●『HALLOWEEN 77 THE PALLADIUM、NYC』その5
がついに見えたという状態にとっくになっているジョン・レノンの録音に対し、ザッパの場合はテープ収蔵庫にどういうものが眠っていたのか、アレックス・ウィンターのキックスターターによる行動によって、もうすぐ全貌が明らかにされようとしている。



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そのことで気になるのは、たとえばザッパの『フィルモア・ライヴ ‘71』のA面最後とB面最初のそれぞれのギター・ソロの全貌だ。そういうザッパの編集作業まで明らかにされるのだろうか。まずはどういうテープが残っているかの確認で、ザッパの編集作業の行為をつぶさにたどるのは後の作業だ。また、それをどの程度尽くせばザッパがアルバムを発表するに当たって、録音を加工したかがわかるが、そこまでジョー・トラヴァースはたどることが出来るのだろうか。ともかく、どういう録音が残っているのか、それを知る楽しみがザッパ・ファンにあるが、今回のUSBスティックとしての発売を思うと、ザッパのテープ収蔵庫にあった全録音と全映像をUSBスティックに詰めると、トランク1個で収まるだろう。そう考えると、大きな部屋や嵩張るテープがえらくコンパクトかつ利便性がよくなり、20年か30年先にはそのような形でやはり全録音が入手可能となるのではないか。だが、そうなればザッパ・ファミリーは収入の源を絶たれるから、最大の利益を上げるように少しずつ時代に合わせながら小出しに発表して行く可能性が大きい。つまり、筆者が生きている間には全部聴くことは無理だ。そこで、これまでの発表で充分満足し、今後のものは言葉は悪いがザッパも言ったようにゴミとみなすのが精神衛生上からはよい。で、そのゴミだが、今回のUSBスティックはそれに関して今後の発表に視野を開き、熱心なザッパ・ファンに限られるという商品が増えることを予感させる。ゴミは聴くに耐えないかといえば、先日書いたように、ザッパが最良として認めた録音に至るまでのテストの様子がわかる点で意味がある。ただし、そういった試しはリハーサルみたいなもので、やはりゴミと呼ぶべきだろう。また、そういう演奏は2,3回聴けばよく、同じ時間を費やすのであれば、ザッパが認めた最良の演奏がよい。そのため今回の6つのステージの収録は、やはり後になるほどザッパ自身も盛り上がり、演奏に熱が入っていて、最初の方のステージは耳を凝らして聴くというより、BGMが妥当な気がする。また、そういうことはアーメットもジョー・トラヴァースもよくわかってのUSBスティックであり、最もいい演奏は3枚組CDとして発売した。
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 ということは、6つのうち1から5までのステージはCD-Rに焼く必要はさほどないという気分にさせる。これがUSBスティックを収めたボックス・セットのみの発売であれば、どのファンもCD-Rに焼き、そしてどのステージが一番いいかと確認するだろうが、そこは半ば商売、半ば正直な気持ちがアーメットとジョーにあって、最も出来のよかった6番目のステージは単独に3枚組で発売することを決めた。正直な気持ちの部分はザッパを思ってのことだろう。父の名前を汚さないという最低限の思いはアーメットは持っているはずで、それが今後どのようにアーメットを律するのかそうでないのかがファンの気になるところだ。アーメットのたとえば暴走をジョーは止める役割を果たすと思うが、雇われた人間はいくらでも交換が利くとアーメットが考えると、ジョーの役割を他の人物がすることになるだろう。だが、その点に関してはアレックス・ウィンターがジョーと仲よくなったうえ、アレックスの現在進行中の作業において、ジョーはテープ収蔵庫の全貌を調査し、またデジタル化しているので、そうした出揃った素材をどのように商品にするかは現在でもジョーはあまり意見していない可能性がある。あるいはゲイルが生きていた間にかなり長期の発売の計画の青写真が作られたとも考えられる。ともかく、今回はどのファンもおそらく想像しなかった意表を突く形での発売で、ファンは賛否をどう表明していいものやら、戸惑っているところがある。もちろんどのような作品に対しても賛否はあるから、今回もそうなるのは当然で、今後はUSBスティックでの発売を増やしてほしいという意見もある。またゴミのたとえを持ち出すと、それは比較しての話で、今回のステージ1から4が絶対的ゴミということではない。出来のよい5,6に比較しての話であって、それがなければ1から4はゴミとはみなされない。つまり、1から4はザッパの秀逸な演奏であることには変わりがないが、4,5はもっと素晴らしいということだ。だが、作品の仕上がりに厳しかったザッパは常にそうした最良をさらに超える質の演奏を求めた。それはステージでは計画して生まれるものではなく、ファンの熱気と呼応しての神がかり的な収穫で、練習を重ね続けることでそういう稀な機会がごくたまに訪れることをザッパは身をもって知っていた。そういう演奏は日本公演では京都公演の最後のギター・ソロにあった。その演奏は本当にそれ一度限りで、二度と同じものを演奏しなかったし、またそれは無理だった。そのソロが未発表になっていること自体、テープ収蔵庫にまだどれほどの宝が残っているのかとわくわくさせる。日本公演の話になったので続けると、ザッパはギター・ソロの最中に、どう言葉で表現していいのかわからないが、ギターの音色がコロコロと急に変化させることをよく行なった。大阪での「ブラック・ナプキンズ」のソロの途中にもわずかにその音が混じる。それから1年8か月後の今回発売となった77年10月でも、ザッパは同じギターの音色を用いている。ステージ6の最後の「ブラック・ナプキンズ」やそのほかのソロでもそうだが、この音をザッパは78年には使わなくなったのではないか。昨日アレックスから「イリノイの浣腸強盗」のギター・ソロの音源を添付したメールが届いたことを書いたが、その曲を含め、80年代のギターの音色は苦味走っていると言えばいいか、凄味が増してたとえば77年のハロウィーン・コンサートとはまるで違う。どちらが好みかと言えば、80年代は色合いが単調になる。エフェクターのせいではなく、ザッパ自身がギター・ソロのみに意欲を注がなかったからだ。テクニックは当然さらに高まったが、一方でどことなく腹立たしい、一種不機嫌な表情のザッパが滲み出て、近寄り難い雰囲気が増す。一方、70年代よりも80年代の方が時代的に永遠に新しいので、そうしたギター・ソロはとても新しく感じる。また新しいためにあまり聴き込んでいないという思いが強いのだが、話は逆で、あまり聴き込んでいないため、ま、それも前述の理由があるためだが、新しく感じると言ってもよい。また、別の角度から言えば、やはり80年代のソロはそれ以前のザッパとは何かが変わって全く新しい。そして筆者はそれを大いに好むのだが、たとえば京大で演奏された最後の長大なギター・ソロや、今回の発売における「ブラック・ナプキンズ」や「WOLD LOVE」のソロなどは、先に書いたようにザッパにとっても僥倖としての予想外の見事な演奏で、また他に同じようなソロがない点でも光っている。そういったソロは80年代になっても得られたが、光輝くその光度の点では70年代の秀逸なソロよりは劣る気がする。
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 さて、昨夜はCD-Rが2枚残っていたので早速それに焼くことが出来るかを試した。結果を言えば、1枚は筆者の操作ミスで、焼く作業が始まって数十秒の間に3,4回それを停止し、結局焼けないような状態になってしまった。1枚は無事にステージ1の前半が焼けた。ステレオで確認すると、さすが音は素晴らしい。ベースの響きがとてもよく、これまであまり目立たなかったパトリック・オハーンの存在が大きくなった気がする。ウィンドウズのメディア・プレーヤーで思ったとおりの手順で焼くことが出来たが、1枚焼くのに10分程度かかった。いずれCD-Rのセットを買って来て残り全部のステージを焼いてもいいかと思っているが、USBスティックのままで1階のノート・パソコンと3階のデスク・トップ・パソコン双方で聴いていて、その便利さはなかなかよい。2時間以上に及ぶステージが、切れ目なしに楽しめるのもそうで、途中でディスクを交換する必要のあるCD-Rではせっかくのステージの熱気がその時にそがれる気もする。特に今回のようなライヴではそうだ。また、パソコンで聴くことに満足出来る筆者は、聴く方法において退化したのか時代に合わせて進化したのか知らないが、終日パソコンで仕事している現在ではUSBスティックが便利で、またそのために音質は我慢しようという気になる。パソコンを使う時間はもう半年ほどすればはるかに減る予想で、その時は以前のようにステレオの大音量で音楽を聴きながら仕事という生活に戻るから、残りのステージを焼くのはその時でもいいと思っている。それはまた、6つのステージの最良は3枚組CDに収められているから、それを聴くことで間に合うかもしれない。ただし、ステージ1の後半最初の曲「WILD LOVE」のギター・ソロは6つのステージでは最も耳馴染むもののようで、その音が昔聴いた海賊盤とどのように違うかを確認するためにCD-Rに焼く必要があるのだが、先に書いたように昨夜は前半のみ焼くことが出来て、もう1枚のディスクは没となった。筆者はCD-Rを買っても半分ほどはそのように焼くのに失敗している。それもあって好きになれない媒体だ。真っ白な面をパソコンを使ってカラー印刷することも出来るようだが、筆者のプリンターではそれは無理で、また筆者にはそういう趣味はない。そのようにして立派なデザインを印刷したところで、それはコピーであり、公式盤のアウラは得られない。それを思うと、やはりUSBスティックはそのままパソコンで楽しむのがベストでまた贅沢な時間ではないか。
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by uuuzen | 2017-11-09 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)


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