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●桃太郎パフェ
物の豊富なことで岡山は知られている。昨日の投稿の最後は「その話はまたいつかに。」であったが、今日は5日であるので、早速書くことにしよう。



実は、昨日最初に掲げたこんぴらカフェの宣伝カラー名刺のパフェを見ながら、果物類はマリンライナーか瀬戸大橋を走るトラックで岡山から運ばれるのかなと思った。岡山駅を出ると桃太郎の大きな銅像が立っている。なぜ岡山が桃太郎なのか。その理由は岡山が桃を全国一多く生産するためかと思うが、全然別の理由があるかもしれない。岡山で目的であったものについては日を改めて書くが、それを見た直後、「フルーツパフェの街おかやま」と題された、3枚開きになった詳しいパンフレットを入手した。美術展のチラシと一緒に置いてあったのだ。そのパンフレットに実行委員会委員長がこんなことを書いている。「岡山は、全国的にも雨が少ない「晴れの国」。瀬戸内海型の温暖な機構のため、おいしい果物がたくさん収穫されます。なかでも白桃、マスカット、ピオーネの生産量は、全国1位。ほかにもメロン、ナシ、イチゴ、イチジク、ミカンなどさまざまな果物が楽しめる「フルーツ王国」です。そこで岡山県産の果物をもっと気軽に楽しんで欲しいとの願いから、「フルーツパフェの街おかやま」が2009年からスタートしました。」その下には「岡山のフルーツカレンダー」があって、何月にどんな果物が収穫出来るかがわかるようになっている。岡山の桃は有名だが、筆者は白桃が旬な時に年に1回食べればいい方で、あまりに高いのでいつも敬遠している。その高さに見合うだけのおいしさはあるが、いつものやせ我慢で、思っただけで食べた気分になることが出来ると思っている。この桃は、缶詰ではシロップの味が勝ってしまって駄目だが、どういうわけか冷蔵庫の片隅に古い桃も缶詰がいつもあったりする。本当の桃とはあまりに味が違うので、誰も注目しないまま何年も存在が忘れ去られるのだ。それはさておき、パンフレットにそれなりに関心を抱きながら、駅に向って歩き始めると、5、6分で左手に大きな観光案内の看板があった。そこは駅前の大通りより1本北に入った裏道に当たるが、道幅は広く、見通しが利き、筆者のような方向音痴でも道を間違うことはない。初めての道を歩くのは楽しい場合が多い。ちょうどその看板を左に見て真正面、そしてその目前のそれと交差する車道辺りの風景は、住んでみてもよいと思わせるもので、岡山の全部がそのようだとは思わないが、明るく静かで、それに古風なところもまだ残りながら庶民的でもあって、筆者好みであった。看板は最近立てられたような真新しいもので、その看板の立つ一画は小さな公園らしき空きスペースになっていた。そして、そこに観光案内をするボランティアだろうか、ひとりの男性の老人が立っていた。
●桃太郎パフェ_d0053294_0114545.jpg 駅に向かっているのであるから、今からまたどこか面白いところを見つけて出かけるという気分でもなかったが、まだ陽は高いし、疲れも出ていない。それでしばしその看板を見た。現在位置を確認して10秒と経たない間に、「国吉康雄生誕の地」という家を見つけた。筆者の立っている場所から通りを向こうにわたって路地を入ったところだ。その距離は100メートルほどで、家内を尻目にその路地に入って行った。歩んでいた道から右に折れた格好だ。歩きながら、その狭い道が昭和初期の面影を残していることに旅情緒を味わった。京都市内ではもうそんなところはわずかにしか残っていない。そこは戦争で焼けなかったのだろうか。また国吉康雄は岡山のこんなところで生まれたのかと、何だか意外でもあった。家はすぐに見つかった。玄関脇に金属製の牛に乗る童子の彫刻があり、それが御影石の台座に載っている。これを設置したのは岡山市であろうか。筆者が写真を撮っている時に、隣の戦後建った家からおじさんが出て来て、国吉康雄とは誰か、有名なのかといった質問をして来る。何か家内工業をしているような印象を持ったが、毎日見ているはずの国吉康雄に関する知識がないのだ。だが、筆者はそれをあまり驚かない。画家の存在など、99パーセントの人類には何の関係も興味もない。いつの時代でもそうであったし、これからもそうだ。むしろ、画家について詳しい人物など、役立たずの代表と言ってよい。「ええ、とても有名な画家ですよ。牛の絵をよく描いたりしました。それでこの彫刻なのかもしれませんね。」 おじさんはふーんという感じで、興味を新たにしたようでもなかった。家は木造で、現在おそらく国吉とは関係のない人が住んでいるが、2階にフリーズ風のちょっとした飾りがあって、かつてはそれなりにモダンな建物であったことがわかる。国吉時代からそのままであるとは思えないが、おじさんは戦前から同じと言っていた。木造であるので、瓦を葺き替えたり、部分的に改修するなど、国吉時代そのままではないに違いないが、家の前の道の雰囲気はあまり変わっていないと思う。そして、筆者はその路地に住むのもいいなとまた思った。国吉は明治末期に渡米し、その後一時帰国したものの、もっぱらアメリカ在住の日本人画家として名をなした。そのためもあって、日本の美術界では正当な評価を受けていない感があるが、世界的に有名な画家を岡山が生んだことは誇り過ぎることはないだろう。明治末期に渡米して画家を目指し、日米の戦争時の苦労を味わいながら画風を確立したところは、裏返して見れば、今の画家にはない幸運とも言える境遇であったかもしれない。画家は何でもめぐまれ過ぎると、時としてさっぱり面白い絵を描けなくなる。画家が1パーセントの人々に注目される存在であるならば、その生活はある意味ではそうした1パーセントの人々しか味わえないような複雑さを持つ方がよい。のっぺりと平らな人生であれば、それに応じた作品しか生み出し得ない。
●桃太郎パフェ_d0053294_01235100.jpg

 さて、国吉康雄を記念する彫刻を見た後、また駅に向った。大通りの1本北側を行きたかったが、家内は普通の生活道路で面白くなさそうだと言うので、また大通りに出たが、今にして思えば、やはり往きと帰りでは違う道を歩くべきであった。その方が発見するものが多いし、筆者は常々そうしている。話を「フルーツパフェの街おかやま」に戻すと、駅前に向いながら、その内容が気がかりであったが、まずこんぴらに行くことにして、その帰りにまた岡山に戻ってからでもよいと思った。ただし、少し疲れたのでどこか喫茶店に入ろうと思い、先に見つけていたとある店に入った。店全体が深緑色のペンキで塗られ、コーヒー専門店としては風情がある。店の名前は忘れたが、大通りに面したそこそこ広いところで、それなりに古くて有名だろう。本日のコーヒーとやらを頼んでしばし一服し、その後駅に直行した。そして、尾道に行った翌日、岡山駅に戻って少し散策し、こんぴらに行った後、また岡山に出たが、気になっていた「フルーツパフェの街おかやま」をまた開いて、パフェを食べようと考え、岡山駅に最も近くて安い店を見つけた。駅周辺には14か所あるが、筆者のいる場所から近いところでは5、6か所だ。駅周辺以外にも県下全域に店が散らばっていて、全部で42か所ある。それだけフルーツパフェを食べさせる店があるのは意外でもない。東京ではその10倍以上あるに違いない。だが、岡山産の果物を使って「フルーツパフェの街おかやま」という企画に賛同する店となれば、格が違うのではないか。そこには強い地元意識がある。それが一観光客に過ぎない筆者には非常に眩しいものに見えた。こんぴらカフェのように、東京で100年の歴史を持つフルーツパーラーを呼び寄せて営業させるという安易な考えとは違って、フルーツ王国の自負、意地がなかなか頼もしいではないか。それに、地元で採れた果物を地元で食べるというのが何よりいい。パンフレット内部は、各店の代表的パフェの写真が、春と秋それぞれ1点ずつ載っている。それがずらり勢揃いした光景は見物だ。どれもあまりに豪華で、その量に筆者はたじろぐあまり、見ているだけでゲップが出て来るが、女性の胃袋はどうなっているのかと思う。こんぴらのカフェもパフェを宣伝名刺に刷るほどであるから、想定している客は若い女性だ。結局駅から最も近くて安い店は探し当てられず、食べなかった。これは、筆者は甘いもの好きではあっても、パフェが好きではないからと言える。カロリーが多すぎるので困るというほど、体重増加を気にはしていないが、パフェでお腹がいっぱいになると何だか胸が苦しくなるような気がする。せいぜいアイスクリームくらいでいい。あるいはかき氷か。それにパフェは食事代と同じほど高い。ついそんなことも考える。パフェを食べなかったことでまた岡山に行く理由が出来たとも言える。先の引用文のように、実際岡山は温暖で、岡山に滞在していた時間は光に溢れていた。以前書いたように、筆者は東北や日本海側など、寒い地方にはあまり行きたいとは思わない。その意味で、岡山は筆者にはちょうど温暖な地方に入ったばかりの街という気がする。そこを起点に瀬戸内海沿いの街を順に九州まで行ってみたい。
by uuuzen | 2010-05-05 00:13 | ●新・嵐山だより
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