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●『ダンサーとトラム』
生日プレゼントが昨日ふたつ届いた。アメリカの大西さんと東京の梅村さん、どちらもザッパ・ファンで、珍しい音源をたくさん送ってもらった。誕生日にこんなにしてもらったのは初めてだ。



今年還暦ということもあって、特別ということもあったのだろうか。ともかく、ありがたいことだ。ここでもお礼を述べておく。家内は昨日ウィスキーを買って来てくれたが、お金に余裕がないので、ごく平凡な安価なものだ。先週家内とムーギョの斜め向かいのスーパーに行った時、1本だけニッカの安物があて、それを飲んだことがなかったので買った。800円だったと思う。これがあまりに軽い味で、1日で1本充分飲めるものであった。それではもったいないので、1週間かけて飲んだが、あまりに物足りない味で、こんなウィスキーは初めてであった。だが、まずいというのではない。ビールのようにがぶ飲み出来るウィスキーとして、これはこれでファンがあるだろう。今日は家内は仕事が休みで、誕生日祝いに何か食べようというので、展覧会を見た後、河原町に出た。ここ数年はさっぱり収入がない筆者なので、すべては家内の財布から出費されることもあって、外食などという贅沢はなるべく控えようとしているが、家内はせっかくの還暦なので、せめてふたりで、いつもよりはましなところで食べようと言う。それであれこれ迷いながら、ビヤ・ホールに行った。家内は全く飲めないので、そういう場所にはふたりで行ったことはない。だが、家内は筆者が最近また暑さがぶり返してビールをほしがっているだろうと思ったのだ。言葉に甘えてビールは大ジョッキを頼んだ。1300円也。家内には最も安価なコップ入りのビールで400円。それにいろいろと肴を頼んだ。家内はビールをほんの一口飲むと赤くなるので、残れば筆者が飲もうと思っていたが、どうにか全部飲み干した。すると帰り道では顔が真っ赤になって頭がふらふらし、体がとても熱いと言う。それも家に着くまでには醒めたようだ。肝臓の数値がよくない家内は、アルコールは飲まないに限る。家内の母は肝臓癌で70代半ばで亡くなった。母と家内は顔も内臓も似ている。だが、筆者の60回目の誕生日でもあり、向かい合せで飲むことは気分がよかったようだ。筆者は全く酔わなかったが、さすが大ジョッキのお代わりをするほど、家内とも話が弾まない。座ったのは大きな部屋の隅で、周りの客を見わたせやすかった。ほとんど60代から70代で、大ジョッキを飲んでいる人は皆無であった。筆者の隣は40代半ばの夫婦で、奥さんは100キロ近いと思えるほど太り、次から次へと注文し、底なしの胃袋を持っているようであった。向かいに座る旦那さんは、顔を真っ赤にして、コーラを注文していた。奥さんと違って飲めない口のようだ。酒に強い女性と飲むと面白いかもしれないが、筆者はそういう経験がほとんどない。酒を飲んで異常にはしゃいでいる女性の姿を見るのはいやで、飲める口であっても男の前ではあまり飲まないのがいい。それに、ひどく酔った女ほど色気のないものもない。
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 話を戻して、送ってもらったCD-Rは、CDデッキが壊れているのでラジカセで聴いている。だが、普通のCDでもなかなか聴くことが出来ないラジカセなので、なおさらほとんど反応しない。2か月ほど前にラジカセを高さ60センチほどの高さから硬いコンクリートの床に落とし、それから調子がおかしくなった。パソコンでCDを聴くことも出来るが、パソコン用のスピーカーがない。音楽のない生活をする派目になっているかと言えば、ラジカセでカセットは聴くことが出来る。そう言えば、カセットは500本から1000本ほどはあるから、それらを順に毎日聴いても1年以上はかかる。音があれば何でもいい方なので、ラジオを聴いてもいいのだが、これがなかなかその気になれない。ならばいっそ無音ということになって、ここ数日はそういう時間の方が多い。そしてラジカセでたまにCDをかけてみると、調子よく回転してくれることもある。ま、そのようにして音楽を聴いている始末だが、先日ほしくて買った新譜のLPは、いつ聴こうかと楽しみにしながら、時間と心の余裕がなく、まだ聴いていない。これぞと思って買ったCDほど、すぐには聴かず、時には数年そのままになることがある。そのようにして聴いていないCDがかなりあるが、買ったのに読まない本と似ている。だが、本はぱらぱらとページをめくるだけでもだいたいの雰囲気がわかるからいいが、CDやレコードはとにかく聴かねばならない。その一度聴いてみることに思い切りがいる。これは、いいかげんな気持ちで聴いてはもうしわけない、もったいないという思いによる。相手が真剣勝負で録音したものを、それなりに敬意を表して真剣に聴かねば、その真髄に迫ることは出来ない。また、作品は最初の出会いが肝心でもあるからだ。ま、この話はいい。
 昨日取り上げたフェリックス・ホフマン展を見ている時、会場内に女性の声で、もうすぐフィルム上映があるとの告知があった。家内と別々に見ていたこともあって、筆者はホフマンの作品を見るのを中断して、上映会場に行ってみた。1階の講堂だ。その下にも展示場があるが、そこに行く時には講堂の横を通らねばならない。映画はすでに始まっているので、講堂の中には入れないかもしれないし、もしそうであれば地下の展示室にそのまま行こうと思った。ところが、暑さのせいか、講堂の後方の扉が開けられていて、中に入ることが出来た。席も半分ほど空いている。扉の近くに貼られていたポスターによると、短編アニメが5本上映される。ならば、そのうちの1本でも完全に見ることが出来るだろうと思ったのだ。扉の近くに座っていた係員の女性が座れと薦めてくれるが、遅れてやって来る家内の姿を見つけるためには、開け放たれた扉の近くに立っておく必要がある。それで、係員の言葉を無視して、一番後方に立ち留まった。途中から見るアニメは内容がよくわからない。それに家内が来るのをちらちらと何度も確認するので、なおさら集中出来ない。そうして途中から見た1本が終わった。立て続けに上映されるようで、部屋は明るくならない。3本目がすぐに始まった。『ダンサーとトラム』という題名だ。ずっと立っているのもしんどいと思い、一番後方の座席に座った。そこからは扉の外側が見えないので、家内が通路を歩いてもわからない。だが、講堂の扉は開いているから、通りがかれば家内も中を覗くだろうし、そうすれば筆者を見つける違いない。そう思って映画に集中することにした。ブラジルの作品で、10分だ。これがなかなか面白かった。音楽と映像がよくマッチしている。セリフはないが、登場人物のしぐさや表情で充分にストーリーはわかる。宮崎アニメにさっぱり関心が持てないと一昨日書いたが、こうした個人が作った素朴とも言えるアニメには興味が湧く。いや、素朴という表現は当たっていないだろう。宮崎アニメでは背景の写実的表現と、人物の線描き表現との間に齟齬を感じるが、このブラジルのアニメは、線はない。人物も背景も輪郭がなく、色面で構成されている。簡単に言えば切り絵的だ。だが、日本の影絵的切り絵とは全く違う。色彩が驚くほど豊かで、さすがラテン・アメリカのブラジルという印象がある。音楽は途中でスカのリズムを使うなど、これも概して中南米的であったが、そのブラジル的なところに興味が湧いた。コンピュータを使って、今は個人でもこういうアニメが比較的簡単に作ることが出来る時代になったのだろう。だが、それは旧世代のアニメ、つまり古典的なアニメの手法を踏まえたうえで、コンピュータ・ソフトを扱う技能も必要で、便利になった分、学習すべき事柄も多くなっているのではないか。
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 『ダンサーとトラム』の内容を簡単に書く。路面電車の運転手が主人公で、電車を運転しながら体を揺すり、まるでダンスしている様子だ。そして、道行くグラマーな女性を見つけては目を奪われるなど、なかなか色好みのところがある。まずこの設定にいかにもラテンの陽気さを感じ、一気に画面に引き込まれる。日本ではそういう設定のアニメは絶対に作られないだろう。電車の運転手は事故を起こさぬように、とにかく真面目さが強く要求される。だが、それは基本的にどの国でも同じで、このアニメでも、同乗する検査係の男が運転手の行動をつぶさにノートに記す。つまり、真面目に業務に携わっているかどうかの査定をしているのだ。電車には運転手のほかにもうひとり同僚が乗っている。これはチケット係だ。運転手がのっぽで、こっちは背が低くて太っている。ある日、電車の横にバスが同じ方向を走る。それを見た路面電車の運転手は負けじとばかり、速度を速めて、バスと競争する。乗客は大迷惑で、トラブル続出、たちまち同乗している査定官が大きな減点を記す。運転手は上司に呼ばれてこっぴどく叱責される。またある日、路面電車は時代遅れとなったのか、線路が剥がされ始め、運転手は全員バスを運転させられることになって、その試験がある。のっぽの運転手はバスのエンジンや運転の仕組みが飲み込めず、不合格、一方の同僚は合格する。こうして仲間と別れて運転手は仕事場を去る。日本でも、あるいは世界中どこでもあるような光景だ。それから何年経ったのか、のっぽの運転手は白髪頭になって、すっかり老人になって、家族と一緒にのんびり暮らしている。そこに太った同僚が訪問する。のっぽの同僚にプレゼントを持参したのだ。それは何と、路面電車の形をしたバスだ。それを見てのっぽは驚いて即死する。ここが今ひとつ理由がわからないが、路面電車ならいいが、結局はバスであるので、嫌悪の情を催したのであろう。葬式が行なわれ、のっぽは天国へ行く。雲の上でのっぽが目を覚ますと、遠くから路面電車がやって来る。それがのっぽのすぐ近くに来た時、サンバの女性ダンサーに姿が変わる。それを見て喜んだのっぽは一緒になって踊る。ブラジルと言えばサンバというのが国際的にも結びついたイメージだが、それをそのまま使いながら、社会風刺も交え、陽気な国民性を描いているところがよい。ロジェリオ・ヌネスという人の作品で、2009年に作られた。
 この作品を見終わった後、すぐに講堂を出た。すると家内がやって来た。ふたりで次のアニメを見てもよかったが、すでに始まっていたので、見るのを断念した。チラシをもらったところ、アニメ上映は9日から14日までで、筆者が見たのは最終日であった。残りの4本を見るために明日また出直そうかとも思ったのに、最終日では仕方がない。たまたま見たアニメに、かなり得した気分になったが、そうなれば欲が出るもので、5本とも見ればよかったと思う。チラシの表には『ダンサーとトラム』の一場面が印刷されている。また伊丹市立美術館のすぐ近くの喫茶店では、その作品のみ、同じ期間中に上映されていることが記されていた。筆者は5本のうち、最もいい作品を見たのであろう。そう思って残りの作品が見られないことを諦めた。それにしても、こうした珍しいアニメがどこで発表され、DVDになっているのかどうかが気になった。帰宅してチラシを改めて見ると、『CON-CAN MOVIE FESTIVAL 上映会』とある。「CON-CAN」とは何か。ネットで検索すると、ホームページにたどり着いた。美術館で上映されていた5本はすべてネットで見ることが出来るではないか。日本の株式会社メディア総合研究所が主催しており、日本初のインターネットを利用したオンラインの国際短編映画祭で、今年で8回目を迎え、世界70か国から応募があるとのことだ。会員登録の必要はあるが、無料であるし、全部で100本は下らない作品がいつでも何度でも楽しめる。アニメだけではなく、実写映像もあり、長くて20分ほどだ。「CON-CAN」は「魂観」の漢字が充てられている。この短編映画を見るには、2階のWINDOWS XPのパソコンでなければならず、また、最初に書いたように、筆者は作品に最初に接するには、ある程度の覚悟が必要なので、貪るように毎日たくさん見るという気分にはなれないが、今日までのところ、『シャパ(相棒)』というブラジルの作品、『おこげ』、『あひるの物語』、『いつもの話』の3本のスペイン映画、そして伊丹でも上映していた『船乗りと犬』という、ポルトガルの若い女性ジョアンナ・トテス監督の作品、『スイート・ドリーム』というアメリカの若い女性監督カースティン・リポアーが作ったアニメーションを観た。どれも完成度が高く、ただただ驚いている。日本人の作品も登録されているが、今のところ、見る気が起こらない。パソコンで改めて『ダンサーとトラム』を見て、次に見たのが『シャパ』であったが、ブラジルの道路事情、そして物騒な様子もわかって、『ダンサーとトラム』と併せて考えると、光と影と言おうか、日本にはない人々の生活をまざまざと感じさせる。そこに、先に書いたスペイン映画を突き合せると、ラテン人の人生に対する考えや、興味深いさまざまな事柄が脳裏を巡る。また、10数分で見終わるところがよい。短編であるから物足りないではなく、むしろ考えがストレートに伝わって、強い記憶となる。今日は『いつもの話』を見た。短編ならでは物語で、題名に二重の意味があることがわかって、監督の冴えた技量を伝える。バスの中での話だが、その内容や結末を書くと面白くないので、これを読んで興味を抱いた人には、会員登録して鑑賞することを薦めたい。ともかく、インターネットがこれほど便利なものになったことに驚くとともに、こうしたコンテンツがネットにあることを知るには、やはりあちこちうろつき回ることが欠かせないことを思い知り、上映期間中に伊丹市立美術館に行ったことは儲けものであった。だが、電車に乗っては美人を目で追い、踊るように歩く筆者が、『ダンサーとトラム』に遭遇したのは必然であったのだろう。だが、今日で還暦、電車の運転手でも定年だ。それもあって、なおさらこのアニメに思うことがあったのかもしれない。
by uuuzen | 2011-08-30 23:59 | ●その他の映画など


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