物であるし、作品を本や絵はがきにしたり、あるいは何かの宣伝に使ったり、またこうして展覧会を開くことも出来る。高価な買い物と思っても将来得するようなものを購入するのがよいが、それには儲ける考えより、まずはその作品が好きかどうかだ。
●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_1473824.jpg

 同じサイズの全169点の作品は、大宴会と言ってよいほど壁面に隙間なく額縁が並ぶ。それら順に見て行くことは、最初の数点で馴れが生じ、後半になるともう満腹で、半ば駆け足になる。正確に姿を伝える図鑑絵でもあったから、絵としての美しさを工夫しているとは言い難い。それに169種もあれば、中には目立たない形の薔薇も混じる。あるいは似た形のものが続きもして、変化に乏しい。それはたとえばムンクやクレーといった画家の展覧会に並ぶ絵と比べての話で、169点の版画はどれも違った絵であるから、薔薇に特に詳しいか、関心のある人はわずかな差を楽しむだろう。あるいは、筆者が多少違和感を覚えたのは、現在見慣れている薔薇とはかなり形が違うところだ。それはルドゥーテの癖なのか、あるいは当時の薔薇が今とは違っていたのかわからない。チケットには向かって右に黄色、左に赤の薔薇が印刷される。双方に共通するのは、ボールのように花が丸いことだ。そのような薔薇を筆者はあまり見たことがない。ルドゥーテはあえてそのように豊満な形を選んで描いたのだろうか。それは大いにあり得る。何しろ王宮から命じられて描いたもので、王の権威にふさわしい風格がいる。それにはどこか尖った、あるいは痩せたような形は排さねばならない。完全無欠の球体状が好まれたであろう。正確に描くとはいえ、薔薇の花は厳密にはひとつとして同じ形がない。ならば、描くのは理想形となる。そのような操作が感じられてあまり面白くなかったのかもしれない。今は写真の図鑑が多いが、写真ではどれかひとつの形を選ばねばならず、ひとまず理想化は無理だ。そしてその方がかえって面白いかもしれない。ボタニカル・アートにもいろいろ傾向があって、ルドゥーテが描く薔薇は品種の同定が可能という最低限のことは守りながらも、絵として美しく見せようという思いが働いている。ところが、その絵を構成する技術は二、三流であったらしく、はっとさせる驚きがない。ボタニカル・アートには写実に徹しながら、花や葉、茎、実の構成にかなりのデフォルメ的思いが働き、長方形の画面に強引に押し込めているものがある。ルドゥーテはそうした一種のグロテスクさを嫌ったか、あるいは皇妃が嫌うと考えたのだろう。それは皇妃が俗物であったためかもしれない。あるいはフランスの当時の王宮がそうであった。彼は花のラファエロと称されたそうだが、ヨーロッパの人たちにそう見えるということは、彼が描いた植物図譜に、ヨーロッパ人が思う花の絵の美の典型があるとせねばならず、東洋人の筆者にはそれがわからないと言うしかないか。そうそう、昨日迷いながら載せなかった写真がある。『フランス工芸の美』の図録に白黒で掲載されている図版で、16世紀のタペストリーの断片だ。ルドゥーテより2世紀前の作品で、どの花も文様化されて均等な大きさで並ぶ。だが、水仙やアイリスなど、名前はすべてわかるほどに特徴は描かれている。鑑賞だけが目的の絵と、図鑑を兼ねた絵との差と言えばそれまでだが、それに留まらない差が双方の間にあって、ルドゥーテは難しい位置にいたと思わせられる。2世紀前のタペストリーの原画家と同じであってはならず、新たな時代の気品が求められた。それは明るさと言ってもよい。花がほとんど隙間なく押し込まれるタペストリーの絵とは違い、ルドゥーテの図譜は背景を真っ白にし、また余白を大きく取って風通しがよい。であるからなおさら豊満な形の花を描く必要があったのだろう。
●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_1482016.jpg

●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_1484330.jpg さて、夏になってまたルドゥーテ展が大阪の百貨店であった。てっきり薔薇の図譜かと思いきや、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』と題され、別の仕事であることがわかった。前回とは作品はだぶらなかったと思うが、薔薇の作品もあった。全144点で、大判の作もあった。図鑑絵というより、花束や果物など、より鑑賞を目的にしたものが多かった。蝶を飛ばしたものもあって、それは文様的効果となって、先の2世紀前のタペストリーの断片に描かれる花に近い味わいがあった。ルドゥーテの銅版画は微細な点の集合で、多色刷りだが、手彩色も加えている。手彩色の差による同じ図が展示されていて、2点はかなり印象が違った。筆者は銅版画の技法には詳しいつもりだが、ルドゥーテの作品は版は1枚のはずだ。それで多色を刷っているのは、版が細かい点の集合であるためにより可能となっている。色の境界を仔細に見れば、異なる色がわずかに混じって濁っている。たとえば、赤い花弁に緑の葉が接している箇所は、インクが混じり合わないように注意深く版に詰めるが、ごくわずかに赤と緑は混じり合う。これが赤は赤、緑は緑の版を作ればよいが、そうすれば今度は版ごとにずれが生じやすい。そこでより手軽で多色が可能な1版多色刷りを行なった。そしてそれだけではまだ豪華に見えない場合は手で彩色を加えもした。1版多色刷りはたとえばムンクの木版画もそうだ。浮世絵の版画を見慣れている者からすれば、そうした仕事はかなり手抜きに見える。ムンクの作品の場合は、表現主義的激しさでそれがかえって効果的だが、限りなく精緻さを目指したルドゥーテの場合、1版多色刷りは味気なさに原因になっている。そこは絵の緻密さで補おうというのだろうが、当時は色ごとに版を用意する銅版画はまだ無理があったのだろう。ルドゥーテは若冲より40年ほど後の世代だが、王宮に集められたたくさんの薔薇や珍しい植物を毎日見ながら、誰もやったことのない意義ある仕事に携わっている思いはあったに違いない。それが版画という形でやがて世間に紹介されれば、当時の庶民でも見ることが出来ると考えたろう。そして、200年ほど経って日本でもこうした展覧会で見られているが、当時よりもっと多くの薔薇の品種があちこちに植えられ、誰でも鑑賞出来るし、自分ならどう描くかを考えながら、本物の花を見ている方が楽しいかもしれない。下の写真も上の赤い薔薇と同じく、天王寺公園で撮った。いろんな色が混じってとてもきれいだ。この写真を今年中に掲げる機会が出来た。
●『ルドゥーテのバラ図譜展』、『宮廷画家ルドゥーテ 花の美学展』_d0053294_149769.jpg

by uuuzen | 2013-12-30 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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