鉢植えで家内が何年か前にもらって来た観葉植物がある。それを去年か一昨年、筆者は鉢から取り除いて裏庭の片隅に地か植えした。それ依頼成長が止まったかのようだ。鉢植えの方がよく育つのに、筆者はすぐに地か植えしてやる。
映画『レオン』の最期では、レオンが持っていた鉢植えの観葉植物を少女が広い場所に地か植えする。レオンは鉢植えの植物であったと言いたいのだろう。鉢植えはやはり肩身が狭いようだ。少女はレオンが大事にした植物を、せめてレオンが感じていたように狭い世界に閉じ込めておくことを嫌ったのだ。その映画に影響されるのではなく、筆者は何となく鉢植えがいやだ。それはさておき、家内がもらって来た観葉植物は花を咲かせたことがない。それと同じ植物が郵便局近くの大きな家の玄関脇に鉢植えされていて、ちょうど今白い花が咲いている。「ここでは咲くのにわが家では駄目なのはなぜか。やはり地か植えしたのがよくなかったのだろう」。だが、今さら土から掘り起し、鉢に植え替えることは出来ない。出来ないことはないが、筆者には無理だ。かえって枯らしてしまう。地か植えに馴れればそのうち、花を咲かせることもあるだろう。気長に待とうホトトギスだ。さて、その花の写真を今日は最初に載せるが、2時間前からその名前を調べ、今ようやくわかった。実は知っていたはずなのに、写真を撮った数日前には思い出せなかった。すぐにわかると高をくくっていると、これを書き始めようとなったのに、わからない。とっくに書き終わって投稿が終わっているはずなのに、今ちょうど日づけが変わってしまった。わからないなら、そのことを書いて投稿すればよかったのだが、最初から知らないのではなく、もともと名前を知っている植物で、思い出せないのが気持ち悪かった。だが、どうも筆者は少しずつそのようなことが多くなって来ていると見える。認知症の始まりというやつだ。それを認めたくないので、何時間かかっても今夜中に調べてやろうと決めた。ネットで調べても駄目で、手持ちの植物図鑑を繙いた。観葉植物であるので、その周辺を含めて調べてもわからなかった。それで階下の家内に訊ねることにした。「ナナコユリだったかな」と言うので、それをネットで調べると、何となく近い種のようだが、葉も花も形が違う。それでまた摂氏35度の部屋で汗みどろになりながら挌闘した。すると、先ほど調べた週間朝日百科の『園芸植物』の合本製本の背の、筆者が自分で友禅染めした30種ほどの植物の文様に、その特徴ある白い縁のあるハート型の葉があった。つまり、筆者にとってはよく知るどころか、絶対に忘れないほどの植物の代表であるのに、その名前が出て来なかった。早速同本を調べると、即座にわかった。「ギボウシ(擬宝珠)」だ。これをなぜ思い出せなかったのだろう。こんなあたりまえの名前が出て来なかった。ついにわかった喜びより、2時間調べてもわからなかった腹立ちの方が大きい。

それにしても花の名前を調べるのは骨が折れる。図鑑はほとんど役に立たないのではないか。一番理想なのは、葉の形やそれが対生か互生か、また花の形や色を入力して、少しずつ範囲が狭められて行くようなプログラムだが、誰もそんな儲からないことをしない。7、8年前だったか、ネットで有料で花の名前を2,3日以内に教えてくれるサイトを見かけた。数人が共同して調べるもので、写真1枚につき1000円ほどであったと思う。そのようにしてでも知りたい人は大勢いるだろう。筆者は花の名前などどうでもいい方だが、何かを猛烈に知りたいという人の気持ちは理解出来る。一旦そうなると、とことん突き詰めたい人がいる。今ではネットの写真を載せ、たとえば「この花の名前を教えてください」と質問すると、すぐに教えてくれる人が何人もあるだろう。便利になったが、筆者は自分で調べた方が早いと思うので、今夜も根性で2時間かけてついにわかった。話を戻すと、先の園芸百科の付録に、5ミリほどの厚さの小型本があった。それは知らない植物の名前を調べるためのもので、前述した筆者の考えはそこから来ている。となると、この付録本は万能のようだが、実際には一度もそれで調べたことはなかった。範囲を狭めて行く方法をたとえばフローチャートに起こすと、あまりにも複雑で、もう最初の段階で諦めてしまう。それは何万、何十万とあるすべての植物を対象にして調べるためで、それこそネット時代にその考えをプログラム化して、調べたい人は検索窓に順次思いつくキー・ワードを入力して行けばよい。だが、筆者は同じようにしてGOOGLEで検索しているわけで、「夏 白い花 観葉植物 白い縁 アオイカズラ ハート型の葉」といった言葉を入れ替え差し替え入力したが、「ギボウシ」の名前どころかその画像にも行き当たらなかった。つまり、入力する言葉を本人が適当と思っていても、一般的にはそうは思われていない可能性がある。「ギボウシ」と入力すると、一瞬で筆者が見たいと思っていたその植物の画像がたくさん表示されるのに、その言葉を知らねば、行き当たりようがない。これは検索のまずさ、すなわち筆者の責任と言えるが、どういう形の植物かをよく知っているのに、それを言葉で表現し、そしてパソコンに教えてもらうことはとんでもなく難しい。それで1000円出しても知りたいと思う人がいる。

パソコンは確かに便利だが、まだまだ不便な機械で、情報を知りたくても遭遇出来ない場合の方がはるかに多いはずだ。どうすれば数秒で知りたいあらゆる情報に辿り着けるか。今のところ人間にかなわない。ただし、その人間関係が煩わしいので、パソコンに何でも情報を蓄積し、自分でそれを引き出すようになった。花の名前を知りたいことに関しては、今後は検索言葉がとても曖昧なものでも、それら複数を合成してパソコンが検索者の思いを汲み取るプログラムが求められる。それは現在のスーパー・パソコンで可能なのか、あるいはパソコンの仕組みを根本的に組み立て直すべきなのか、判断が分かれるだろう。よく言われるように、人の思いを読み取るような知能がパソコンに具わればいいが、そうなるとパソコンが動物のようになって人間に反乱を起こすのではないかといったSF的危惧が生じる。それはともかく、ギボウシの名前を知らず、その形だけを知っている人がネットでその名前を調べる時に最も理想的な検索ワードは何だろう。そこに、物事を他人にわかりやすく説明する言語能力の差が出て来るだろう。筆者は全くの失格で、それは2時間かけて結局わからず、園芸百科本で知ったことからも明らかだ。となると、こんな文章を毎日書いていても、無駄もいいところで、何も読者に伝わらないのではないか。ま、もともとそのように思って書いているので、今さら落ち込まないが。さて、今日の2枚目は誰でも知っているクローバーだ。これは1か月ほど前に桜の林で撮った。もう咲いていないかもしれない。写真も同様で、ほとんど花の時期を過ぎている。この植物は「シロツメグサ」という和名がついているが、筆者が最初に覚えたのは「クローバー」で、3枚の丸い葉がトランプの「クローバー」に採用されたと思っていた。ところが、中学生になった頃か、トランプでは「クラブ」と呼ぶことを知り、植物の「クローバー」とは関係がないのかと不思議に思った。「クローバー」を英語らしく発音すると「クラブ」に聞こえるからだと今は思っているが、本当のところはわからない。「クローバー」は英語でも「クローバー」に聞こえるだろう。となると、「クラブ」は「倶楽部」のことか。ま、このように、この植物には昔からトランプとつながってわからないことがあって、落ち着かない。それも何時間かかけて調べればいいようなものだが、ネットに正しいことが書かれている保証もない。3枚目は3日前にようやくわかった。「スイートアリッサム」だ。筆者の世間はとても鉢の中のようにとても狭いので誰かに話す機会はないし、またややこしい花の名前はどうせすぐに忘れるが、こうして書いておくと、今度調べた時に即座に名前と鉢合わせが出来る。