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●ザッパのユニヴァーサル盤CD:『HOT RATS』
らも暑さにチェッのホット・ラッツ。帰りの電車の中で俳句風に作ってみた。今日の昼頃にアマゾンに予約注文していたザッパのユニヴァーサル(以下UVとする)盤の『HOT RATS』が届いた。



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この1枚だけ買って、残りのアルバムはネットでの評価を見てから購入を決める。現在のところネットにはこの再発盤の実物を手に取ったファンの感想はほとんどない。紙ジャケでないことは数日前に知った。ではブックレットその他印刷物のデザインはどうかとの期待を持ったが、写真からわかるように、承認盤とほとんど同じであった。他のアルバムもきっとそうだろう。7月末に発売された12枚は、その後のアルバムと違って、生前のザッパはボーナス曲を加えたり、ロング・ヴァージョンを使うなりして、LPとの差が大きい。そのため、最も話題になるのがこの最初の12枚であろう。『HOT RATS』を見る限り、パッケージに関しては承認盤との著しい差がないはずで、収集意欲を削ぐ。肝心の音は、LPに使ったマスター・テープをデジタル化したので、LPを持っている人は基本的には驚きや新鮮味はない。CD時代が始まった80年代半ばに、まず最初にザッパは、今回UVが発売することになったCDを世に出し、その後に承認盤がファンに届けられるべきであった。それが逆になったのはいくつか理由が挙げられる。そのひとつは、CDというせっかく新たな媒体で昔の音源を発表するのであれば、ファンへのサービスもあって、LPとの差別化を念頭に置いたことだ。ところがザッパが死んで20年経ち、新たに若いファンが現われた。彼らはLPを手にしてもそれを聴くプレーヤーがなかったり、また中古のLPではノイズがあって聴きづらい。その欲求不満を解消するためには、生前のザッパがやらなかったLPヴァージョンのCD化しかない。それが7月31日から年末まで毎月発売される計60ほどのアルバムだ。このいわば全集によって初めて生前のザッパの業績を知る人も多いだろう。あるいは今後生まれて来る世代にとっても理想的だ。ところがそこでまたひとつの問題を予想する。おそらくゲイルは数年後に、ライコディスクが発売した承認盤すなわち生前のザッパが完成させたLPとは内容の違うCDを再発売するだろう。なぜなら、それも今後のファンには入手しにくいものであり、ザッパが手がけたLPとは一味違うからだ。そしてそうこうしている間に、今度はCDが時代遅れになり、また便利な媒体が発明されるかもしれない。そうなれば承認盤とUV盤の双方が新たに商品化される。ザッパの名前と業績を後世に継いで行くためには、今回のように忘れかけた頃に話題を提供する必要がある。ゲイルはそのように考えているはずで、UV盤で驚くのはまだ早いだろう。
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 届いてすぐに最初から全曲を一度聴いた。3階は鼠も舌打ちして逃げるほどの暑さなので、1階の波動スピーカーを鳴らした。このスピーカーでLPの『HOT RATS』を聴いて今回のCDと比較しないことには本当は感想を書くべきではないが、直観としては、音に厚みがあってLPに遜色がない。初期のLPはそのままの形ではCD化されていなかったので、これはとても便利になって歓迎すべきだ。次に承認盤と比べると、UV盤はやや音がこもり気味だが、UV盤から見ると承認盤はざらつき感が大きい。『HOT RATS』は元来1969年の録音であるから、それをザッパが80年代後半に最先端の技術によって、LPにする際にカットした箇所を含めたヴァージョンを新たに作ったことは、69年の音を20年近い後の思考で改変した一種のわざとらしさが入り込む。それはそれで非常にザッパ的な特徴を孕んで面白いが、オリジナルの貫録というものと比較すると、どこか贋物らしさがあって落ち着かない気分になる。そのため、UV盤は案外承認盤より人気を得るかもしれない。またこれは余談だが、たとえば『HOT RATS』の承認盤のマスターをUV盤と同じ音で聴かせるCDの可能性や期待感は当然あって、今回のUV盤によってザッパ全集が完成するとは限らず、いわば宙吊りされた不安と期待が相半ばする思いをファンは抱くことになる。これは書いておくべきだが、『HOT RATS』のCDは承認盤とUV盤だけではない。承認盤が出る前にライコディスクは同じ音源で別ジャケットの形でCDを発売した。またアルバムによっては最初にEMIがCD化したので、EMI盤、ライコディスクの初期盤、承認盤、そして日本の紙ジャケット盤(これをミニLPと称することもある)、そして今回のUV盤と、合計5種が存在する。これにLPも加わるから、ザッパ・ファンはほとんど同じ内容のものを何度も買わされて来た。そう言いながらもまたこうして新たな盤が出るとほしがるが、当分はこのことで話題が持ち切りになるだろう。
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 今回まとめて発売された12作のうち、ボーナス・トラックの有無は別にして、曲の長さが違うアルバムは『HOT RATS』が一番だ。まず、2曲目「WILLIE THE PIMP」は承認盤が9分16秒、UV盤は9分23秒となっている。これは本当はおかしい。LPに収録されない部分を含むのが承認盤で、それが7秒も短いのはどうしてだろう。ギター・ソロのパートで差が出ていると思うが、その箇所が今のところわからない。「WILLIE THE PIMP」をCDで最初に聴いた時、LPではキャプテン・ビーフハートの最初のヴォーカルの入る位置が正確であったのに、一か所だけやや遅れるところがあることに気づいた。たとえば承認盤では冒頭から12、26、37、48、1分1秒目にヴォーカルの頭が来る。LPすなわちUV盤ではそれが12、23、34、46、59秒目となっていて、第2ヴァースで3秒早い。ザッパにすれば、ビーフハートが正確な数を刻んで歌わないことをミスとみなし、歌い遅れたわずかな演奏部分を削ることを実行した。そこにLPを厳密な作品とみなす完璧主義を見るが、最初のCD化に際して、LPのように収録時間の制約を考慮する必要がなく、またスタジオ録音とはいえ、より生々しいライヴ感を出すために荒削り部分を生かそうとした。その一例が「WILLIE THE PIMP」であり、また5曲目「THE GUMBO VARIATIONS」だ。この曲はUV盤では12分54秒、承認盤では16分55秒で4分も長い。そのほかの曲はどれも2秒ほどの差があるが、これは同じとみなしてよい。それはいいとして、『HOT RATS』をまず買ったのは、3曲目「SON OF MR.GREEN GENES」が最も好きで、それがどのような音を響かせるかを知りたかったからだ。実は『HOT RATS』はLPをそのままCDにした盤がファンの間では出回っていた。理屈で言えば前者は素人が作ったものであるから、UV盤ほどにはよくはないはずだ。UV盤は2008年にBERNIE GRUNDMANがマスタリングしたもので、それがLPの音をどこまで忠実に再現したものかは、門外漢の筆者にはわからないものの、LPと全く同じではないことは想像出来る。もちろんファンによるLPのCD化もそうだが、LPそのものをもとにしている点でよりLPに近い印象がある。そこで両者を比べると、UV盤は特にベルのような打楽器や高音のピアノがわずかに鮮明で全体に音の混濁が少ない。これはあたりまえだろう。
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 12枚のうち、次に買って損はないのは『FILLMORE EAST JUNE 1971』だ。これはLPのB面の最初の曲がどのCDでも未収録で、それが今回初めて陽の目を見る。次に興味があるのは『UNCLE MEAT』だ。2枚組であるのは承認盤と同じだが、アマゾンでは合計で120分となっている。これでは映画の音を含む。その30分に及ぶ退屈な部分をカットして、LPと同じ曲目であればいいが、そうでないならば、今回のUV盤はかなり考えにまとまりのないものと断言出来る。ま、数日以内にそうした情報はもたらされるはずで、それを待ってから購入するのがよい。ブックレットに戻ると、厳密に言えば承認盤とは違う。写真のトリミングやタイトル文字の大きさなどが微妙に変えられている。トレイ底の写真も同様だ。何となくライコ盤で使ったフィルムをそのまま複写したように感じられるのは、印刷がやや粗く、また写真の周囲を少しずつカットしているようであるからだ。いずれにしてもあまり経費をかけず、なるべくライコ盤で使えるものは使い回ししたに違いない。盤のデザインはジャケットの一部が使われると発表されていたように思うが、割合素っ気ない文字中心となっている。紙ジャケは高価になるので採用されないとは思っていたが、そうなるとビデオアーツが発売したそのシリーズは今後人気が高まるかもしれない。UV盤の日本盤は出るだろうか。たぶんそれはない。ゲイルがまず許可しない。特別に許可しても、英訳させて内容をチェックするはずだ。また、ユニヴァーサル・レコード社がいかに大手であっても、今回の発売は安価であり、対訳や解説書をつけるほどの儲けは出ないと思える。また、ネットで情報がふんだんに入手出来るので、CD解説というものはもはや不要となった。それに、YOUTUBEで曲を無料で楽しめるので、いくら安価とはいえ、CDが昔のように売れるだろうか。結局熱心になるのは筆者のようにザッパとともに時代を歩んだ者たちが中心なような気がする。先ほどロンドン・オリンピックの陸上競技を見ていて、場内にかすかにザ・スミスの「THIS CHARMING MAN」が鳴り響いているのがわかった。イギリスが自国のロックをそのように使うのは、世界的に知られているバンドの曲という自負があるからだ。ではアメリカでオリンピックがあるとして、ザッパの曲が使われるだろうか。まずあり得ない。それを悲しむというのではない。聴くべき人はいつの時代でも聴く。ザッパの音楽はそういう人たちの物だ。
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by uuuzen | 2012-08-04 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)
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