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●飾り馬を求めて、その1
馬のように9月初旬以降現在まで、あることにかかわり合っている。そのことはすでに以前の投稿で匂わした。たとえば10月17日の「法輪寺の人形塚」、同25日の「弘法さん、天神さん」だ。9月の8日だったか、九州の知り合いのFさんから電話があった。



伏見人形の干支物を毎年10個丹嘉に注文しているが、来年用の「飾り馬」はすぐに予約がいっぱいになってしまい、筆者にどこかで探してもらえないかとのことだ。ネットで調べると、9月2日から予約開始だ。2,3日後にはもう完売したようだ。そんなことは珍しいそうだ。毎年伏見人形を贈り物にしているからには、来年用だけ手に入らなかったでは格好がつかない。馬の人形は伏見人形だけではない。安いものなら1000円までで土鈴が売られる。だが伏見人形独特の味わいは、ほかの土人形あるいはそのほかの素材では間に合わない。そこで、新作は手に入らないが、新品同様の古いものならどうにかなるかもしれない。ところが10個は揃うだろうか。入手出来てもかなり汚れている者が多いはずで、汚れを除去するなど、修復作業が必要だ。お歳暮として贈るものであるから、いかにも中古品では駄目だ。古いならそれなりに風格がほしい。とてもお世話になっている人の希望なので、どうにか願いをかなえてあげたい。そこでつてを頼って各地を奔走することにした。この話題をブログに取り上げるのはまだ少し早いが、同時進行もいいかと思う。何回のシリーズになるかわからないが、今日から断続的に書く。その予告篇は「法輪寺の人形塚」や「弘法さん、天神さん」だ。9月は数年ぶりに弘法さんと天神さんに出かけた。それは伏見人形の飾り馬を探すのが目的であった。もうひとつ理由があったが、それは追々書く。また天神さんに出かけたことである人と出会った。そのことも後日書く。「法輪寺の人形塚」に載せた写真からわかるように、伏見人形の中古品で飾り馬を探すことは9月下旬頃にはほとんど諦めた。天神さんに行った頃にはもう自分で作る気になっていた。いや、Fさんから電話があった時にその考えが脳裏をかすめた。新品が手に入らないのであれば、作るしかない。そのようにしてでも依頼をかなえてあげたい。ところで、飾り馬の伏見人形は、筆者は3つ持っている。最も大きいものは菱平の作で、長さが30センチほどある立派なものだ。たてがみは苧麻の束を4,5か所に埋め込んである。思い出した。これは厳密には飾り馬ではない。鞍を載せているだけで、脚の周りに相撲取りのような化粧まわしを取りつけていない。そのため、制作はかえって難しいだろう。脚が剥き出しで、折れやすいからだ。この人形は7,8年前に弘法市で買った。売り主は今でも健在で、いつも書画を並べている。とあるおばあさんが大事にしていたものらしく、最初は値段がかなり高かった。2,3か月粘り、ようやく売ってもらえたが、しかもかなり安かった。その時、同じような大きなものを5,6個まとめて買った。どれも状態がよく、色落ちや汚れ、傷がない。その人形好きの女性が亡くなったので、家族が放出した。筆者は毎日それを眺めて暮らしているし、また売るつもりはないので、おばあさんは喜んでいるのではないだろうか。筆者の次の持ち主にも同じように長年大切にしてほしいが、どうなるかわからない。
 残りふたつの飾り馬は、ひとつはこれもブログに書き、また写真に載せた。8月7日の『伏見人形展-我国の土人形の元祖をたずねて』だ。その最後の写真は十二支の伏見人形を円形に並べている。その中の馬が「飾り馬」だ。つまり、筆者は運よく8月に「飾り馬」の実物を入手していた。もっとも、その写真はいくらでも手に入るし、また有名なものなので、形は知っていた。それでも同じものを見ながら作るとなると、写真より実物があった方がよい。Fさんからの電話の後、飾り馬を求めて市内を右往左往し、一方でネット・オークションで探すこともした。先月ひとつ落札した。『伏見人形展-我国…』に載せた写真のものより一回り小さく、長さ9センチほどか。これが1000円だ。Fさんが欲しているのはそのサイズか、その上のサイズすなわち『伏見人形展-我国…』に載せた写真のもので、丹嘉では前者が2000円台、後者が3000円台で売っている。筆者が作ろうとしているのは後者だ。双方を並べると、断然後者がよい。前者の方が細部は省略されているから作るのは簡単だが、どうせ作るなら後者がよい。実はFさんにはつてを当たっている最中と伝え、筆者が作りかけていることを伏せている。筆者が作ったものを伏見人形と呼ぶのは具合が悪いだろう。嵐山で作るからには嵐山人形か。また、丹嘉の商品を模写するのであるから、海賊商品となりかねない。それで、丹嘉のものをそっくり模倣するのではなしに、あらゆる部分を吟味し直し、筆者の納得行く形に変えた。そうは言っても、完成されている形であり、変更した箇所はぱっと見にはわからないかもしれない。ともかく、手元にある実物の飾り馬に粘土を押し当て、型を取ったのではなく、手元に置いて見ながら作った。これは模倣でもまだ創作に近い。伏見人形を作るとなると、クリアすべきことが多々ある。焼き物に彩色をするのであるから、まずどこで焼いてもらうかだ。彩色は本職とはいえ、相手は土人形であり、また泥絵具を使うから、染色とは勝手がかなり違う。そのために費やす時間や労力、材料費を考えると、買う方がはるかに安くつく。だが、予約がいっぱいで、しかも古いものが手に入らないでは仕方がない。陶芸は若い頃に市民アトリエに通って学んだ。轆轤など、道具は持っている。それに初歩的なことは知っている。ネット社会になって、陶芸用の土は通販で容易に買えるようになった。陶芸窯もそうだ。だが、趣味として頻繁に使うのならいいが、そうでなければ10万や20万円の出費は痛い。それに電力はだいたい200ボルトで、わが家はその契約をしていないし、電線も引いていない。ただし、ブレーカーを見ると、家までは200ボルトが来ていて、後は宅内工事のみだ。隣家はたくさん電力を使っていたので、200ボルト用機器がいくつかあった。もっとも、それを撤去した後、電線もついでに取り除いてしまった。100ボルト用の窯もあるが、サイズが小さく、筆者の作る飾り馬がかろうじて1個入るか入らない大きさだ。それでも10万近くする。
●飾り馬を求めて、その1_d0053294_106048.jpg

by uuuzen | 2013-11-02 23:59 | ●新・嵐山だより
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