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●岐阜城と商店街、その2
そに当たる県が岐阜であることを今回の岐阜行きで知った。街角のポスターで見かけたと思うが、もう記憶が定かでない。



何をもって日本のへそと宣言するのか、これは諸説があるようだが、名古屋あたりが日本の真中という感じは、地図を見ると確かに思う。だが、京都に住んでいると、京都が日本の中心のように思える。ところで、京都から姫路までと、岐阜までの距離は同じ程度に思えるが、JRの運賃は姫路へ行く方が少し高い。筆者の目は西に向いているのか、姫路の方がはるかに近いように感じる。阪急の四条大宮駅の上に建つ楕円形のビルの外壁に、確か「姫路方面」という文字があったが、そのように「姫路」の文字はよく見かけても、「岐阜」の文字はそういうことがなく、普段からの馴染みのなさが遠方に感じさせる。距離が近くても遠い場所はあるもので、その最たるものは北朝鮮だろう。富士正晴はピョンヤンに住んだこともあるが、富士の頭の中には、ピョンヤンは北海道よりもはるかに近い場所に思えていたかもしれない。さて、もう1年経つかどうか、かつてNHKの『鶴瓶の家族に乾杯』という番組で、岐阜市内の柳ヶ瀬の商店街を訪れる回があった。それをたまたま見ながら、『また、行ってみたいな』と思った。6年前に行った時も同商店街を少しだけ歩いたが、さびれた雰囲気があった。また、ある紳士服屋の中年の主が店の前に出て立っていて、目が合ったが、その10分か20分後、またその店の前を通りがかった時にも視線を交わし、今度はその主が執拗に筆者を目で追い続けている気配を感じた。『見慣れない奴が歩いているな』と思われたのだろう。ほとんど人が歩いていなかったからなおさら目立ったはずだ。それはさておき、鶴瓶の同番組では、筆者が訪れた時以上に商店街はガラ空きに見え、それが哀れであった。かつては繁栄した商店街がまた活況を呈することはまずないだろう。人口が減り、高齢化し、好景気に沸くということもない。大阪市にもそんな商店街がある。だが、この柳ヶ瀬と呼ばれる一帯の商店街は、何本もの通りが縦横に走り、その総延長は尼崎には匹敵しないまでも、かなり長い。家内と歩きながら、あっちにもこっちにも通りがあることに改めて驚いた。休日のためか、半分以上の店が営業していなかったが、大阪にはないような演芸場や古い邦画を上映する映画館があって、風格を感じさせる。市役所の規模と古さを見てもわかるように、岐阜の人口はたかが知れているであろうし、また税収にも乏しいはずで、商店街のどの店も客が入っているという盛況は望めないだろう。名古屋あたりからも広が大勢来るような、何らかの方策がないものか。昼食のために商店街を縦横に歩いていると、高島屋が眼前に現われた。京都や大阪のように、ビル全体が眼中に入るという形ではなく、アーケードの下を適当に歩いていて、高島屋のロゴが目に入ったのだ。アーケードの上に何階建てのビルがそびえているのかを見なかったし、また大通りに出て確認もしなかった。そのアーケードの下に見えた高島屋1階の商店街に面したところに、架設の舞台が設えられ、ライヴ演奏の準備が進んでいた。まだほとんど人は集まっていなかったが、本番になっても人が寄って来るのだろうか。あまり目的のない日帰りの旅であるから、そこで時間をつぶし、どういうバンドが出演するのか確認してもよかったが、空腹を感じて食べる場所を探すためにすぐにその場を後にした。
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 高島屋付近で目についたのは、いくつかの古い喫茶店だ。かなり風格のある、昭和時代の純喫茶だ。そういう店は大阪にもあるが、岐阜で見るとまた別の印象があって、ゆったり座ってコーヒーを飲んでみたいと思わせた。きっと老齢の常連が片隅に陣取って、入って来る客を見つめているだろう。これも高島屋のすぐ近くだが、モスバーガーがあった。これはまだ建って数年であろう。数人入っていたが、岐阜にまで来てそんなものを食べることはない。あちこちアーケードの下を回りながら、結局寿司屋のような店構えの小さな店に入った。てんぷらやカツ丼を食べさせる店で、2,3人の年配の婦人が離ればなれにカウンターに就いて、ゆっくりと食べていた。筆者らは小さなテーブル席に座ったが、壁には奈良の純米酒の宣伝があり、奈良から仕入れて飲ませていることがわかった。岐阜と奈良のつながりは意外に思うが、家内の職場に岐阜出身の若い女性がいて、奈良が大好きだそうだ。それに、岐阜城の麓にある歴史博物館では、奈良の薬師寺展を開催中であった。同展を見てもよかったが、家内は岐阜まで来て奈良の仏像を見る必要はないと言って、トイレだけ借りた。館内の冷房がよく効いていることもあって、筆者はチケットをもぎる女性の近くで立って待っていたが、次から次へとたくさんの人が入って行ったから、かなり話題になっている展覧会だろう。それは岐阜の人々の奈良好きを思わせる。岐阜が西に目が向いていたのは、歴史的事実だが、昨日少し触れた美江寺の十一面観音像は、写真で見ると湖北にある同じ観音を連想させ、岐阜がやはり西国とつながっていることを思わせる。話を戻して、岐阜の食べ物の名物は何かと家内と話し、名古屋とほとんど同じではないかと意見が一致した。ならば筆者は味噌カツを食べたかったが、家内は「そんなもん食べたら喉が乾くで」と言い、結局ふたりともてんぷらを中心とした定食にした。その店は夜は酒飲みが集まるだろう。柳ヶ瀬は昼とは違って夜が賑やかになると思える。先の『鶴瓶の家族に乾杯』に映った店を探すともなく探していると、突如記憶が蘇るようにそこに至って満足した。次に目指したのは、鶴瓶が商店街を行く人々と歌った、美川憲一の「柳ヶ瀬ブルース」の歌詞を書いた記念碑のタイルだ。それはすぐに見つかった。そこはおそらく一番幅が広い商店街だ。TVでは、そのタイルの左手に喫茶店があって、鶴瓶がその店の人々と談笑する場面があった。その店で食後のコーヒーでも飲みたかったが、どうも別の店に変わっているようでわからなかった。また、そのタイルのすぐ近くに演芸場があった。これはTVで見た時の印象とは違う。TVはたくさん撮った映像を編集してあるので、実際に歩いた時の感覚とは異なる。そのため、タイルの真横が喫茶店と思っていたのは、全然違う場所かもしれない。ともかくタイルの写真を撮り、その付近でうろうろしていると、背後から70代の、びっくりするような赤い派手なプリント柄のジャンパーを着た男性が闊歩して来て、筆者を追い抜いた。同じような老人は大阪の西成あたりではよく見かける。昔はブンブン鳴らした商店街のどこかの店の経営者かもしれない。
●岐阜城と商店街、その2_d0053294_2906.jpg

 ジャンパーで思い出した。岐阜にまた行ってみたいと思ったのは、鶴瓶の番組だけではない。昨年の春だったか、思い出の曲のカテゴリーにアダモの「ブルージーンスと皮ジャンパー」を取り上げた。その時、筆者が思い浮かべていたのは「柳ヶ瀬ブルース」だ。どちらもブルースで似ているのは当然だが、「ブルージーンスと皮ジャンパー」の1フレーズごとの直後に、「雨の降る夜はー」と歌うと、見事にマッチする。つまり、これら2曲は双子と言ってよいほどだ。もちろんアダモの曲が先に書かれたが、「柳ヶ瀬ブルース」はその3年後の1966年に大ヒットした。「ブルージーンスと皮ジャンパー」はヒットした期間が長く、長らくラジオでかかって、1964年でもまだ頻繁に聴いた。そういう流れに乗じ、同曲から影響されて、「柳ヶ瀬ブルース」が作曲されたのではないだろうか。筆者は歌謡曲にはほとんど関心がなかったし、今もそうだが、それは洋楽で大ヒットした曲を巧みに部分を摂取している点がおかしかったからだ。模倣を聴くなら、本場ものを聴いた方がいい。だが、何を歌っているかわからない英語の曲よりも、夜の酒場で誰もが口ずさめる曲が必要だ。和製ブルースはそのようにしてよく書かれた。そのルーツは戦前に遡るが、60年代末頃で終わったのではないだろうか。そして、その頃を境に柳ヶ瀬の商店街が衰退に向かったのではないか。人が大勢歩いていた頃の柳ヶ瀬を想像すると、そこを歩いてみたい気にさせる。だが、今は歌詞が書かれたタイルが埋め込まれ、さびれた商店街の一画は再開発の話が持ち上がって、いずれ大きなビルが建ち、駅前の大通りに面した部分は、かなり後退して広場を取ることになる。いくつものトンネルがつながったアーケードの商店街の独特のムードは、そのことによって壊される。だが、新たな町が出来ることで、人の流れも変わり、柳ヶ瀬も新しくなる。そして、その時にはまた新たなヒット曲を欲しているだろうが、地名を織り込んだ「柳ヶ瀬ブルース」以上に馴染む曲が生まれ得るか。とはいえ、今こうして台風のきつい雨が降る夜に柳ヶ瀬の商店街の記憶を想起し、また「柳ヶ瀬ブルース」を口ずさむと、何ともわびしい気持ちになる。苦味や悲しみの強いブルースにふさわしくない柳ヶ瀬にして行くべきではないか。新たなへそとなる何かが岐阜に芽生えてほしい。
by uuuzen | 2011-09-20 23:59 | ●新・嵐山だより
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