転となって最後に結だが、その転が始まったというアレックスのメールが今日あった。それによるとドキュメンタリー映画の完成は早くて来年とある。また、配給会社がロンドンにあるグレイト・ポイント・メディア(GPM)に決まった。
大手の下請けではなく、独立経営の会社で、主にTV用に映像を製作しているが、当然アレックスらは作業に注文をつけられず、好きなように製作を進める。映像が完成すればそれを上映やDVDとして販売するために流通組織がいる。前にも書いたように、ザッパのCDはザッパ・ファミリーとユニヴァーサル・ミュージック・メディアが発売するが、映像作品に関しては個々の契約になっているらしい。それでアレックスが完成させるドキュメンタリーはGPMが日本のどの会社から日本盤を発売するか、各社に打診し、価格が折り合った会社が発売権を得る。『シチリアのザッパ、82年夏』はそのようにして日本盤が発売された。これがどの程度儲かるかどうかは、日本でのザッパ人気に大きく関係するが、作品の質によって売れ行きに大きな差があるはずで、賭けと言っていいだろう。聞くところによればアマゾンの予約数で、その後の売れ行きもだいたい予測出来るというから、前評判が高い方がよい。その点ではアレックスのドキュメンタリーは数年にわたる作業で、またキックスターターでの支援が予想を超える金額を集めて話題になったので、日本でもそれなりに売れるだろうが、GPMがどの程度の価格で日本の会社と交渉に当たるかが問題で、通常よりかなり高ければ日本盤は出ない。それはともかく、アレックスがどういう内容にするつもりであるかは、だいたい予想出来る。膨大な録音と映像から選び、それらをしかるべき順序で並べる作業を向こう数か月は費やすそうだが、その一方で各方面にインタヴューをする必要もある。これまでに知られず、それでいて重要な映像や録音を中心とし、またインタヴューはザッパに関係した人物がとても多いので、これも新鮮味のある者になるべく絞るだろうが、それでも相場の90分や100分にまとめることが出来るのかどうかだ。結局今後のザッパ・ファミリーが世に出す作品の断片を集めた見本のような内容になるはずで、タイトルはわからないが、「VAULT」の言葉を含むものになるのではないか。メールには下の写真が添付されていて、眼鏡を外したジョー・トラヴァースと、太った女性はJAYNEとあって、このふたりはトゥルーパー・プロダクションで作業中とある。これはアレックスの会社で、JAYNEの経歴はわからない。アレックスからはもう1通メールが届いたが、それは住所の確認で、完成したドキュメンタリーを送付するためだろう。これは別件だが、先日アメリカの大西さんから
82年のパレルモ公演の音源がYOUTUBEでアップされていることを教えてもらった。観客席での録音で、約1時間ある。最後は「ソファ」になっているが、『シチリアのザッパ、82年夏』では「ストリクトリー・ジェンティール」ではなかったか。演奏が背後にかすかに聞こえるので、録音した人が騒動で逃げ出したようだ。また、これを書いている最中、大西さんからメールがあり、昨日書いた『ロキシー・パフォーマンス』の箱の裏側にザッパが弾くギターの写真がないとのことだ。バーコードなど、文字は全く同じなので、大西さんに届いたものにその画像が印刷されていないとすれば、2種類あることになる。