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2008年10月28日●第 89 話
老婆の口元は梅干しのようにしぼんだ皺があります。古い梅干しがおいしいように、老婆には若い女性にない味があることでしょう。でも、誰しも華やかなものに魅せられ、皺がいっぱいの老婆はよほどのことがない限り熱い眼差しを注がれません。女性はその恐怖を知っているので、皺の増加を少しでも減らそう、遅らせようとします。でも、時間はじわじわと過ぎ、誰しもしわしわになります。バイサオーは「翁」ですから、「わしはしわ」と自覚していました。でもバイサオーが有名になったのはしわしわが増えてからです。ですからしわしわが悪いとは限らないのです。才能のある画家にしても、本当の貫禄を発揮するのは齢をしわしわと重ねてからです。一昨日は雨がしわしわ降りましたが、マニマンはママーニと一緒に電車を乗り継いで、古老画家の展覧会に行きました。昔見たことのある名画がありました。ホールではそれが拡大された電光パネルがあり、みんなしわしわ集まってその前で記念撮影をしていました。マニマンはその絵の銀色の空気を感じさせる水面の反射部分が好きで、それを中心にシワッと写しました。
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