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●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ
の館と言ってよいのが神戸の花鳥園で、館内のレストランでは断面がフクロウの絵柄になったロール・ケーキを販売しているほか、南北とも、玄関を入ってすぐの売店にはフクロウの飾り物がたくさん売られている。



●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ_d0053294_1293439.jpgそれだけフクロウは日本で人気があるということのなのだろう。ペットショップでは小さなフクロウが売られているようで、以前にも書いたことがあるが、ネット・ライフをはじめた当初、目玉が大きく、とても小さな外国産のフクロウをペットショップのホームページで見たことがあり、2,3年は「お気に入り」にファイルに入れておいた。たまにそのフクロウの姿を見ては楽しんでいたが、いつの間にか消してしまった。ところが1年ほど前、同じフクロウをブログで見た。けっこう有名で、ペット用としてたくさん輸入されているのかもしれない。だが、そういうフクロウが日本の風土の中でうまく育てられるのだろうか。かといって日本のフクロウをペットにすることは許されないのではないか。あるいは、絶滅に瀕しているフクロウは、切手にもなった北海道にいる何とかという種類だけで、そのほかは案外ペットに出来るのかもしれない。フクロウの思い出はほとんどないが、これも以前書いたように、京都に出て来て3年目に入って梅の宮神社の近くに住んだ時、毎夜その神社の森の中からホーホーと鳴くフクロウの声に親しんだ。夕方から深夜までずっと鳴いていた。そのうち新聞の京都市内版に、市内に生息するフクロウ地図が載り、梅の宮神社のフクロウもその数に含められていた。その地図では市内で20羽も記録していなかったと思う。それがおそらく今ではゼロか2,3羽といったところではないだろうか。梅の宮神社のフクロウは鬱蒼とした森が半分以下になり、もはやフクロウが住めるだけの小動物が捕獲出来なくなったのだろう。つい先日その半分ほど切り開かれてガレージになっているところを歩いた。その半分が1戸建て住宅が建築中であった。100平米ほどの面積で、3500万円ほどの家であったと思う。全部で10軒は建つだろう。神社の台所事情がわかるような話だ。そのようにどんどんと土地を切り売りして行けば、最後に神社が残るのだろうか。なくなっても誰も困らないかもしれない。それより人々の関心がないのは、同神社にフクロウがいたことだ。
●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ_d0053294_1295178.jpg フクロウとミミズクは日本で形が違って、後者は頭にてっぺん両脇に耳が立ったような突起がある。だが、英語ではどちらも同じで、フクロウとミミズクは同じ仲間だ。ミミズクの方が何となく知的でいかめしいが、全体が丸くてずんぐりしているフクロウの方が愛嬌がある。飾り物として作られるものも、フクロウの方が多いではないか。花鳥園のフクロウの飾り物で一番目立ったのは、おそらくインドネシア産と思うが、フクロウの胸の部分が蜂の巣状になって腹の内部が見えているものだ。その腹の中に同じ形をした小さなフクロウがもう1体彫ってあるところが売りだ。これは蜂の巣の小さな穴から彫刻刀を入れて彫らねばならず、高度な技術だが、高さ6.7センチのものがひとつ600円程度でとても安い。これでは材料費と送料が大半を占め、彫り手の賃金はどれほど安いのかと暗い気分になる。奈良の一刀彫りの作家が同じものを彫ればひとつ1万円でも無理だろう。そう思うと日本の工芸はもはや民芸の域に収まるものではなく、ごく一部の金持ちのものとなっている。そのインドネシア製らしき木彫りのフクロウは、確かに凝った技術を見せているが、蜂の巣状の透かし彫りや、その中にも1体彫ってあるという、そのシュルレアリスム的なところが、筆者はあまり好きではない。そんな凝ったものより、そのままずんぐりした様子を写実的に彫っただけの方が存在感も愛嬌もある気がする。そういうものは木材でももちろん可能だが、別の素材を使う方が面白いかもしれない。わが家には、10年ほど前にみんぱくで買ったメキシコ産の陶磁の小さなフクロウがある。これは有名な土産物で、全体が真っ白で光沢があり、そこに黒と青と緑で絵つけをしてある。表側はフクロウの顔、裏側は葉の文様だ。大きなものでは高さ20センチほど、小さなものは、筆者が所有するような、高さ3センチほどで、メキシコでもフクロウが人気者であることがわかる。
●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ_d0053294_1301264.jpg 西洋でもそうだろう。知恵の神とか使いとされるが、フクロウは本当に他の鳥に比べるとそう呼ばれるほどに賢いのだろうか。狩をすることがそう思われる大きな理由だろう。では同じ肉食の鷲や鷹はどうなのかとなるが、フクロウは形が愛嬌があり、そのことが特別視される原因ではないか。飼い馴らすことが出来ることも理由かもしれない。それは人の言うことを聞き分けることであり、人間は親しみを抱きやすい。だが、飼うことの出来る鳥なら何でもフクロウ並みに特別視することがないのは当然で、むしろあまり人に馴れると価値が低いように思う。フクロウはそうした家禽とは違って、本来は森に住み、また数が少ない点で珍重に価すると思われる。だが、その一方でフクロウの夜行性は不気味な存在というレッテルを貼る理由にもなる。小説などではよく、フクロウがホーホーと鳴く様子を、何か悪いことが起きる前兆として利用する場合がある。夜陰に乗じて、羽音を立てずに獲物を仕留める様子が、辻斬り強盗のようなイメージにつながる。だが、フクロウも生きていかねばならず、そうした狩が凄惨なものと人間から思われるのは心外であろう。フクロウがいることで生態のバランスが保たれている面があるはずで、フクロウがいなくなると、回り回って人間が最後に困ることになるのではないか。伏見人形にフクロウの土笛がある。ミミズクもあったと思う。どちらも全体を真っ白に塗って、目玉と嘴が黒い。吹くと本当のフクロウのようにホーホーと鳴る。日本の郷土玩具ではほかにもフクロウの土笛があると思うが、鳩笛の方が種類は多いだろう。だが、フクロウが笛になるところ、日本のどこにでも江戸時代はフクロウがいたはずで、それだけ人里近くに森がたくさんあった。それでもフクロウはめったに捕獲出来なかったのではないか。肉がおいしいということも聞かないところ、狩の対象にはならなかったのだろう。
●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ_d0053294_1302982.jpg では絵に描かれたかどうかだが、同じ猛禽ながら、鷲や鷹ほどではない。そこにも数がさほど多くなく、またどことなく謎めいたところがあって、面白い形と相まって、人気者としては独自の位置を保って来たように思わせる。絵でフクロウと言えば、応挙が知られるが、若冲も描いた。現代では京都の下村良之介が有名だ。下村のぎょろりとした鋭い目はフクロウの目を連想させる。下村は比較的初期に、フクロウが羽を水平に広げ、鑑賞者にまともに向かって来る様子を描いた。フクロウを飼っていたのかもしれない。フクロウをたくさん飼っていた男の話を何かで読んだことがある。それも数羽で、部屋中飛び回るので、床は糞だらけであったそうだ。それでもかわいくて仕方がなかったのだろう。そういう文章を読むと、やはりフクロウはペットショップで買えると見える。だが、20万円ほどはするだろう。それに餌代が馬鹿にならない。そう思うような人はまずペットは飼えない。ペットショップでフクロウをじっくり観察しては商売の邪魔になるから、通常は間近に見る機会は動物園しかない。京都市立動物園ではフクロウが3羽ほどいて、昔はそれが横並びになっている写真が入場券に使われていた。同動物園でその3羽を前に入場券の写真と見比べたことがあるが、全く同じ格好であったことに驚いた。いつ行ってもそのように木に留まって動かないのではないか。夜行性で、昼はそのようにして休息しているのか、あるいは檻が狭いので羽ばたく気にもなれないのだろうか。筆者が記憶する実際に見たフクロウはその動物園の3羽であったが、今回花鳥園では初めて多くの種類をガラス越しに見た。フクロウの館は、南玄関を入ってすぐのところにある。昨夜書いたオシドリやペンギンの池を過ぎたところだ。花鳥園は南北の玄関から入ってすぐの部屋は吹き抜けの木造となっているが、南玄関はフクロウ館を出ると野外のオシドリとペンギン池になっていて、そこからさらに北に進むと温室がある。フクロウ館は南玄関が開け放たれているので、かなり寒かったが、中央に大きなガス・ストーヴが炊かれていた。部屋の四方が全部ガラス越しに鑑賞する各種のフクロウの檻となっている。全部で10種類ほどいたろうか。もっと多かったかもしれない。
●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ_d0053294_1312314.jpg 動物園のようにそれぞれの檻の前に名前のプレートと簡単な説明があった。それらを読んでも全部覚えられず、とにかく順に見て回って楽しむのが先と考えた。それらの写真を今日は6枚載せるが、檻の中のごちゃごちゃしたものがなるべく写らないようにするには、フクロウのみ切り取るほかない。また、それぞれ1枚しか撮らなかったので、かなりぼけた写真も載せる。全体にどの種類も物静かで、枝に留まったまま動かなかった。写真は撮ったが、激しく動き回ったため、思うようないい角度に収まらなかった1羽がある。羽は黄土色で、それは模様がバティックの染物を連想させ、しかも羽は全体に鎧のように部分部分が固まって見えた。その点が普通の、つまり今日載せるフクロウとは全く違う。スリランカ辺りの種であったと思う。この1羽のみ、檻の中を数か所を順に激しく飛び移り、一時も落ち着く様子を見せなかった。檻の下方の隙間の何かに怯えている風に見えたが、狂ったように飛ぶ様は哀れであった。一度も筆者の方を向いてくれず、ずっと背中を見せていた。その隣の檻にいる別のフクロウは、騒々しい隣りの様子に注意するでもなく平然としていたのがまた印象的で、フクロウは別の種類には関心がないのだろう。ガラス越しに終日見世物になっているこれらのフクロウは、確かに珍しいもので、写生が目的の場合はとてもいい場所だ。だが、ガラスのこちら側にほとんど反応しないのは何だか物足りない。今日載せる写真のうち、1枚だけ横向きに写るものがある。枝に等間隔に4羽が並ぶ小型のミミズクだ。これはパネルの説明によると、怒ると体を大きく膨らませ、相手を威嚇する。また逆に恐怖を覚えると棒のように細く身を縮める。ガラスを叩くなどすると、そのどちらかのポーズを取るのだろうが、驚かせるのは可哀相だ。そういう経験で寿命が縮まるだろう。
●『神戸 花鳥園』その4-フクロウ_d0053294_1305067.jpg

by uuuzen | 2012-01-04 23:59 | ●新・嵐山だより
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