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●『ROAD TAPES #1』その1
義に花が咲いて2時間近くも費やしてしまった。古美術についてで、お互い話好きなので、話題が途切れない。ザッパ好きな人とでもそんなに話は進まない。ザッパ・ファンはみな癖があって、自分のザッパ観こそが一番という偏狭さを持っているから、他人の考えに耳など貸さない。



●『ROAD TAPES #1』その1_d0053294_22344070.jpgそれはともかく、話を終えてお邪魔した家を出た時、今頃郵便配達がやって来ている頃だなと思った。自転車で慌てて帰宅すると予想どおり、ザッパの新譜が届いていた。早速昼を食べながら聴き、その後もう一度聴き、今これを書きながら三度目を聴き始めている。思ったより音は悪くない。テープが途中で切れていたため、ドアの閉まる音を重ねて次に曲についないで箇所があったが、それもさほど気にならない。一言すれば海賊盤だ。ほとんど同じ内容のものがあった。1968年のマザーズの演奏がどのようなものであったかがこの2枚組でよくわかる。それは今までに公式に発売されたアルバム群からはみ出る要素は全くないと言ってよい。それはこのアルバムだけで聴くことが出来る未発表曲がないことであり、意外さを期待する向きからは肩透かしを食らう。ディスク1は46分28秒、2は41分52秒で、LPでも2枚組に収まる。公式盤としては92の番号がつけられている。また本作は「#1」とされているから、今後このシリーズがどこまで続くのかわからないが、『オン・ステージ』の全6集の続編を思えばよく、最低でも#6までは続くだろう。売れ行きの様子を見ながらということになりそうで、たとえば本作と同じ68年の別の録音もCD化するかもしれない。そうなると、海賊盤撲滅のためもあって、保存しているライヴ・テープをすべてアルバム化することも考えられる。毎月1点ではゲイルが死ぬまでに全部発売するのは無理であるから、週刊誌のように毎週発売するか。そのつもりならばいっそのこと20枚や30枚セットで売り出してほしいが、そうなると廉価のボックス・セット流行りの時代であるので、1枚当たりの単価を通常より下げなくてはならず、わざわざ損することはないとばかりに、今回のように1ステージずつ売るだろう。そして公式アルバム数がやがて1000ということになる。その頃までゲイルや筆者が生きているかどうか。ともかく、ようやく蔵入りの音源がスムースにアルバム化される態勢がかなり整ったことを本作は確信させる。
 ザッパ・ファンは誰しも海賊盤やテープにある程度は手を出した経験はあるだろう。観客席で録音された音とザッパが録音した音とでは後者が優れているのはあたりまえだが、数においては前者が多い。倍とは言わないにしても、ザッパが録音出来なかったのに、観客が録音した有名なコンサートはある。たとえば70年にUCLAで行なわれたズビン・メータ/ロス・フィルとマザーズの共演だ。ザッパはこの演奏を録音したがったが、音楽家の組合が別料金を出せと迫り、実現しなかった。それで観客が録音した海賊盤がすぐに出回った。音質はよくないが、どういう演奏であったかを知ることは出来る。その海賊盤をゲイルが最新の技術で音質を改良し、今回のシリーズの一作として発売することが出来ないのだろうか。海賊盤の公式化はフーイー・レーベルから出た10数枚があるが、その中にこの70年のオーケストラとの共演盤は含まれなかった。音質の問題はさておき、公式盤として出すには何か困難な問題があるのだろうか。たぶんそうだろう。となると、本作を今後#100や200続けても、海賊盤に重要な音源が残り続ける。つまり、ゲイルはザッパの遺産を手元に全部置くことは出来ない。そのことで思うのは公式盤の番号では13が振られている『200モーテルズ』のマスター・テープをいつかゲイルが獲得し、BARFKO-SWILLから発売することが出来るだろうか。もうすぐアルバム番号100に到達するが、その100番目に『200モーテルズ』が位置し、しかも同作をまとめるに当たって省いた別ヴァージョンなどを収録したCD数枚セットの豪華盤が出ないものかと期待しているが、それが実現すればメータとの共演が正式にCD化されなくてもどうにか我慢出来る。ついでに書いておくと、『200モーテルズ』のCD化はライコディスクが特別にMGMから権利を買って、ザッパの承認盤と背を同じデザインとして発売した。それはビデオアーツからは発売されず、したがって紙ジャケットにもならなかったのがつくづく残念で、せっかくの紙ジャケでザッパのアルバムを揃えても1本歯が抜けているような気がする。ビデオアーツの10年前のザッパ紙ジャケ・シリーズは『チャンガの復讐』の色違いジャケが特典となったから、その時の勢いで『200モーテルズ』の紙ジャケを敢行出来なかったかと思う。あるいは『マザーマニア』もだが、こっちの方はザッパ・ファミリーがようやくCD化するので、日本発売では紙ジャケになるかもしれない。ただし、現在のところまだユニヴァーサル・ミュージックのザッパ紙ジャケ化は話が滞ったままだ。またついでに書くと、紙ジャケットを製造するのはどれくらいのコストがかかるのだろう。というのは、番号96と決まっている『ROXY BY PROXY-The License』を1000ドルで購入したとして、そのコピーを特製の紙ジャケットに収めて売れば、人気が出るのではないか。ただし、ゲイルがそれを許可しないか。
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 話を蔵入りの音源に戻すと、ザッパはそれらすべてをファンに聴かせたいと思ったであろうか。録音されたものはいつか誰かに聴かれる。また聴かせるために録音をした。だが、録音したが、演奏ミスがあるなど気に食わない箇所は混じる。作品の質にうるさかったザッパが録音したすべてを満足の行く演奏とは思っていなかったはずで、そうなるとザッパの思いが得られない状態で仕方がないとはいえ、録音を次々とアルバム化する行為は、本当はザッパのためにはならない部分がある。そんなことは百も承知で、厳選した音源をたとえば本作のように発売するのだろうが、金になるのであれば、やがてその厳選は緩む。これは仕方がない。ゲイルは緩めなくて、ゲイルの亡き後は家族が緩める。そのようにしていつか全録音が誰でも聴ける状態になるのは必至だ。そのことで思うのは、海賊盤を漁るのと同じように、生前のザッパが発売した公式盤はザッパの音楽世界の99パーセントを覆い尽くしていて、その後の発売は残り1パーセントを少しずつ充実させて行く行為にほかならないのではないかということだ。筆者の頭には今、反比例グラフが浮かんでいる。ザッパのアルバムをX軸、それを聴くファンの満足度をY軸にすると、今はちょうどX軸のかなり右すなわち座標の0から遠ざかった場所に来ていて、満足度はかなり低い。当然この満足度はアルバムが出るたびに減って行く。とはいえ、絶対に0にはならない。本作のようなアルバムは、重箱の隅の隅のチリを拾うような行為であって、ほとんど重要ではないという考えだ。これはザッパを知りたいという思いには切りがないからだ。ビートルズはそれこそ毎日時間単位でどこで何をしたかがわかっている。だが、それがどうしたという気がする。ビートルズのことを全部知るには、活動していたビートルズとぴたり寄り添って毎日過ごしたとしても不可能だ。ザッパの場合も同じで、全録音を聴いてもザッパを深く知ることにはならないだろう。本作のように未発表録音が出るのはうれしいが、それが重なるのは意外性が減少して行くことにほかなからない。言い換えれば夢がますます少なくなる。重箱の隅に思いがけない喜びがある場合もあるが、重箱の隅は隅っであって、本質部分ではない。本質部分はとっくの昔にザッパが発表している。その本質中の本質である『200モーテルズ』が音質改良が施されて発売されない方が筆者には不満が燻り続ける。
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by uuuzen | 2012-12-03 22:35 | ●ザッパ新譜紹介など
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