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●大阪市立海洋博物館 なにわの海の時空館、その8
を使うのかどうか、菱垣廻船を復元した際に用いた大木の輪切りが展示されていた。鉄の船は素材をどういうようにして調達するのか具体的にイメージしにくいが、木造船はわかりやすい。



●大阪市立海洋博物館 なにわの海の時空館、その8_d0053294_23102339.jpgこの年輪が読み取れる巨木は、昔の人がどのようにして船を造っていたかを子どもたちに示すのにいい例だ。巨木を切り出すのであるから、長寿のその命を船に乗り移らせようという船匠たちの祈りと言ってよい思いをわかりやすく説明することが出来る。今日は「なにわの海の時空館」についての最終回で、もう書くべきことがない気もするが、先ほどネット検索で面白いサイトなどに出会ったので、その紹介を中心に話を進めよう。筆者はこの館の存在を意識したのは5,6年前かと思う。何度も書くように、大阪の各地を紹介しているサイトで館内の写真を見た。行く気になった直接のきっかけは昨秋の「関西文化の日」だ。入場無料で見ることが出来た。大きな赤字を抱えている建物なので、その期間中に行くことは赤字解消に全く貢献しないが、こうして8日も費やしてあれこれと紹介することで、わずかながらも認知度が高まる。「関西文化の日」の期間中より1か月ほど前か、TVで橋下市長がこの建物について発言している様子を見た。YOUTUBEにその様子が紹介されている。『橋下市長「時空館の「浪華丸」は保存したい市民に売ってもいいですよ」』で、大阪の財政が非常事態に陥っているので、赤字の施設は黒字になるようにすべきで、それが無理なら閉館もやむを得ないというのが市長の考えだ。税金を使う場はたくさんあるから、無用の長物と化しているところにそれを適用することは出来ない。民主主義の市民社会ではそれが当然だろう。だが、税金がすべて無駄なく使われているかどうかは誰にもわからない。また、歳出の無駄使いは永遠にあるはずで、民主主義の表向きの声はいいが、何を最優先すべきかは市民を巻き込んでの長期の議論を通すべきだろう。この館が当初の予想に反してさっぱり人が訪れず、起死回生のためにリニューアルしても焼け石の水のような状態で、開館しているだけで毎年億単位の金がかかる。そんなことが建設前に予測出来なかったのかどうかだ。学者が集まって建てるのはいいが、建てた後の維持費までは頭が回らなかった。入場料で賄うという考えは甘くも崩れた。だが、そこでまず思うのは、責任を企画した学者たちに押しつける問題はひとまず置いて、この館の認知度の問題だ。せっかく建てても宣伝が行き届かなければ意味がない。筆者が腰を上げて行く気になったのは、市長が閉館もあり得ることをTVで発言し、今のうちに見ておかねばならないと焦ったからだが、それはTVの威力もあってのことだ。つまり、TVによって認知度が高まった。
●大阪市立海洋博物館 なにわの海の時空館、その8_d0053294_23104880.jpg 物を作るのと売るのとでは、後者の方が才能がいると思われている。日本は全く前者については強くても、後者はさっぱりだ。宣伝が下手なのだ。家電製品の海外での売れ行き不振やオリンピック誘致もそうだ。この宣伝はどこかの専門の企業に取りあえず任せることが出来るが、一時的な人気獲得にはなっても長期の間にまた来館者数は減少する可能性が大きい。先のYOUTUBEでは市長は大阪城を引き合いに出している。大阪から大阪城がなくなると市民は黙っていないが、この館の菱垣廻船がそうなっても誰も気に留めないという考えだ。大阪城は鉄筋コンクリート製で、江戸時代の復元とは言い難い面がかなり強いが、台地にあってとにかく目立つ。学術的に見れば菱垣廻船の復元は大阪城以上に大きな意味を持っているように思うが、大阪人でも一生に一度行くか行かない海辺の果てにあって、しかも船が海に浮かんでいずに館内に収まっている。それでも宣伝の方法はあるだろう。キャラクターを作って、愛称も募り、大阪名物のお菓子のデザインに使うなど、とにかくまずは存在を広める必要がある。リニューアルする費用でその程度のことは出来るのではないか。僻地のようなところにあるのは、それを逆手に取るのもよいし、周辺に若者が喜びそうな施設を誘致するなど、まずは賑わいを作り出す。その一方でこれは地道だが、江戸時代の大坂の貫禄を市民に再教育するようなTV番組などをどんどん放送する。東京からは無視されるから、大阪から発信する。ミニTV局を館内に設けるほどの思い切った措置だ。そのようにしてこの館を大阪人なら誰でも知っているものにする。市長の発言を聞いていると、市長はここを訪れたことがなく、また興味もない様子に愕然とさせられる。だが、民主主義の原理によってみんなが選んだのであるから、その意見は大阪を代表しているものとみなされる。市長がさっぱり関心がないほどにこの館の認知度が大阪人にそもそもない。これが誰でも知るようになり、また一度は訪れるということになると、大阪城と同じとは言わないまでも、新たな市のシンボルになるはずで、せっかく建てたものをもっと有名にしようという行動力が関係機関に求められる。
●大阪市立海洋博物館 なにわの海の時空館、その8_d0053294_23111269.jpg

 もうひとつ見たYOUTUBEに、『大阪市海の博物館「菱垣廻船10億円 全体176億円」大阪市役所』がある。題名が示すように菱垣廻船は製造に10億かかった。館全体では176億だ。廻船の費用は館のシンボルであるにもかかわらず、予想外に小さい。これは館という箱物建設で潤った業者があることを示すだろう。展示品の購入費用がわからないが、津波に破壊されても深刻なことにはならないようなものばかりという気がするので、さほどでもないはずだ。筆者が訪れた時には廻船の説明員はすでに解雇された状態であったらしく、また子どもが喜びそうな荒海を運行する疑似体験施設も停止状態になっていたのではないだろうか。金がかかるものから廃止し、それでもなお赤字が止まらないが、以前にあった売り物がなくなるとかえって来場者の減少を招くところがある。ともかく、176億円は大きなものを造り過ぎたのではないか。今さら言っても始まらないが、市長が言うのは廻船をどこかが買ってくれるならば売るというくらいの覚悟で、これは閉館寸前ということだろう。半円球のドームの中央から廻船がなくれば、この館は何に転用されるだろう。展示場としては充分な広さがあるので、新車ショーや映画は可能だろうが、いつも人がたくさん訪れることにはならない。少し東にあったサントリー・ミュージアムは入場者の減少によって閉館となった。館はまだまだ使えるので、市に譲渡された。その後何に使われているかと言えば、やはり展覧会だ。ツタンカーメン展やワンピース展が開催され、入場料はかなり割高であったにもかかわらず、どちらもサントリー・ミュージアム時代にはほとんどなかった入場者数を得た。これはどういう催しをすれば人が集まるかをよく考えていることとともに、宣伝のうまさもある。ツタンカーメン展は心斎橋筋商店街にお笑い芸人を使った大型の垂れ幕をいくつも吊るし、またTVの宣伝も多かった。多くの宣伝費を使っても多くの人が訪れると採算は取れる。またそれは期間限定の催しでもあったからで、常設展示となるといつ行っても同じであるから、筆者のように気になりながらも何年も行かないままとなる。ここがこの施設の運営の難しいところでもある。
 市長の発言からは、こういう施設を作った学者に対する厳しい眼差しが伝わる。造った後は放ったらかしで、赤字続きでも税金を投入せよというのでは、ごく普通の市民を説得することは難しいだろう。それほどに学者は浮世離れした人種で、経済観念がない。それはそれでいい。そういう人種もいて世の中は変化に富みながらうまく機能している。筆者は菱垣廻船を目の当たりにして奮い起こされる何かを内に感じた。夢やロマンといった卑近な言葉を使うしかないが、何でも合理的に考えることがよいかどうかとなると、個人が儲からなくても何かに投資したり、また他人からは身分違いな贅沢品と思われるようなものを購入したりすることがあるのと同じで、市は一見無駄使いと思える施設を抱えてこそ、立派であるという見方をする人があることを忘れてはならない。それこそ学者側に立った意見で浮世離れしていると批判されるだろうが、大阪市の風格として、菱垣廻船の復元は実に立派なことであった。そういう立派なことを無理してでも行なわない者は尊敬を得られない。この廻船がわずか10億で出来たことは意外であった。たった10億ではないか。入れ物としての建物がなくなっても、廻船はどこかに保存ずべきだ。10億費やせばいつでも復元可能かと言えばそんな単純なことではない。技術は一旦廃れると復活は不可能な場合が多い。今日は菱垣廻船の復元についてのサイトを見つけたが、あまりに地味で、ほとんど知られないのではないだろうか。先のYOUTUBEにしても訪問者数は3桁という驚くべき少なさだ。宣伝が行き届かず、認知度がないと言わざるを得ない。市長にすれば、この館にたくさんの人がやって来て、赤字が黒字に転ずれば何の問題もない。TV番組の視聴率と同じ考えだ。それをあまりドライで、芸術や文化への理解がないと揶揄するのは簡単だが、市長としては少ない税金で数多くの施設をどう運営すればよいか、今までの市長がなる術がなかったことに対して無慈悲であっても仕方ないという立場だ。昨日書いたように、縦割り行政の弊害がこの館にもあるだろう。ツタンカーメン展の宣伝にお笑い芸人を登場させ、心斎橋で誰でも目につく広告を出すというのは、そういう行政からはまず出て来ないアイデアだ。大阪が一体化するのに、今はお笑い芸人の重要性は驚くほど高い。学者はそれに眉をひそめるかもしれない。だが背に腹は代えられず、どんな手を使ってもまず誰にでも知ってもらい、一度行ってみたくなるムードを作り出すしかない。中之島図書館は重文指定を受けているが、図書館に使うのはあまりにもったいないという市長の考えによって、商業施設に様変わりさせる計画が上がっている。大阪は江戸時代から商業の街として日本を代表した。「なにわの海の時空館」も展示以外に独特な店舗を併設してもいいのではないか。理想を言えば、海遊館のすぐ隣りに建設されればよかった。今からは無理なので、この館の周辺に賑わいを作り出すしかない。大津波の心配はあるが。
●大阪市立海洋博物館 なにわの海の時空館、その8_d0053294_23113587.jpg

by uuuzen | 2013-02-11 23:07 | ●展覧会SOON評SO ON
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