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●アルバム『ZAPPA\WAZOO』解説、その2
RAND WAZOO(グラン・ワズー)というタイトルはザッパ自身が1972年のアルバムに使用しているので、同時期のツアー・ライヴ音源のアルバム化に対しては別の題名が必要だ。



●アルバム『ZAPPA\WAZOO』解説、その2_d0053294_0211954.jpgそこで、ずばり『ZAPPA\WAZOO』と単純明快にしたのだが、実はこれはザッパ自身が72年に思いついていた言葉だ。2枚組見開きの紙ジャケは、表が同じデザインの紙ケース収納型で、ケース側にのみ『ZAPPA\WAZOO』と大きく印刷され、しかもよく見るとZAPPAとWAZOOの間のスラッシュ代わりに指揮棒が細く描かれている。ただし、この指揮棒は、中のブックレットによれば、ザッパはリハーサル時にはドラムのスティックを使用したようで、その点でも内容とジャケは釣り合っていない。2枚に収録される音源は1972年9月24日、ボストンでの公演で、ザッパを加えて20人という大所帯のジャズ・ロック・オーケストラであったが、ツアーから得られた成果はその後のアルバムに切り刻まれて使用され、しかもほとんど目立たなかった。つまり、はっきり言えば、ほとんどツアーでの録音はレコード発表しなかった。大がかりなツアーであったにもかかわらず、これはもったいない。そこにザッパの音楽にかける豪華な考えが端的に示されていると言ってよい。なぜ当時新作として発表しなかったかだが、演奏の出来があまりよくなかった、あるいは録音がよくなかった、次々と新しい作曲や録音をするのでついつい発表する機を逃したなど、いくつも理由が想定出来るが正確なところはわからない。また、72年では会場での隠し録音もまだ数がごく少なかったであろうから、このツアーは全貌がよくわからないままに長年が経過した。それが公式にようやく日の目を見るようになったのは、2006年発売の『Imaginary Diseases』のことで、これは生前のザッパがまとめ上げていたが、発売に至らなかったのにはやはり満足度が今ひとつであったからではないだろうか。『Imaginary Diseases』は72年10月以降の、通称PETITE WAZOO(プティ・ワズー)と呼ばれるメンバー数を半分に縮小してのツアー録音で、それが出たからにはPETITE(小)に対するGRAND(大)編成の録音が出るだろうとの予想があり、それが今回の新作となった。『Imaginary Diseases』はアマゾンで後に入手可能になったが、さてこの『ZAPPA\WAZOO』はそういうことになるのかどうか。

●2002年8月8日(木)昼 その4
●アルバム『ZAPPA\WAZOO』解説、その2_d0053294_0205415.jpg一昨日、妻の実家でインターネットを少しさせてもらい、『大ザッパ論』のことを「ハイブラウ過ぎる」と評する意見を見つけた。筒井康隆の小説『文学部唯野教授』を女性読者の中には、なぜこんな難しいものを読む必要があるのですかなどと著者に問う者があって、筒井にしても思わず返答に窮することがあったが、自身の知的レヴェルの低さを主張してもらっても困る。また、何がハイブラウでそうでないかの基準があるのだろうか。何度も言うように、ザッパの音楽のひとつひとつをじっくり眺めて行き、自ずと出会う問題を解きほぐそうとすると、『大論』のような内容になってしまう。もしハイブラウとしても、それは筆者ではなくてザッパゆえだ。そのことがまだわからない連中がいる。それでいて自分こそザッパ・ファンの代表、まるで十字軍の意識だ。ハイブラウ過ぎるという感想だけならまだしも、「だからザッパ・ファンが増えないのだ」と来る。まるで自分が書けばザッパ・ファン倍増間違いなしという自信だ。こういうおめでたいのがザッパ・ファンを自称し、同じような戯言を垂れ流し続けるから、ザッパ・ファンが増えないのだと言い返してやることもできる。また、ザッパはどこにでもあるような曲を専門に書いたであろうか。『自伝』の最初に出て来るように、音楽の構造を知り始めた頃、月並みなコード進行をザッパは拒否することにした。このことを敷衍すれば、ザッパは別に人に気に入ってもらわなくともかまわず自分で好きなように作曲した。他人により注目されるとか、ファンの数が増えるとかを考えて音楽作りをしたのではない。そんなミュージシャンも多いかもしれないが、元来作品行為というのは受け手への御機嫌うかがいを第一義に置いてするものでは決してない。仮にそうしても出来上がったものはだいたいはよくない。一時的によくてもすぐに廃れる。ザッパの作品がより多くのファンを生まないのは評論家のせいだと非難するのであれば、堂々と自分のホームページで自分の思う評論を繰り広げればよい。筆者が82年に『大ザッパ大雑把論』を投稿した時、八木氏のそれまでの文章に対する批判を盛り込みたかったからだ。新しいものがあるとすれば、そこには必ず先立つものに対する批判精神がある。ただしこれは拙い言葉によって、よい悪いを言い散らすのでは決してない。それは批判ではない。行為の裏づけを伴ったものである必要があるのだ。筆者が友禅の作品を作る場合も、必ずその批判の心を明確にして臨む。それは言い換えれば思想、理念だ。狸念も少々含むが。「今まではこうだったが、自分はこう思う。したがってそれを他の人がわかるように形として表に出す」。このかぎ括弧の表現の後半部が欠落した意見は全く退屈で、あくびが出る。
 先に『大論3』と書いたが、2、3年後かに出そうと考える次のザッパ本は『大論0』(仮題)になるかもしれない。『大論3』についても考えてはいるが、コンパクトにザッパの全アルバム解説をまとめた本を先に出すことになろう。その形態はまだ思考中だが、300ページ程度にまとめて、『大論』『大論2』などの基礎資料に最適なものにしたい。この『大論0』を踏まえてもっと詳しいことを知りたい人は『大論』『大論2』、あるいは『大論3』に進めばよいといった観点も取り入れる。この『大論0』はハイブラウ的なところはあまりないだろうから、先に書いたような非難も封じ込められると思う。万人向けのごく簡単なザッパのアルバム解説は何度も音楽雑誌に特集されているが、雑誌は一時的なものであり、新たなファンの目に届きにくい。そこで雑誌にあるような特集をもう少し詳しくする一方、アルバム毎の相互関連についてなどにも言及する。つまり、ザッパ・ワールド概観だ。この話を7月6日の手紙で石原さんに伝えたところ、「ザッパ・マップ」という表現が帰って来た。工作舎に『ブック・マップ』という本があって、それになぞらえたものだが、筆者と石原さんの思いとではずれもあるだろうから、細かい調整は今後になる。ザッパの音楽を聴いたことのないハイブラウな人種にザッパを認めさせたいという思いもあって『大論』を書いたが、その一方で、何かわけがわからぬが、つまり理由を他の人にわかるように述べられはしないが、とにかくザッパの音楽に魅せられたという人も無視できず、そうした人々にも新たなザッパの見方を提供すべくの『大論』であった。先のハイブラウ過ぎると述べる人の突くところは、この両者を考慮するあまり、もっともっと普通の人を無視している点であるだろう。一〇代のザッパが誰もが心地よいと思うようなコード進行を持たない曲を書くと決めたことは、人とは違うことをやる必要のある創作への第一歩にほかならず、そこを思うからこその『大論』であるつもりだが、日本語で書かれたザッパ・ワールド概観書はやはり1冊はほしい。ただし普通の概観書にはしたくないし、『大論』の半分程度の300ページを考えているので、それでもかなりの文章量にはなる。それゆえ、そのさらなる概観書である『大論00』がほしいといった声も出るかもしれない。ザッパ・マップを描くとして、『大論』『大論2』は近畿や関東地方の地図であって、『大論0』は日本の全体地図とたとえられるが、その縮尺を2万分の1か、あるいは5万分の1にするかを巡ってまた異論が出るだろう。しかしこのザッパ・マップのたとえは面白い。自分が何となく伊能忠敬のような気分がして来た。一歩一歩日本全国を歩き回って5000万歩だったか、とにかく歩きに歩いた人だ。それも高齢になってからだ。そう思うと来月51になる自分もまだまだやらねばと思う。とはいえいくら何でも60までにはザッパについて書くことは卒業したい。こうして文章を書いていると、本業の友禅に戻るのがなかなか億劫であるから、文字を操る脳と絵を司る脳は違うのだろう。そのためにも毎日写生するのはいいことだ。適当に絵担当の脳も活性化する。

by uuuzen | 2008-01-08 00:21 | 〇嵐山だより+ザッパ新譜
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