●隠れ朝顔
d0053294_11011778.jpg  2009年07月27日●第 82 話





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マニマンの裏庭の向こうに畑があります。マニマンはその畦道をたまに散歩します。畦道に沿ってきれいな水が細々と流れ、その縁には露草などの小さな花や雑草が賑やかに繁茂して、マニマンお気に入りの場所なのです。畑に鹿や猪が入らないように、畦道に沿って網が張られています。夏にはその網に朝顔が絡みつき、これまたとてもいい景色です。今日の昼下がり、マニマンはその畦道を歩きながら、群れ咲く青い朝顔を楽しみました。もうしばらくすると、全部枯れて大量の種子が出来ます。それもまた面白い光景です。マニマンはコマニが小学生の時、理科の宿題のために裏庭に赤い朝顔を植えました。毎日落下する花を冷凍庫に保管し、一夏で数百個を集め、コマニは新学期が始まってその冷凍保存した塊を学校に持参しました。マニマンはそんなことを思い出しながら、青い朝顔の花が群がる奥の暗がりに、小さな一輪がこっちを向いていることに気づきました。ラッパ状の花から音は聞こえませんが、何か言いたげな様子を感じたマニマンは、「おにおにっ記」用に写真を撮りました。

これまで何度か書いたように、飲み友だちのNが、これを書いて投稿する1年1か月ほど前の去年7月27日に亡くなった。それを知ったのは年末の喪中はがきによる。Nがどのようにして亡くなったのかは知らないが、それを知りたいとはあまり思わなかった。むしろ、Nの死亡日に筆者が何をしていたか、何かテレパシーで感じることがなかったのかと思った。そして、当日のことを「おにおにっ記」に書いていたことを思い出した。調べると、近所を散歩して畦道に咲く朝顔の写真を撮っていた。朝顔は珍しくない。そのため、普通では「おにおにっ記」のネタにはなりようがないが、その日に見た朝顔はいつもとは違っていた。満開の青い花の群れの奥から訴えかける何かを感じた。そして花や葉に覆われた奥を覗いてみると、こちらを向いて一輪が咲いていた。そのような陰に隠れて咲いていたのはその花だけだったと思う。その様子が珍しいので写真を撮ったが、単に珍しいだけではなく、その日陰に咲く様子が何か健気で、感じ入るものがあった。堂々と咲く花もいいが、こういうようにひっそりと忘れ去られた場所で咲く花もいい。人が見ていようが見ていまいが、光が充分であろうがなかろうが、花は咲く。人間もそうだ。Nが亡くなった日に日陰に隠れて咲く朝顔を見出したことは、テレパシーであったと言えないか。Nは容易に人を受け入れず、友人と呼べる者はほとんどおらず、群れることを嫌い、物事をいつも斜めから見ていた。それは日陰に人知れず咲く朝顔にたとえられるかもしれない。日陰の朝顔に目を留め、その写真を撮ったことは、Nの別れの声を内心聞いての無意識の行動であったと思いたい。そういう思い込みによって、今後筆者は日陰の青い朝顔を見るとNを思い出すだろう。それにこれも以前に書いたが、今後Nの命日には、人からもらったものではなく、自分で買った酒を多少なりとも飲むことに決めている。そして今年の命日の前日には、「朝顔の群れ咲く奥にひとつ青」という下手な俳句を作ってブログでつぶやいておいた。花に関心がなかったNは、亡くなる数年前に、毎朝事務所に通勤する間に見る白木蓮をきれいだと言って写真を撮り、筆者にそれを見せながら花の名を訊ねたことがある。そんな有名な花でさえ知らないNであったので、Nにふさわしい花はせいぜい朝顔くらいだ。でもいいではないか。青い朝顔は美しい。堂々と顔を見せて群れ咲くものも、ひっそり咲くものも。
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by uuuzen | 2010-09-05 09:39 | ●おにおにっ記 FINALE | Comments(0)


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