人気ブログランキング | 話題のタグを見る

●興味のない珍しいレコードと古本屋の店先
長い夢を見た。目が覚めてもまだ頭がぼーっとしている。それで順に夢を思い出してみる。思い出せた順に初めて箇条書きにしてみた。その2時間後にワープロに向かってこれを書いている。



薄暗い教室のような部屋にいる。あるいはそんなような広さの電車の中か。狭い喫茶店のようにも見える。座席が向かい合わせになっている。まるでヨーロッパの列車にあるようなコンパートメントだ。筆者の左に家内が座っている。筆者の右は狭い通路があってその向こうに見知らぬ夫婦が同じように向かい同士で座っている。筆者より若くて40代のようだ。夫婦の間にはテーブルがある。筆者は手にLPを1枚持っている。それは日本のミュージシャンのもので白っぽいジャケットで、黒っぽいインクが滲んだように片仮名で「オフコース」と印刷されている。興味がないなと思っていると、右隣の席にいた夫婦のジーパン姿の奥さんが立ち上がってすぐに筆者が持っているそのアルバムをさっと奪い、また席に着いてふたりで何やら話し始める。どうせいらないものであるので、さほど筆者は怒ることもなく、立ち上がってその夫婦のテーブル際に立つ。「それは価値があるものですか」「ええ、これは今では珍しく、非常に貴重な盤ですよ」。そんなやり取りをしてみんなでしばし興奮していると、その夫婦の知り合いだろうか、眼鏡をかけた大きな男が赤ん坊を抱いてやって来る。夫婦たちはおおはしゃぎで歓迎し、夫婦の子どもであるらしいことがわかる。赤ん坊は男の子で、白くてとてもぽちゃぽちゃしている。ところが頭がとても大きい。どうも奇形のように思える。
 次の瞬間、筆者の座席の横にHが立っている。彼とはもう10年は会っていない。少しも変わっておらず、相変わらず音楽関係の仕事をしているようだ。Hにさきぼどの珍しいアルバムのことを得意気に話す。すると数メートル前方のちょっとした空き場所でライヴ演奏が始まった。男がふたりで歌う。双子でどちらも同じ格好をしている。赤や青、焦茶色もあっただろうか、スパンコールや皮で作られ、カウボーイが着るジャケットのように腕にビラビラの紐のようなものがたくさん着いているステージ衣装だ。ふたりはギターを演奏しながらマイクの前で静かに歌う。電車の中のみんなはその前に集まって喝采を送っている。筆者はHに言う。「どこかで見たことのあるふたりだけど、それが思い出せない」。するとすぐに歌は終わる。双子は筆者の立つ方向にやって来て、すぐに横際を通り過ぎる。その時ふたりを見てはっと驚いた。ふたりは下半身が異常に短くて、小人であったのだ。それを見た瞬間、Hに言う。「あっ、思い出した。ドイツの身障者を特集したTV番組で、昔出ていたのを見たことがある。あの時とは全然服装が違うけど、顔は一緒だ」。Hはうなずく。双子の顔はほとんどHそっくりで、筆者はそのことを言って内心悪かったかなと思っている。また次の瞬間、双子が歩み去った方向で大きな声が聞こえる。「今からみなさんの中から音楽オーディションをします。参加御希望の方は通路に出て並んでください」。すると、電車の中は段々ベッドがいっぱいの捕虜収容所のようなところに変化している。筆者はさきほど双子が歌っていた場所の近くに移動していて、家内と座っていた場所の方を眺めている。部屋は相変わらず電気が消えて薄暗いが、扉の隙間から光が差し込んで、外がぎらぎらと太陽が輝いているのがわかる。部屋の中には多くの若い男女がいて、その中から10人ほどが段々ベッド際の通路に横に喜んで並ぶ。ところがところどころ歯抜け状態で、筆者はなぜみんなは間を詰めて並ばないのかと不思議に思っている。後方を振り返ると、そこにも数人が整列している。みんな自分が選ばれたいと内心焦っているようなのがわかる。服装はみんな地味で、中には裸足の者もいる。
 次の瞬間、筆者はひとりでその部屋から出ている。見知らぬ町だ。どんよりとして日差しが見えない曇り空。夕暮れに近い。通りを歩き始めるとすぐに古本屋がある。その店先のあちこちに本が積まれている。筆者は青色が基調になって表紙の、週間か月刊の厚さ5ミリ程度の美術雑誌が10数冊束ねられているのを発見し、それを1冊ずつ確認する。そのすぐ横には60代の細いおっさんが椅子に座っていて、1冊100円は安いよなどと筆者に愛想を言っている。そのシリーズ本は本当は100冊以上のセットものだが、そこにあるのはそのごく一部だ。しかし、筆者は自分がずっと探しているシリーズものかなと思ったのに、それはまだ見たことのない本で、しかも内容も全然知らない国の知らない時代の知らない美術についての特集ばかり。こんなにもまだ知らない美術がこの世には存在していたのだと驚いている。積まれたうちの2、3冊は特大号で、厚さが2センチ近くある。『あっ、これはいい。これも100円だったらいいのにな』と思った瞬間、おっさんはいやな表情を見せ、『それを100円で売ればこっちは商売上がったりだよ』と内心言う。それで筆者は買わずにそこを立ち去り、すぐに通りを渡ろうとして、中央分離帯に行く。そこには背の低い植え込みがずっと並んでいる。通りに信号はない。人通りも少ない。通りは4車線ほどだが、舗装はされていない。向こうに向かって下り坂だが、そのずっと向こうはまた上り坂になっているが見える。分離帯から通りの残りもう半分を渡ろうとした時、向こうから黒光するキャデラックが2台前後に連なって走り降りて来るのが見える。車はその2台しか走っていない。車までは100メートルはあるので充分渡り切れると思って走り始めるが、片足がぎくりと捻挫したようになり、びっこを引いてしまう。渡っている最中に車はやって来て、運転手の顔が見える。こんなところを渡るなといった非難の表情が少し見える。車の後ろにはどこかの社長といった感じの人が乗っていた。後方のもう1台はどうしたのか見えない。通りをどうにか横切ってから、ますます足が重くなる。そして車が来た方面に向かって歩道を歩み始める。
 するとまたすぐに古本屋がある。扉は全部開いていて、店のずっと奥の居間らしきところまでが見えるが、そこに80歳くらいの頭の白くなったおじいさんがぽつんとひとりこっちを見つめている。白シャツ姿で肩から上しか見えない。店には地味な本ばかりが並んでいるようであるし、そのおじいさんの視線も気になったので、立ち止まらずにそのまま過ぎる。するとすぐにその家の古ぼけた低い木の塀がある。その塀の上部には1本のよく手入れをされた松が生えている。歩きながらその松を見ると、目の高さに下がっている枝の一部がロボットのように小刻みにガクガクと上下に1センチ程度ずれ動いているのがわかる。『ああ、これは作った物だな』と思いながらまたその枝を見ると、青緑の苔が枝の下側にだけびっしりと着いている。変わった松の木だと気になりつつ、30メートルほども行っただろうか。その通りは京都千本鞍馬口あたりで、その西側の歩道を北に向かっているように思えるが、道は真っすぐだ。カーヴはしておらず、もっと鄙びて店も少ないから、やはり見知らぬ町だ。まるで江戸時代ならこんな風だったろうと感じている。突然筆者は左脇に抱えていたはずの1冊の大切な本がなくなっていることに気がつく。さきほどの古本屋で本を見ている間に置き忘れたに違いないと思い、すぐにUターンし、来た道を戻る。しかし、足が重くて動かしにくい。どうにか1歩ずつ歩を進めるが、こんな具合ならいつになればあの古本屋に辿り着けるだろうか。それまであの大事な本は大丈夫だろうか。あのおっさんは自分の店の物だと言って返してくれないのではないだろうか。ああ、急がねばと焦っているところで目が覚めた。


美術本の夢はよく見る。そしてその本に載っている美術品は筆者がまだ見たことのない、時代も国もさっぱりわからない完全な未知の造形で、いつも世界は何と奥深いのかと感心する。筆者はほとんどどの国のどんな時代の未知の造形もそれなり認識できる自信はあるのに、筆者の知識を越えた奇妙な造形が本に堂々とたくさん印刷されている。それを見ながら筆者は『一体いつの時代に生きているのだ。これは夢ではないだろうな』という感情を抱いている。また、時にはこの美術本は切手であったりもする。見知らぬ町を歩いていたり、電車を乗り継いで行くのだが、いつも決まって心はまず郵便局に向かっている。そして、どうにか郵便局を見つけて窓口に急ぎ、そこで自分がずっと探し続けている切手を買おうとする。だが、それはいつも売り切れで、別の全く知らない切手を販売人からごっそりと示される。それはいつもハガキほど大きな、そして風景の切手であることが多い。いつ発行されたものか全くわからず、戦前のようなデザインでありながらそうではなくて未来の印象が強い。珍しいそれらの切手を1枚ずつまとめて何枚も買おうとするが、どういうわけかいつも買えなくて、しきりに残念がっている。自分のものに出来たためしがないのだ
by uuuzen | 2005-06-21 09:35 | ●【夢千夜(むちや)日記】
●第1章その2 『大ザッパ大雑... >> << ●閉じ込められた部屋内部と輝く...

 最 新 の 投 稿
 本ブログを検索する
 旧きについ言ったー
 時々ドキドキよき予告

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事/カテゴリー/リンク
記事ランキング
画像一覧
ブログジャンル
ブログパーツ
最新のコメント
言ったでしょう?母親の面..
by インカの道 at 16:43
最新のトラックバック
ファン
ブログトップ
 
  UUUZEN ― FLOGGING BLOGGING GO-GOING  ? Copyright 2024 Kohjitsu Ohyama. All Rights Reserved.
  👽💬💌?🏼🌞💞🌜ーーーーー💩😍😡🤣🤪😱🤮 💔??🌋🏳🆘😈 👻🕷👴?💉🛌💐 🕵🔪🔫🔥📿🙏?