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●大阪ステーションシティ
著に変わったと思うことの最も顕著なことは、子どもの成長ではないだろうか。今日は従姉の孫たちを見てそう思った。半年で背がぐんと伸びていた。また顔も変わっている。



それでも以前の面影は顕著であるから同一人物であることはすぐにわかる。これは商店街や街でも同じだ。河原町や天神橋筋商店街は歩くたびに必ず新しい店に気づく。そのようにして数十年も経てば全部の店がすっかり変わるが、その間に何百回と見るので、同じ場所であることはわかる。これが数十年ぶりに訪れる人ならば、即座にはわからないだろう。先月ネット・オークションで大正6年頃に発売された大阪の絵はがき集を見た。それの面白いところは、どの絵はがきにも臙脂色で写真に場所の説明が書いてあって、しかもそれが大阪弁だ。大阪に来る地方の観光客に歓迎されたのだろう。新品の状態で30枚ほどあって、青森に業者が出していたと思う。青森の人が大阪を旅した記念に買い求め、ほとんどそのままどこかにしまわれていたのだろう。筆者にとっては珍しい絵はがきなので落札しようと思ったが、案外同じものは入手しやすく、また大阪の今昔を紹介する本に複製されているかもしれないので、画面で楽しむだけにした。ふと思ったことは、30か所ほどの大阪の名所の現在だ。同じ場所を同じ角度で撮影すると面白いと誰しも考えるが、海上から撮影したものが2,3点あって、それは船を借りる必要があって無理だ。北浜の三越百貨店が開店したばかりの頃に発売されたようで、同百貨店は白木屋と表示されていた。おそらく最も変化していないのは中之島公会堂だ。そのほか、全体に現在の大阪名所と大差はない。大阪が大大阪と呼ばれた頃に大阪の名所はほぼ定まったということになりそうだ。その後出来た名所はもちろんあるが、それれが100年後にあるかどうかはわからない。その点大正6年の時点で選ばれた30か所は形は変わっても今も有名だ。これが面白い。30枚のうちに国鉄の大阪駅があった。阪神百貨店の西北端あたりから撮影した写真で、その後2回か3回建て変わっているので、説明抜きでその写真を見た人が大阪駅と答えられることは今では少ないかもしれない。国鉄の駅舎は京都も何度か建て変わって、現在のものは飛びっ切り風変りなので、100年後でも京都駅とわかるだろう。国鉄の大きな駅ついでに思い出すのは東京駅だ。何年費やしたのか知らないが、ようやく創建当時の煉瓦造りの外観が整ったようだ。それも仔細に見ると昔とは違う点があるのだろうが、創建当時のことは誰も知らないので完全に復元されたと言われればそれを信じるしかない。また、東京駅だけ元の形に戻したのは、歴史的建造物として残すべきとようやく気づいたからで、そうなると大阪駅や京都駅が何度か建て替えられ、そのたびに前の様子から一変したのは反省すべきではないか。あるいは、東京は古い歴史的建造物が少ないので、せめて東京駅は昔の姿のままにと考えられたか。
●大阪ステーションシティ_d0053294_1472078.jpg 国鉄という名称がJRに変わって何年経つのだろう。当時この横文字には反対意見も多かった。筆者は今でも何となくJRと書くことが気恥しい。それほど昔の人間のままだ。幼児にも英語を教える時代であるから、アルファベットを漢字平仮名に混ぜて書くことに全く抵抗のない人が大多数を占めているが、これは日本語がそもそもちゃんぽん主義で、何でも貪欲に取り入れながら、それでも日本語であり得ることの逞しさであって、批判的に見ることはないという意見がある。韓国は漢字をほとんど使わず、ハングル文字だけで記述することが多いが、それは漢字は中国が生んだ文字で、韓国の独立性からして漢字を使うことは中国にへりくだるようなものだという思いによる。そこまで自国の文化を純粋に保ちたいのであれば、子どもに英語を教える必要はないと思うが、日本以上の英語熱だ。それはいいとして、韓国にJRに相当する鉄道会社があるのだろうか。あるとして、その名称をJRのようなアルファベットにするだろうか。電気会社や建設会社ならまだいいが、元は国家経営の会社であれば、それなりの風格といおうか、貫禄が求められるし、それはJRといった軽さでは伝わらないのではないか。日本ではJRが出来てからは特にTVでも横文字をよく使うことになった気がする。筆者はこのブログであえて外来語をあまり使わないようにしている。たとえば「リテラシー」といった言葉だが、これが盛んに日本で用いられるようになったきっかけがあるはずで、たぶんどこかの嬉しがりの大学教授が使い始めたと思うが、今ではその意味がより拡大化され、別ヴァージョンといったものが生まれている。そうなると、ますますその文章を理解することは一般人には難しい。それは、日本語に訳さずに、英語のまま意味を汲み取れということで、日本語は今や英語化が始まっていると言ってよい。どっち道、日本はごった煮の国で純粋といったことからはほど遠いので、言葉がそのように変化しても眉をしかめるのはごく一部の国文学者か国粋主義者で、どんどんアルファベットを混ぜる方向に進むだろう。いずれイスラム文字も使い始めればいいと。そのようにしていつか日本がエスペラント語を母国語にすれば世界で最も進んだ国になる。
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 話は変わる。先日高島屋で1500点だったか、眼鏡が大量に展示販売されていて、目の離れている筆者に適合する眼鏡がドイツ製にあった。しっかりした作りで、また色や形もいかにもドイツで、感心した。ケストナーの父親はランドセル職人で、あまりに頑丈に作り、何十年経っても形が崩れないので儲からなかったという。ドイツ製品はだいたいそのように頑丈に出来ているという定評がある。近年家内が手に神経痛が出初めて、洗濯するのに苦労するようになって来た。わが家の洗濯機は2漕式で、脱水時に水に濡れた衣服を脱水漕に移すのが大変らしい。今使っているものは4,5年前に買ったが、2漕式は昔からだ。全自動式では内部に黴が発生しやすく、本当はよくないと聞いたからだ。だが、それよりも家内の労苦を軽減する必要がある。そこで家内と一緒にヨドバシ・カメラに商品を見に行った。そこで真っ先に目についたのは斜めドラム式で、だいたい20万円ほどする。一方、ネットであれこれ調べると、ドイツのドラム式洗濯機にミーレというメーカーのものがあって、日本のものよりコンパクトなサイズで、台所に置いてもすっきりとするデザインだ。ただし、鉄の塊のようで、重さは100キロを超えるし、200Vで使用するから、日本の普通の家庭ではあれこれと別途工事が必要になる。価格は30万円程度だが、数十年使うことを前提として設計されているというから、先のランドセルと同じでいかにもドイツらしい。日本のドラム式は毎年デザインが変わり、3,4年経てばもう古い。数年で使い捨てなのだ。日本文化は相変わらずそれをやっている。ヨドバシで見たドラム式はどれも前面がでっぷりと太鼓腹のように飛び出て、醜悪なデザインだ。いつから日本はそのように美意識がなくなったのだろう。日本の家電が世界で売れにくくなっている理由が洗濯機ひとつ取ってもわかる気がする。機能がいいのはあたりまえだ。それ以外に毎日接して使うものであるから、気分のいいデザインであるべきだ。ところがどうせ数年で壊れるように作ってあるから、デザインは毎年少しずつ変える。目新しいものが大好きな日本人は数年前のデザインを古臭いと思い、最新式を買う。そのことによって家電メーカーが潤い、日本経済も活性状態を続けるという見方だが、筆者なら何十年経ってもあまり変化のないドイツ製がいい。ま、これは人によりけりで、数年単位で最新式を買う方が精神も若返ると考える人は少なくないだろう。そうなれば、数年単位で離婚してお互い新しい配偶者を見つけるべきではないか。
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 話が脱線し過ぎる。本題に入ると、去年家内と新しくなった大阪駅ビルを歩いた。ビルと言ってよいのかどうか、複雑な形をしていて、日を改めて二度訪れたが、全体がどのような形になっているのかさっぱりわからない。外観もそうで、どこか京都駅を真似たようなところもあって、全体に国籍不明と言おうか、また未完成的、未来的でもある。鉄骨を上へ上と組み上げてどこまでもエスカレーターが続いていて、これほどエスカレーターを乗り継ぐ場所はほかにない。その最終地はビルの屋上で、目の前に20年ほど前に出来た梅田スカイビルが見える。二度目に行った時はこのビルの背後に夕陽が映えて印象深かった。このビルにも長いエスカレーターがあったが、大阪ステーションシティはもっと複雑で、全体が迷路と化している。ここが現在の大阪の名所のひとつとして数え上げることが出来るかどうか、それは100年後に残っているか、いや、残したいかにかかっている。家内と筆者はつくづく自分たちが時代遅れの人間に、つまり古くなってしまったことを実感した。若い頃は梅田でよくデートしたというのに、かつてあった店はなくなったり、別の屋号になって改装されている。それでも昔の面影は随所にあるのは当然で、少しずつ街は変化する。そしていつかすっかり変わってしまうが、大正6年の大阪名所絵はがきにあったような場所は今もそのままである場合が少なくない。それはさておき、ステーションシティのてっぺんの階で面白いものを見つけた。旅行会社の店舗の片隅に、世界のお菓子を袋詰めし、定価の3分の1程度で販売している。最初行った時、1000円の袋をひとつ買った。入っている菓子はどれも初めて食べるものばかりで、楽しかった。それで同じものを買おうと考えて再訪した。今度は内容をすっかり違うものに変え、1200円であったが、また買った。最初に買った中に入っていたものの中で筆者がまた食べたいと思ったのは、イギリスだったか、とうがらし味のキャンディだ。とても小粒で、小指の爪ほどの大きさしかない。全体はレモン風味で、猪の子どものような縞模様として赤い味が塗られている。ネットで調べてもヒットせず、入手は不可能のようだ。あまり有名なキャンディでないのかもしれない。家内はポテトチップス類が大好きで、お化けの形をしたスナック菓子がまた食べたいようだ。「モンスターマンチ」という名前で、これは輸入食品店で比較的よく見かける。ただし、1袋250円ほどと、かなり高い。1000円の袋には「モンスターマンチ」を初め、10個の菓子が入っていて、1個100円の計算だ。日本では日本の菓子しか普段見かけないのに、たまにこうした外国の菓子を食べるのは面白い。それは日本語にアルファベットを混ぜる感覚に近いだろうか。そうだとすれば、筆者のブログもどんどん横文字言葉を混ぜるべきか。菓子の話ついでに書いておく。大阪駅の北側に向かってエスカレーターは天まで続くように連なっているが、それとは別に大阪駅の1階もあちこち改装され、特に西側は新たな店がたくさん入った。また中央改札口近くも店が多く、そのひとつに大阪土産専門店がある。家内は大いに珍しがり、あれこれとほしそうであった。その土産店の近くに祈願絵馬コーナーがあって、家内も筆者も1枚書いてぶら下げた。若い女性でにぎわっていて、JRはサービスの一貫として洒落たことをする。国鉄時代ではまずあり得ないことだ。
●大阪ステーションシティ_d0053294_1483454.jpg

by uuuzen | 2013-01-16 23:59 | ●新・嵐山だより
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