2009年09月21日●第 120 話
マニマンは今年も散歩中に去年と同じ畑の同じ場所に白いヒガンバナを見かけました。でも残念ながら、すぐに刈り倒されたようで、マニマンは自分の影と一緒にその光景を撮影しました。去年の今頃はお隣りの奥さんが亡くなりましたが、ヒガンバナは彼岸に行った人のことを思い出させます。マニマンは自分もいつかは彼岸の影だけの住民となった時、誰かがヒガンバナを見かけて自分を思い出してくれるのかどうかを考えてみましたが、煩悩から解放された彼岸に去ればそんなことはわかりようがわりません。彼岸も結局は此岸にあると考えた方がいいのです。そして、誰かや何かを思い出す自分が存在することは、それ自体が永遠の真実で、いつでも誰でも同じことを経験します。マニマンが去年と同じように白いヒガンバナを見かけたことは永遠のことで、永遠に繰り替えされる可能性があります。ですから、一度だけ書いておけばいいものですが、こうしてお彼岸の日に思い出して書くことは、いつかマニマンが彼岸の人となった時、せめて彼岸の日にこれを読む人がなおさらマニマンのことを回想してくれるかもしれません。※
先日の6日は自治会長が亡くなったので葬儀に出かけた。遺影を見ると知らない人であったが、奥さんが代わって自治会長会議に出席していたのであった。参列者は200から300の間で、半分以上は自治会関係であったようだ。徒歩で行くには、またバスに乗るにも不便な場所で、他の自治会長と申し合わせて車に便乗させてもらったが、参列者はみな高齢であるので、この10年や20年の間に順番にその会場の主役になる運命にある。10年も20年も大差ないように思えるが、それは還暦を迎えて定年退職の年齢に達したからか。今日はミヨーナから電話があって、ミヨーナの妹の夫が亡くなったと言う。ここ数年胃癌を患って入院していた。筆者より1歳年長で、体格のいいスポーツマンであってが、体重は半分ほどに減った。昨年秋にミヨーナの母が亡くなった時に会った。あまりに痩せこけて見るのがつらかった。本人も家族以外には顔を合わせたくなかったらしい。ふたりの子どもは結婚し、孫の顔も見ていたので、せめてそれがよかったかもしれない。電話をもらってから、かつていろいろと話をしたことを思い出したが、いい笑顔ばかりが浮かぶ。筆者は目下仕事が大変忙しいが、明日は通夜に出かけ、明後日は告別式だ。会館は遠方でしかも不便なところにある。雪で足元が悪くなければいいが。