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2007年12月21日●第 63 話
マニマンは貴金属店で売られている宝石には関心がありませんが、宝石の原石には心引かれます。でもそんなものを売っている専門店でたまに見ても、値段の高さに驚くばかりで、買ったことはありません。ところが、いつのことか忘れましたが、マニマンは古いめのうの標本箱を持っています。小さなめのうの原石の屑が接着剤で貼りつけられたもので、中学生が授業で使う程度のものです。それでもマニマンはそれを見るのが好きで、目と脳が何だか楽しいのです。原石とはいってもつるつるに磨かれた光沢ある表面は、口の中で半分以上溶かした飴にも見えてきれいだと思うのです。そのめのうの標本箱には青いめのうは入っていません。みな渋い色合いで、放射能で色づけをしたのではない、自然のままのものなのでしょう。自然の中にたくさんの色のめのうがあるのに、ニンゲンはもっと鮮やかな色を願って、色づけをしているのです。めのうには心がないので、そんなことをしてもめのうが困らないと思っているのですが、それはニンゲン自身が髪を染めたり、無理に日焼けをしたりすることの反映なのかもしれないとマニマンは思うのでした。
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