2009年02月05日●第　１８９　話

　●おわりやっ記　７

ヨーデルを聞きながらコーヒーを飲みおわったマニマンとママーニは、そろそろ美術館に向かうことにしました。地上に上がるとすぐ目の前に美術館が入っている大きな文化施設のビルがあります。マニマンは玄関に向かう時、前庭にたくさんの大きなゴッタが並んでいることに気づきました。見通しの利く広々とした場所でこんなにたくさん並ぶ光景は初めてです。ママーニがさっさと先へ行くのもかまわず、マニマンはいい角度を探しながらゆっくりと写真を撮りました。こういう面白い出会いもあるだろうという予想が的中しましたが、カメラの電池を充分に充電しておいてよかったです。それにしてもビルの前にこういうまん丸い石の塊を転がしておくのは、変な彫刻を置くよりいい光景かもしれません。誰もその丸い石を美術品とは思わないでしょうが、丸い形は何となくニンゲンの意識にいい影響を及ぼすと思えますし、そのことは美術館の中に入って個性ある作品を見る以前の下準備としてはとてもいいことです。きっと誰も注意を払わないこの丸い石を、マニマンは当然「ムゼゴッタ」と名づけました。