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●大山崎山荘美術館
道を戻らずに、天王山の麓、JRの線路沿いを右手に見ながら山崎駅に向かった。途中左手に保育園があった。急な坂を上ったところに立つその建物を見上げていると、若い女性がひとりこっちに向かって下りて来た。



筆者らと同じ道を行くのかと思っていると、線路の下のトンネルをくぐって消えた。それを見て去年3月に尾道に行ったことを思い出した。踏み切りではなく、そのような地下通路が尾道にもあった。それは1か月ほど前、NHKのTV番組で鶴瓶の「家族に乾杯」でちらりと映ったように思う。小宮悦子がその地下通路のすぐ南を東西に走る長い商店街に立つ場面も映ったが、それは去年筆者がそこを歩いた時と同じで、ほとんど人影がなかった。そのさびれた様子をはっきりと映さなかったのは、NHKやカメラマンの優しい思いでもあるだろう。尾道という比較的有名な街ですら、そこの代表的な商店街はいつもガラガラ状態だ。そう言えば同じ様子は、同じ番組で岐阜市内を取り上げた時にはもっとはっきりと映った。地方都市がみなそうして疲弊しているのに対して東京だけは元気だ。その東京に大地震があれば、日本全国がシャッター通りとなってしまう。そのためにも東京の今の機能の幾分かを関西に遷して、日本を二極の複眼国にした方がいいと昨日は書いたが、都知事選の立候補者4人は誰もそんなことを唱えず、今まで以上に東京を大型にしようと思っている。国全体を考える時、それが無責任にはなりはしまいか。それはさておいて、サントリーのウィスキー工場で水割りとハイボールでほろ酔いになり、しかもポカポカ陽気の田舎道を歩くのは、ちょっとした旅気分となった。わが家から30分ほどの場所だが、初めて歩く、そしてそれがJRの線路沿いという、日本国中どこでも共通する風情のあるところなので、短い道のりであっても楽しかった。家内の仕事は3月に集中して休みが多いので、旅行するにはいいのだが、今年の筆者は重なった仕事がどれも遅れていて、またさして行きたい場所もないので、さっぱり旅行のことは計画していない。それを知っている家内はかなり不機嫌だが、このわずかな線路沿いの散歩は旅行気分になれたようだ。全く筆者は、たとえば「何でも思いようだ」といったように、家内を説得する騙しのテクニックがうまい。またそのことを家内は重々承知しているが、もう今さらそういう筆者を嘆いても仕方がなく、遠方へ旅する代わりにこうしてあまりにも近い場所、しかも見て楽しくも何ともない場所を歩くことで、旅行気分を味わうことに腹を決めている。だが、こうして書いていて、イタリアの初めて歩く街並みも、天王山の麓の名のない道も、さして変わらないように感じる。やはり「何でも思いよう」で、今この瞬間が一番と思えばそうなるものなのだ。と、自分を騙しておこう。
●大山崎山荘美術館_d0053294_1328683.jpg
 さて、突如サントリーのウィスキー工場に思い立って行ったのは、それが最大の目的ではなかった。メインは大山崎山荘美術館へ展覧会を見に行くことで、そのついでに今まで気になっていたウィスキー工場の見学を考えた。それで、JRの線路沿いの北側を歩いたのは、そのまま美術館の上り口にたどり着くことを思ったからで、その予想は正しかった。工場の入口前の線路をわたって西国街道を阪急の大山崎駅付近まで戻ると、また線路を北にわたらねばならない。筆者は物事のついでが好きで、しかも往きと帰りでは違う道を採るのを好む。そのため、美術館を見た後はそのまま帰宅せず、もうひとつの目的をこなすためにいつもとは違う駅で下りて、これまた初めて歩く道を行った。それは後述するとして、天気がいいためもあってか、美術館はかなり人が多かった。ここは遠方から来る人も多いようで、観光気分に浸るには最適な場所だ。山から見下ろす淀川、宇治川、木津川の三川合流地点は、歴史に興味のない人であっても、その見晴らしのよさに、京都市内ではあまり味わえない雄大さに接することが出来る。下のパノラマ写真はそのテラスに立って三川合流地点を見下ろしたものだ。まだ花の季節ではないため、全体に赤茶けて見える。写ってほしかった細部は、合流地点の堤に生える桜並木だ。ここは筆者が小学生の頃は松並木で、大阪から京都に向かう遠足のバス、あるいは京阪電車の車中から見つめたものだ。それがいつの間にか松が枯れ、代わって桜が植えられ、樹齢を重ねて近年は桜の名所として人気が出ている。だが、筆者はまだ訪れたことがない。地図で見ると、そこは阪急の駅からの方が近いが、川をわたる橋が近くにないため、京阪を利用してより多く歩くしかない。数年前から気になっていて、今年は訪れたいと考えている。ともかく、その桜並木を遠くに確認しながら、このパノラマ写真を撮った。画面右端に写るコンクリート建造物は、地下にある安藤忠雄設計の新館に通ずる通路だ。天井部が空いていて、光を取り入れる構造になっている。この美術館は館内はすべて撮影禁止で、今回はそのことを記すプレートや紙が特に目立ったが、以前はそうではなかったように思う。何とも無粋で、ある程度内部の撮影は許可していいのではないか。
●大山崎山荘美術館_d0053294_13284624.jpg
 この美術館の大きな自慢はテラスからの眺望にあると言ってよい。2階の広いテラスのテーブルで、コーヒーやビールを飲みながらくつろぐのはいい思い出になる。こうして書きながら、筆者は去年入ったこんぴらの椿カフェを思い出しているが、そこがガラスで囲まれた洒落た店内であるのに対し、この山荘のテラスは閉じられた空間でないところがよい。寒かったり天気の悪い日にはくつろぐ気分にはなれないが、その悪条件を逆に楽しめばいいではないか。さて、展覧会の感想は後日に回し、今日はこの美術館について初めて知ったことを少し書いておく。先に書いた新館は、この美術館がオープンした時から、つまりオープンするに際して出来たものだが、順調に人気が増して来たせいもあってか、もうひとつ別の新館を建てることになった。それは下の写真でもわかるように、美術館前の池に沿って山手に延びるようで、どういう形と規模になるのか知らないが、展示室が増えて今までとは違う企画展を開催することが可能になるだろう。今までは民芸を中心とした展覧会ばかりであったのが、現代美術を紹介するようにもなっているから、今後はそっちの方面に力を入れるものと思われる。いつ行っても同じ民芸作品ではリピーターが期待出来ず、若い世代にもっと足を運んでもらうには現在活躍中の作家を紹介するという考えによる。そのことは新館が安藤忠雄の設計ということからしても予想出来る企画で、にわかに決まったことではないだろう。そして建築中の新々館も、現在の雰囲気をさほど壊さないようなデザインのはずで、それが出来た時の景観が楽しみだ。もっとも、この新々館は、工事中のシートの状態から想像するに、現在の池沿いに建つ、2年ほど前の大津絵展の際に特別に臨時使用された細長い部屋が山手に向かって延長されるはずで、池を見ながらの回廊といった部屋になるのではないか。そしてその部屋は、古い山荘を中央にしてその左手に延び、右手には新館の通路が見えるといった格好になって、山荘が両翼を持った形になる。新々館のこけら落とし展として何が用意されるのか、楽しみに待ちたい。
●大山崎山荘美術館_d0053294_13333260.jpg
 展覧会を見終えた後、相変わらず天気がよく、また空腹だったので、何か食べようということになった。そのまま帰宅すると30分でわが家に着くが、中途半端な時間帯でもあって、帰宅はもったいない。それで、これは思い出したのではなく、最初から家内に言わずに計画していたのだが、スガキヤのラーメンを食べることを提案した。去年の秋に名古屋に行って、今まで以上に気になったのがスガキヤのラーメンだ。このことは、「にぎやかそうな横道に入る」に書いた。そのスガキヤが京都に1か所だけあることを以前に調べていた。幸い四条通り沿いの右京区にあって、阪急の西院駅から歩いてもさほど遠くない。家内は西京極で下りた方が早いのではないかと言い出し、その言葉にしたがったが、天神川左岸沿いの、まだ蕾すら見えない桜並木を縫いながら四条通りに達するのは、思った以上に遠かった。その天神川沿いは車では何度も走ったことがあるが、左岸を北に向かって歩くのは初めてで、これまたおおげさに言えば、ちょっとした旅行気分になれた。鳩ほどは大きくないが、名の知らない目立つ色合いの鳥が眼前を横切って右岸に去ったり、また右手の眼下に見える家並みは、初めてじっくり見つめることもあって、珍しく思えた。そうこうして四条通りに達し、そこを右に折れて、目指す店が入る大型集合店舗に入った。その店は30年ほど前に出来た。その前の四条通りを何百、何千回と通りながら、中に入るのは今回が初めてであった。時代が変わって多くの店が閉鎖する中、そこはどうにかテナントが入れ替わりながらも営業を続けている。そして、その中にスガキヤが入っていることは、どういう理由からか知らないが、有名なラーメン店の多い京都でどうにか営業が出来ていることは、それなりに人気があるからだろう。店は予想とは違って、地方都市の大型店舗によくあるような、3、4間の間口で多くの食べ物店が一列に並び、その前の大きなフロア全面にテーブルと椅子が置かれ、注文者はどこに座ってもいいようになっている。若い女性がひとりで切り盛りしていて、てんてこまいの様子であったが、つけ麺のトッピング増しを頼んだところ、トッピングがない。どうもおかしいと思ってそのままカウンターに持参すると、忘れていましたとの返事。やはりひとりでは大勢の客をさばくのは無理だ。他の店を見るとどこも2、3人で切り盛りしている。ほとんど食べ終わった頃、ひとりの男性店員がやって来て加わるのが見えた。トイレで長く座っていたのだろうか。スガキヤのラーメンは、魚の出汁のようで、尾道のラーメンを思い出した。その魚臭がいやだという人もあれば、それがいいという人もある。筆者は元来店でラーメンを食べることを好まないのでどっちでもいいが、去年の秋から気になっていたことをひとつクリアしたことが気分がよい。
●大山崎山荘美術館_d0053294_13335917.jpg

by uuuzen | 2011-03-24 13:34 | ●展覧会SOON評SO ON
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