2009年01月15日●第　１６８　話

　●おーナラっ記　７

鳥瞰は鳥が上空から広い下界を見下ろすことですが、ニンゲンがそれをするには「気のゴッタ」、つまり気球に乗るか、山に登る必要があります。マニマンが子どもの頃、大人たちは煙とアホなニンゲンほど高い所が好きと言ったものです。それをよく聞いていたマニマンは、マニマンの家の裏手にあった火事場跡の煙突の梯子をしばしば上る冒険をしました。煙突は高さ２０数メートルほどあって、マニマンはその中間までしか上る勇気がありませんでしたから、アホ度は半分といったところでしょう。高さ１０メートルから見る下界は、ちょっとした壮観な鳥瞰で、マニマンは高い所から見下ろす非日常的な光景が嫌いではなかったのです。ところが、マニマンは山歩きに関心がなく、また「気ゴッタ」に乗りたくなるほど冒険野郎にはならず、地面を徒歩徒歩するだけの平凡人生を歩むばかりです。でも山を仰ぎ見るのは好きで、鳥瞰ナラゴッタのある古都に行くと、昔に何度か登った小高い芝生の山を眺めます。そして、アホ度が相変わらずのマニマンは登ろうとママーニを誘うのですが、断固拒否されます。