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●復元される大船鉾
の形をした鉾が祇園祭には二基あった。そのひとつは蛤御門の変で焼失したまま復元されなかった。それがこの10年ほどで少しずつ再興の機運が高まり、来年には巡行が予定されている。大船鉾だ。



●復元される大船鉾_d0053294_036381.jpgもう一基の船鉾と違って大がつくところ、もっと大きいのかもしれない。これが復元されて巡航に加わると、船鉾は少し存在感が希薄になるかもしれない。この大船鉾の骨組の展示が京都駅前のヨドバシ・カメラのビル1階で見かけた。烏丸通りに面し、ビルの北端の一室で、説明員によればヨドバシ・カメラの好意によるとのことだ。鉾町や京都市がいくらか使用料を支払っているのかもそれないが、無料ならばヨドバシ・カメラは見上げたものだ。その空間は以前何に使われていたのか記憶にない。天井が高く、すぐ隣りに入っているテナントとは違って、特別の部屋に見える。当然鉾が完成して巡行に参加すれば展示の必要はないので、店が入るだろう。それまでの間の2年ほどで、場所としては京都駅に近くて人通りが多く、最適ではないだろうか。本当は四条や三条河原町界隈が望ましいが、まず同様の空間の確保は不可能だ。これは20年もっと前のことだが、四条烏丸角の銀行が入ったビルの上の方の階に祇園祭の山鉾を飾る胴掛けや見送りなどの染織品を展示する部屋があった。鉾町なので、空いている部屋を利用していたのだろう。ビルの建て替えがあって後、同様の展示はされなくなったが、去年だったか、京都文化博物館が新装オープンし、その常設展示のひとつとして復活した。よく覚えているのは李朝の緞通で、これがまたその常設展で見ることが出来るのは嬉しい。この李朝の緞通は一部が墨で手描きされているが、マティス張りの抽象風でもあって、見飽きない。どこからそういう造形感覚が生まれて来たのか、その出どころが不明なのがよい。日本の文様にはない自由さがあって、時代を超越していると言ってよい。それはさておき、大船鉾の展示室を見かけたのは去年のクリスマス直後だった。昨日書いたのと同様、京都駅ビルに展覧会を家内と見に行った。その日も京都駅前で待ち合わせをした。朝家内が出勤する時に京都駅前で待つことを告げたはいいが、どこでとは言わなかった。勤め先に電話して伝えるべきであったのが、すっかり忘れしまった。筆者はいつものごとく、四条烏丸から歩いた。そしてヨドバシ・カメラの前を歩く際に、中年男性から大船鉾の展示を見てほしいと声をかけられた。待ち合わせ時間が迫っているので、外から写真を1枚だけ撮って駅前に急いだ。前回の家内との待ち合わせ場所は、駅前の高速バスのチケット売り場であった。そこは暖かいし、座る場所もあり、またパンや飲み物を売るコーナーがある。前回は家内はそこにちょこんと座っていた。なので、また同様にそこで待つだろうと思った。筆者は時間どおりに着いた。真っ先にチケット売り場を覗くと、いない。家内はいつもように京阪電車に乗らずに、JRでやって来るかもしれない。それで同売り場の前に立ち、JRの駅ビルを向いて待った。10分待っても来ない。待ち合わせ場所を言わなかったので、ひょっとすれば展覧会場の前にいるかもしれない。そこに行くには大急ぎで5分かかる。その間にチケット売り場に来れば困る。さてどうしたものかと思いながら、体は少しずつ駅ビルに接近する。ふと後ろを向くと、家内が10メートル先に来ていた。チケット売り場を見るといないので、展覧会場かと思ったそうだ。ともかく、無事出会えた。ケーターがあれば何の心配もなく落ち合えるが、うまく会えるかという一種のスリルもいいではないか。
●復元される大船鉾_d0053294_13235293.jpg
 展覧会を見た後、大船鉾の展示を見た。先ほど声をかけて来た男性はまだいた。中に入ると、別の夫婦が鑑賞中であった。筆者らのすぐ後、西洋人の若い男性ふたりも入って来た。すると係の男性はすかさず英語用の説明書を手わたし、英語で話しかけた。西洋人は興味をなくしたのか、すぐに出て行った。中国語や韓国語の説明書も置いてあるが、祇園祭の鉾が国際的にどれほど知られているのか、また興味を持たれやすいものかはわからない。祇園祭の開催中ならまだしも、真冬では気分も乗らない。筆者も大いに関心があって覗いたのではない。見たことのない施設であり、また比較的長期とはいえ、期間限定、しかも無料であったからだ。あまり興味のない様子は、このブログに大船鉾の由来や復元過程などについて書く気がないことに自ずと反映される。また、そうした資料的な事柄は、会場にあった説明パネルを撮影して来たので、それに委ねればよい。今日は4枚の写真を載せるが、パネル説明の文字は読めないだろう。大船に乗った気分で写真は便利だと思った。これが撮影禁止であれば仕方なしに最小限のメモは取ったかもしれない。だが、撮影禁止にするほど貴重なものではない。復元であるから、それは新品だ。新品は歴史を経たものに比べると価値がない。祇園祭のような伝統的なものでは、重文に指定されるには数百年はかかる。そう思えば、この大船鉾はあまりありがたみがない。そのため、船鉾は燃えなかったことを幸いに、大船鉾が巡行しても当分は貫禄を誇るだろう。だが、それもわずかな期間かもしれない。そのわずかは歴史的な時間でも意味でもあるし、またひとりの人間を尺度にしたものでもある。というのは、人間は忘れやすいから、復元された大船鉾はものの10年か20年で、昔からそのままあったような顔をするし、人もそう思う。そこが日本的ごまかしのうまさだ。京都の寺社も燃えたところが多いのに、復元されるといつの間にか復元された時期があまり言われず、また人も問わずで、燃えたことがなかったかのように思う。それは、たとえば寺全体が500年前の創建とし、そのうちの本堂が200年前に再建されたとすれば、500年も200年も同じように大昔で差はないと思う感覚による。となれば、貴重な建物が燃えてもまた同じものを建てれば、別にどおってことはない。西洋でもそうで、たとえば絨毯爆撃で粉微塵になったドレスデンの街が長年かけて元どおりにされた。日本でも同じだが、一部にかつての焼野原を記憶するためにそのまま保存される場所があったりする。神戸のメリケン波止場の一部がそうで、東北の大震災でも同様のことは行なわれるだろう。
●復元される大船鉾_d0053294_13241558.jpg
 失われたものを復元する場合、資料がたくさん残っている場合は経費の問題のみだ。ところが大船鉾は鉾の飾り物は別の場所に保管されていて消失を免れたはいいが、鉾がどういう形で、また大きさもわからない。復元は可能な限りかつての姿に戻すべきで、資料を探し尽くし、それでもわからない部分は妥当な形にするしかない。それはひとりの力では無理で、学者などが集まって協議を重ねる。そのことを男性の係員が説明してくれたが、さほど簡単な問題ではないらしく、本当に2014年に巡行出来るかどうかとも言っていた。それは不明な点がまだ多いことと、資金の問題だろう。復元中の大船鉾にはすでに車輪がふたつ取りつけられていた。それのみ真っ黒でおかしいなと思ったところ、菊水鉾のお古を譲り受けたらしい。となると、菊水鉾と同じ大きな車輪を使っていたのかという疑問が湧く。実際はそうではないと思うが、菊水鉾と同じであっても不つごうはないとも言える。車輪の大きさがその上部の鉾本体の規模をある程度規定するはずだが、船鉾と違って大船鉾であるから、船鉾の車輪より菊水鉾のそれがどれほど大きいかを比較すれば、船鉾のおおよそ何倍の規模になりかわかるような気もする。説明パネルによれば、燃えなかった飾りから鉾の大きさを算出したようで、これはもっともな話ながら、細部の装飾まではわからない。現在展示されているのは白木の骨組だけで、それを漆塗りし、また彫刻を取りつけたりもするはずで、その作業にかかる必要上、展示は前述のようにもう1年や2年といった長さではなく、今年の夏あたりで終わる可能が大きいだろう。鉾本体の塗りや彫刻などとは別に作業を進めなければならないのは、同掛けなどの織物だ。この点について質問すると、あまり詳しい説明は帰って来なかった。これは鉾以上に費用がかかる場合もあるだろう。また、豪華な織物にするにはどういうデザインにするか、誰に下絵を描いてもらうかなどの問題もある。これは京都を代表する日本画家となるはずで、誰もが予想はつく。そういうものよりもっと新時代にふさわしい大胆なデザインを採用すればいいが、何しろ日本三大祭りのひとつ、長い伝統にふさわしい古典調が求められる。でなければ鉾も電動にし、車輪をタイヤにすればいい。あるいはそんな鉾も面白いと思うが、そんな祭りはどこかの貧しい地方都市がすればいいと京都は鼻であしらう。もうひとつ係員に話しかけたことがある。去年の祇園祭で見かけた布袋山だ。それもいずれ巡行に加わりたいと思っていて、木材を調達し、大船鉾と同じように骨組が敷地に組み上げられていた。だが、山より鉾で、大船鉾ほどの話題にはならず、係員はきょとんとしていた。同じ祇園祭の復元組であるのに、この無知さ加減はいかにも京都らしい。「よそは知らん」というわけだ。それにしても経済が停滞しているというのに、京都の町衆が祇園祭にかける熱意は凄まじい。10年20年ではなく、100年200年単位で物事を見ているということか。「見ている」のであって、「考えている」ではないだろうが。
●復元される大船鉾_d0053294_13243597.jpg

by uuuzen | 2013-01-10 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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