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●若冲の「薔薇小禽図」の訪問着
薇は年中咲いているような気がするが、本格的に咲くのは5月だろうか。その頃には完成すると思うが、目下、若冲の「動植綵絵」の一幅「薔薇小禽図」の訪問着を染めている。



●若冲の「薔薇小禽図」の訪問着_d0053294_2172577.jpg注文をもらったのは2年前の夏頃だ。半年後に原寸大の下絵を完成させたが、気に入らず、最初から新たに描き直した。この下絵を描くだけでたっぷり2か月はかかった。いや、もっとかかったかもしれない。花ひとつに2時間ほど費やしたような記憶がある。もちろん線描きの下絵でだ。友禅染は工程が多く、工程ごとに仕事を中断することが可能なこともあって、途中で何度も一息つきながら、また、時には数か月も放ったらかしにしながら、今年正月から本当に本腰を入れ、現在は彩色の工程が6分ほど終わった。このキモノの製作について、各工程ごとにつぶさに写真を撮ろうと当初考えたが、筆者の旧式のコンパクトなデジカメではいろいろと無理があるようで、諦めた。また作業中に写真を撮るのは面倒だ。誰かに撮ってもらうのがいいが、そういう人はいない。だが、今日はかなり完成に近づいたこともあって、またすぐ近くにカメラが転がっていることにも気がついたので撮った。そして、予定を変更して今日は筆者の本職の一端を示すものいいかと考えた。昨日家内と話していて、先日家内が河原町で見かけた恰幅のいいホームレスはその後いなくなったことを知った。また、人は中年以上になると、見た目でどういう職業か、あるいはどういう暮らしぶりかだいたいわかるといった話にもなったが、家内によれば筆者は何をしている人かよくわからず、ただのむさ苦しい薄汚れたおっさんになっているそうだが、その言葉を聞いて、全くその通りで、返す言葉がなかった。金持ちに見えないのは昔からで、よほど貧相な顔と体格をしていると自覚すべきだが、もう今さらどうでもよいとの思いもある。それはともかく、こうして毎日ブログに書きながら、筆者の正体がよくわからないと考える人もあるかもしれず、ブログにはめったに書かないが、今日は現在進行中の本職を示しておくのもいいかと思った。さきほど雨が強く降って来た。昨夜の満月がおぼろであったことを思い出しながら、また今夜はムーギョ・モンガまで歩くのは億劫であるので、これを書き上げれば、今夜は昨夜のあまり物を食べる。昨夜のムーン・ゴッタは裏庭に出て撮った。左の影が椿、右の枯れ枝が合歓木だ。先を急ごう。
●若冲の「薔薇小禽図」の訪問着_d0053294_2175837.jpg

 さて、製作中のキモノには、「薔薇小禽図」のすべてを、ほとんど花や葉の位置を変えずに下絵に用いたが、それだけではキモノの図案としては足りず、若冲の文様化の癖を分析して、枝を延長しつつ描き足した。また、若冲は顔料を主に使っていることに対し、こっちは水洗いしても色落ちしないようにと染料を使うから、「薔薇小禽図」を模写的に再現するにしても、工程が大いに異なる。また、色合いはほとんどそのまま再現するが、「薔薇小禽図」の地色はかなり濃い墨色なので、それは若い女性のキモノにはふさわしくなく、同じ墨染めながら、かなり淡い色にした。そのことが薔薇の花や葉の色合いを微妙に原作とは違うものにする必要を迫る。また、今まで試みなかった実験的な工程の必要に迫られ、その実験に作業が遅れ気味になった。それにしても丸2年もかかってまだ完成しないキモノは初めてのことだ。再現などせずに、自分の創作をやっている方がはるかに楽だ。今日は初めてその作業途中のキモノの一部分を写真に撮ったのでそれを掲載する。まだ防染のための糸目が付着したままなので、これを落とすともっと原画に近い雰囲気になるのではないかと思っている。だが、その工程を終えて仕立てる段階に到達しなければ何とも言えない。写真は着用した時に正面裾に相当する上前と称する箇所の一部分で、白薔薇にはまだ雄蘂を描き入れていない。これをどういう方法と工程の中で描くかまだ思案中だ。また、葉には虫食いの丸い穴をたくさん描く必要がある。これは深緑の上に載る赤であるから、染料では表わすことがおそらく無理で、顔料を使わねばならない。それもどうしたものかと考えているところだ。着用者は筆者より背が高い。そして腕と足がとても長いので、普通のキモノの生地では間に合わなかった。最初に思っていた生地は入手出来ず、結局細かい文様入りのものにしたが、これが作業をより困難にした。無地のつるりとした生地の方が仕事ははかどる。ただし、ごまかしはより出来にくい。長身であることは染めるべき文様は多くなる。その女性に合わせて柄つけを考えたので、別の体格の女性であれば、また下絵を最初から描き直す必要がある。完全な誂えで、今回描いた下絵は同じ寸法でもう1点作るのであれが使い回しが可能だが、そういう注文があるとも考えられないし、今までの膨大な製作時間を思うと、同じ仕事をするつもりは全くない。長身の女性は近年では珍しくない。このことがキモノの概念をかなり変えた。色合いも洋服に使われるような青めの赤が中心となって、昔のように朱色の花は好まれない。その点、この「薔薇小禽図」は洋服的な花の色であり、また画題的にも「動植綵絵」の中では最もキモノに適する。仕立てが完成すれば写真を撮ってここで報告したいと考えているが、薔薇の咲く季節に間に合うか。
by uuuzen | 2011-04-18 21:08 | ●新・嵐山だより
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