●「武田理沙~フランク・ザッパ・メドレー関西初演」 武田さんと筆者が10月26日、大阪の神山町のALWAYSにて対談します。
●タイガー・コペンハーゲンの雑貨
価なものにろくなものはないというのがだいたいの相場だが、見慣れないものならばそれが新鮮な間は価値がある。去年の真夏、デンマークの雑貨チェーン店が、外国では初めて大阪難波のアメリカ村にオープンした。



あまりの満員で、たちまち商品が売り切れ、休店になった。いつ再開するのかと思っていたところ、確か12月にまた営業することになった。家内と大阪に出た時、ふとそのことを思い出して、去年12月のクリスマス頃、久しぶりにアメリカ村を歩いた。10年は経っているかもしれない。タワー・レコードや周辺にある中古レコード店を覗くのが主な目的で以前は難波に出るたびに行った。筆者のような世代では場違いな場所だが、探していたCDをほしいという思いが勝った。ところが、そんな収穫はほとんどなかった。それでもそうして探さねば入手出来ない時代であった。それがネット・オークションなど、ネットを通じて簡単に見つけられるようになったので、アメリカ村は縁遠い存在になった。今回訪れると、昔とほとんど変わっておらず、若者がたくさん歩いていた。家内はどこに行くのかといぶかった。三角公園のすぐ近くであることを知っていたので、道頓堀から迷わずに最短距離を歩いて着いたが、店の前は長蛇の列だ。寒空の下、長く待つのはいやだ。すぐに最後尾にいた若い男性係員に訊いた。「何時間待ち?」「1時間です。あっちの公園にも並んでいますから、その後ろについてください。」これには参った。そして三角公園まで戻り、さらに西へ歩いて堀江方面を散策しようかと思ったが、風景が少しさびれたので家内はいやがった。それでまた三角公園に戻ると、列の長さは相変わらずでも、待っている人たちはどんどん前に進む。それにざっと見積もったところ、1時間待ちはあまりにおおげさで、せいぜい20分で中に入れるような感じがした。それで最後尾に並ぶと、すぐに筆者らの後に10、20と人が集まって来る。そしてやはり次々と10数人単位で前で誘導される。結局店内には15分ほどで入れた。待っている間に家内に店のことを簡単に教えた。そんな店が大阪に出来ていることを家内は知らなかった。それで店内に入った途端、えらく嬉しがってつぶさに商品を見始めた。2階の方が商品は多い。1時間ほどいた間、10数点買った。どれも100円程度から数百円と安い。100円ショップのダイソーみたいなものだ。だが、デンマークであるから見慣れない色合いやデザインで、それが飛びっ切り安価であるから、つい買い過ぎる人は少なくないだろう。雑貨はだいたい女性のもので、女性に注目されると男性もついて来る。
d0053294_0371621.jpg

 筆者は雑貨好きな方だろう。だが、ダイソーの100円ショップにはほとんど関心がない。ごくたまに買いはするが、生活に使うものをそこでほとんど揃える気は全くない。死んだ友人のNはダイソー大好き人間で、そこにないものを同じ100円で売って億万長者になることを夢見ていた。酒を飲みながらそうした商品アイデアをいくつか聞いても、さっぱり売れるようには思えなかった。また、そうした商品をどこで作るのか、どうして売り込むかという知識や行動が欠如していた。それは他人にやってほしいというわけだ。そんなことで大ヒットする安価な雑貨が生まれるはずはないだろうが、亀の子たわしのような誰でも知っている商品を開発して、その売り上げで左団扇で生涯暮らしたがっていた。そうした発明なり実用新案に費やしたNのお金はかなりに上るだろう。だが、商品化されたのは1点のみで、しかもそれはNが申請した実用新案の権利が切れたので全く知らない人物が勝手に作ったものだ。ついでなのでその商品について書いておくと、買い物を両手いっぱいにして帰宅した時、ドアをどうにか開けたはいいが、中に入った途端背後で閉まってしまう。荷物はもっとあって、また外に出る必要がある場合、ドアを開ける手間が気に食わないとNは言った。そこで考えたのが、ドアを開けたままにしておくストッパーだ。それはもちろんドアの隙間に挟む斜め状のゴムが有名だが、Nにすればそれをドア下に挟むにはいちいちしゃがんでつかまねばならず、手が汚れると言う。そこで考えたのは、ドアの内側にネジで固定する用具で、足で踏むことでゴムのストッパーが床に接し、ドアは勝手に閉まらずに止まる。その設計図を見せてもらった。簡単なもので、商品価格は2000円程度と思われた。筆者はドアが木製ならいいが、鉄ならばネジで固定出来ないことを言った。それにドアを開けたままにすることが年に何回あるかだ。そんなわずかな機会のために購入し、またしゃがみ込んで取りつける人があるだろうか。筆者なら使っている斜めのゴムで充分と主張した。Nはえらく怒って、きっと自分と同じ不便を感じている人がたくさんいるはずで、商品化すれば儲かると繰り返した。その後Nはその設計図を実用新案特許に出した。これは数年ごとだったか、定期的に更新料を支払う。それを怠ると、誰がその案を使って商品を作ってもよい。ある日、Nは新聞の折り込みチラシを筆者に見せた。そこにはNが考えたストッパーと全く同じ商品が売られていた。3000円近かった。1円も手元に入って来ず、無料で他人にアイデアを盗まれたのに、Nは自分のアイデアが認められたことに大喜びした。そのチラシ以降、その商品の写真すら見かけない。商品化した人はNの思いに同意したものの、商品が売れずに大損したのではないだろうか。Nはその後も発明に熱を上げ、筆者が辟易するアイデアを聞かせた。一方で筆者は大阪に発明家がたくさんいて、中には漫画的面白さのみを追求し、お金が一切目的ではない人もいることを話題にした。Nはそういうことはしたくなかった。あくまでも大ヒットさせ、大金を望んだ。億単位の金が転がり込むと、いつも金に苦労している筆者にぽんと数千万円くらいは援助すると何度も言った。嬉しい話ではあるが、どことなくぎすぎすした話題に筆者はついて行けなかった。大金を得てどうするか。Nはそれなりに高収入で、毎晩のように飲み歩き、それで体を悪くして50代後半で死んだ。
d0053294_0373985.jpg

 Nが100円ショップに並ぶ商品はどれもとても100円とは思えないとよく感嘆していた。実際にそうだろうか。日本の100円は海外では価値がある。100円で売っても利益があるので、ダイソーは店舗を日本各地にたくさんかまえることが出来た。大量生産すれば100円の商品はその半額以下で作り得るのではないか。輸送費の方が高い場合もあるかもしれない。IKEAの商品がなぜ安価で提供されているかをTVが紹介していた。輸送コストを極限まで下げるため、コンテナ1個の容量から割り出して商品の梱包の形を決めるという。無駄なく、つまりコンテナ内部に隙間なく商品を並べれば、1個あたりの輸送量は2,3割は減るだろう。つまり、コンテナの形と容量から商品の形やパッケージの形が決められる。これは商品の製造価格のほかに輸送価格が大きな割合を占めていることを示す。それほどの大量生産だ。ダイソーの商品も同様に考えられているはずで、たかが100円の品物でも多大の計算がなされている。それは見方によっては建造物の構造計算以上に美の結晶とも言える。だが、その隙のない金の計算は筆者には息苦しい。そうして生み出される商品は誰でも気軽に買える安価さで、またデザインも悪くなく、実用に富むから、今では100円ショップはなくてはならない存在と言えるだろう。ところが、一昨日書いたように、グランドオープンした梅田阪急は、100円ショップとは正反対に、熟練職人の手技になる伝統的な商品を並べるコーナーがある。確かに価格は1万円程度するものがほとんどだが、それだけ味があって長持ちし、物としての確かさと言うべきものが漂っている。100円で買えば、どうせすぐに壊れても誰もさして文句は言わない。だが、その後味の悪さはどうだろう。筆者は近くのスーパーで数年前に100円のチューブ糊を買った。水色とピンクと黄色の3本で、誰しもどこでも見るような商品だ。そう思って買ったが、それは贋物であった。中国製で、聞いたことのない日本の会社が輸入したものだ。日本の有名な糊を真似て、中国で海賊ものを作らせたのかもしれない。その糊は全くの水であった。本当の話だ。多少粘度はあったが、全くくっつかない。そこで粘度を高めようと、1本のチューブ全体を20分の1程度の量に乾燥させた。それを紙に塗ってもやはり糊の役目を果たさなかった。水を100円で買わされたのだ。中国の製品の質の悪さをそこで実感した。「糊を買ったのであって、水がほしかったのではない」と書いて輸入元にそれを送ってやろうと思ったが、どうせすぐに潰れる会社だ。日本のたとえば不易糊はさすがの名品と言うべきで、それを一朝一夕に中国が同じものを作れるはずがないのだ。
d0053294_0375967.jpg

 タイガー・コペンハーゲンは若い女性が9割を占めていた。クリスマス・シーズンに合わせた商品がぽつぽつあった。ヨーロッパの雑貨であるのでどれも珍しい。それでも大半は中国製だろう。あってもいいと思うものが溢れていたが、それは別になくてもいいものだ。安価であるから買うだけのことで、そうでなければ筆者は買わなかった。ま、初めての店でもあり、記念に何か買って帰ろうとした。ナップサック、小物入れの籠、パソコン用にUSBライト、無地のジグソー・パズル、ランチョン・マット、柱や壁に留めるハンガーといったもので、買ったはいいが、そのままになっているものが半分ある。使い道がないのに買ったものとしては、飾りスパンコールがある。赤や青など、色が派手なのがよかった。服やバッグに縫いつけるにしても、穴が2個しか空いておらず、安定性がない。中国製で、型抜きの際にずれたものがわずかに混じっていた。そうした不良品が混じる点がいかにも安物だ。だが、デザインが面白く、袋から全部ぶちまけて床に並べてみた。家内はそれを見ながら言った。「何でも並べるのが好きやね。」この言葉にはっとした。そうなのだ。筆者は数歳の頃から並べるのが好きで、たとえばABCビスケットを買って来ると、それをアルファベット順に並べ、また欠けているものから食べ、次に数の多いアルファベットを食べた。この配置好きが高じて本やCDをたくさん買って並べるようになったのかもしれない。ロジェ・カイヨワはメンデレーエフの元素周期表に魅せられ、その後の研究課題に決定的な影響を受けた。元素を並べると、まだ発見されていないものが空欄となる。そのことをメンデレーエフは知り、その空欄に相当する元素がいつか絶対に発見されると予言した。そのとおりに歴史は進んで来ているが、このように物事を並べると、やがて未知の世界まで見通せる。カイヨワの方法はそういうものであった。図書館にしても、本をある規則にしたがって並べるので誰もが利用しやすい。きちんと並べることが好きな割に、筆者はそうした整理された集団に属することを嫌悪している。並べ切れないものがなければ世界は窮屈だ。そのはみ出たものは人間の自由を表わしてもいる。今日の写真の2枚目はタイガー・コペンハーゲンで買った中国製のスパンコール、3枚目は3日前に投稿した大阪ステーションシティのてっぺんにある旅行会社の雑貨店のようなところで買った輸入菓子の袋に入っていた製品で、アルファベットのシリアルだ。これは26文字全部揃っていなかった。たぶん小さなものなので、焼く間に形が変化したりして、文字の区別がつかないのかもしれないし、そう考えられてすべて揃っていないのだろう。たまにアルファベットが2,3個固まったものもあって、それが面白い。写真に見える文字が全種類で、それで何か意味の通じる文章をと考えたが、いいものを思いつかない。最上部にある丸い塊が焼く過程で固まったもの。おまけとして4枚目を載せる。これは去年買ったオニビシ。
d0053294_038158.jpg

[PR]
by uuuzen | 2013-01-19 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


●新しいフェスティバルホール >> << ●『二十四時間の情事』
以前の記事/カテゴリー/リンク
記事ランキング
画像一覧
ブログジャンル
ブログパーツ
最新のコメント
関西在住のザッパ・ファン..
by uuuzen at 13:02
大山様 ご無沙汰してお..
by はたなか at 00:35
間違った理由がわかりまし..
by uuuzen at 11:27
やっぱり"Penguin..
by インカの道 at 22:38
確かに7枚組といったボッ..
by uuuzen at 20:20
回答ありがとう御座います..
by インカの道 at 19:14
「ダミー・アップ」の歌詞..
by uuuzen at 23:28
連投ですみません、"RO..
by インカの道 at 15:41
『ロキシー&エルスウェア..
by インカの道 at 14:46
> erichさん 今..
by uuuzen at 22:51
最新のトラックバック
http://venus..
from http://venusha..
ファン
         ブログトップ
  UUUZEN ― FLOGGING BLOGGING GO-GOING  © Copyright 2018 Kohjitsu Ohyama. All Rights Reserved.