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●第4章その4 インターネット時代到来
12月21日。今日はザッパの誕生日だ。ちょうどこのカテゴリーも今回で最後となる。ザッパ関連としては次回から『大ザッパ論2の本当の物語』を始めたい。



これは2001年9月から11月まで書いた日記で、工作舎からダウンロード・ブックとして発表したものだ。その全文を少しずつ新たなカテゴリー(『大論2の本当の物語』)を作って投稿を始めるが、本カテゴリー同様、投稿時点での思いも多少はさむことになるかと思う。さて、以下の紫色の文字の文章を書いた時、筆者はまだネットを始めていなかった。自宅でのネット歴が丸3年にになる今、ネットでいろいろと調べる体勢は整っているが、正直なところ、ザッパに関して熱心に調べることはない。つい先日はザッパ・ファミリーがまたザッパの珍しい音源を発売するとのニュースがあった。こうした情報ももっぱらアメリカにいる大西さんから得ており、彼のような熱心なザッパ・ファンは相変わらず健在であることで、筆者もザッパからすっかり離れることのない状態にいられる。さて、伝えられたザッパの新譜のジャケット写真は、ザッパ・ファミリーのホームページで見ることが出来る。髭のない若きザッパの姿で、これは初めて紹介されるものではないだろうか。曲の内容の発表はまだないが、タイトルがクリスマスに関係しているから、クリスマス・ソングが入っているかもしれない。もしそうならば、これもまたとても珍しい。ザッパはクリスマスよりもハロウィーンにより親しみを持っていたように思うからだ。それはいいとして、このようなぼつぼつと出るザッパの旧い音源のCD化は、熱心なザッパ・ファンにしか歓迎されないだろう。直接通販で買うにしても到着が1か月以上はかかるし、届かないトラブルもあって、これでは速度が命のネット時代に逆行している気もする。かと言って、音源のみをダウンロードするシステムも味気ないし、形あるCDとして売られる方がよい。
 ザッパの未発表の音源についてはさまざまな発売予定がザッパ・ファミリーから出るものの、いつも肩透かしを食らう格好で立ち消えになる場合が多く、そんなこともファンを少なからずザッパ熱から冷めさせる原因にもなっている気がする。ネット時代到来はいいが、ザッパは本格的なネット時代が来る直前に亡くなっている。もしザッパが生きていれば、ネットに対応したどのような方法論を考え出したかと思うが、それは残されたザッパ・ファミリーにとっては考えもつかないものであり、現在のところはネットの特性が存分に活用されているとは言いがたい。一方、ファン側にすればネットの利便性によって情報交換がはるかにたやすくなって、昔ならばごく一部の人しか得られなかったものが割合簡単に共有出来るようになった。海賊盤的音源がその代表と言ってよい。ただ、そうした珍しい音源の氾濫によって、ますますザッパ・ファミリーが発売するザッパの未発表音源のありがたみは減少している。オフィシャルとブートレッグの境界が曖昧になる一方の中、どんな新たな話題を作ることが今後は可能なのか、その答は当分出ないかもしれない。だが、ザッパ・ファンとしては気長に待っていたいものだ。

●「インターネット時代到来」
『文明、第3期』が発売されて1か月ほど経った95年3月下旬、MSI経由で手紙が届いた。名古屋大学院生Tさんからで、自分で編集したザッパ追悼特集の大学新聞を数部と、アルバム解説を読んだ感想など書いたファン・レターのようなものが同封してあった。ザッパのファン・クラブが日本ではないので、解説を書いてもまるで反応がない。そういう時に若い人から手紙をもらうと嬉しい。同年春にはO氏から「fz-file、フランク・ザッパを主題とする電子的出版物」と称する私的印刷物を送付してもらった。それはザッパ関連の英語の記事やインタヴューを翻訳したものが主になっていて、それらをインターネットなどから見つけて冊子程度の分量にまとめたものだ。制作者は東京在住のT氏で、94年春に第1号の「fz-file」を制作して以来、現在も不定期ながら続刊中のようだ。あまり英文記事を追求しない人にとっては、「fz-file」は資料的価値が高い。このような印刷物を見ると、まさにパソコン通信、イターネット時代のファンによる、新しいザッパ情報伝達手段を見る思いがする。Tさんと文通し始めて間もない頃、インターネットでザッパのホーム・ページがあるようだという話になった。ちょうどその後すぐの6月最初に、マルティンからザッパのファンが開いているホーム・ページの情報を10数枚分ほどアウト・プットして送って来た。それをTさんに送付し、彼は大学のコンピューターを使用してインターネットの情報を集めるようになった。もうひとり、MSIを通じて知り合ったグラフィック・デザイナーのU氏がいる。膨大なザッパ海賊テープを所有し、その一部のダビング依頼を快諾してもらった。未知の音源情報は執筆に役立った。
 その後は急速にインターネットが喧伝されるようになり、世界中からのザッパに関する情報も加速度的に増大した感がある。日本のファンでも自分でザッパに関するホーム・ページを開いている人が何人かある。ファン・クラブが仮想空間で出現したと言えるだろう。だがインターネットに載る情報がすべてではないし、そのすべてが真実でもない。情報は単に情報であって、それらを利用して何か意見を述べるということ、捏学や哲学することはまた別問題だ。もちろんインターネットでもそのやりとりは可能だが、口喧嘩のような具合になる恐れも多い。ザッパがちょうどインターネット時代の幕開けに去ったというのは、考えさせられるものがある。遺族がホーム・ページを設けているとしても、ザッパ本人が存命ならば、どのような方法で活用したであろうか。当然、通信販売や電話によるメッセージ発信などをさらにインターネットに結びつけて使ったであろう。それよりももっと作品作りに踏み込んで、どのようなアイデアを発見したかという想像が楽しい。インターネットを通じて実物のCDが即座に家にやってくるというのが理想だが、それにはまだ6世紀ほどかかりそうだ。しかし、とりあえずはサンプルとしての短い音楽を聴くことができる機能はあるので、それが高度に発展するとレコード店まで足を運ばなくてもよくなる。しかしそれを録音して海賊盤を作ってしまう輩もいるだろうから、インターネットで新譜作品を販売するのはまだいくつもの問題がある。ザッパのファンのうち、何割が自宅でインターネットを利用しているかはまったく想像つかないが、何でもかんでもインターネットでとなると、取り残される人が出て来て困る。第12章でも書いたように、新しい媒体は古いものが持つ属性のすべてを包み込んで、なおかつ別のことができるものとは限らない。
 さて、ビデオアーツがザッパCDを発売するようになってから、ベスト・アルバムや音質がアナログ並みに重厚な20ビットのCDが2点、その他編集アルバムが発売されたり、日本独自のLPも出ている。ライコディスクはザッパの新しいアルバムを発売する度にサンプル盤を制作し、それとは別の編集になるプロモーション盤を何種類も作って、それらの一部がマニアの間で高額で取引されている。会社としてはザッパの曲の発売権利を有したので、自由に編集したCDをいくらでも作って構わないと思っているのかどうか、マニア泣かせのそういった数少なく、しかも普通ではなかなか入手しにくいものを作り続けるというのはまるで海賊盤のような感じが漂っている。それは止まることを知らないかのようで、今後も新たに作られ続けると、やがてザッパが作った正式の作品枚数を越えることになるほどだ。そのような特別制作CDの全部を見ていないが、中にはそのままオフィシャルとして発売してよいと思える、なかなか面白い編集のものがある。評判を見たうえで、いずれ正式に発売されるものもあるのかもしれない。ザッパの遺族による地下テープ貯蔵庫の未発表音源のアルバム化は、このままの調子では半世紀経っても終結しないだろう。ファンはすべて『ガリヴァー旅行記』に出てくる、死ねない人間を望むべきか。『ブロードウェイ・ザ・ハード・ウェイ』の解説を偶然によって担当して以来、その後も多少はビデオアーツ発売のザッパのアルバム解説を手がけた。97年が明けてすぐにまったく予想もしない電話があった。工作舎より、ザッパ本を出版したいとの依頼であった。これは「大雑把論」以降にH氏からCD解説依頼の電話があったことの再現のような気にさせられ、MMK状態で挑戦の気分を湧き立たせるには充分なものだった。

by uuuzen | 2005-12-21 15:37 | ○『大ザッパ論』サプリメント
●『柳宗悦の民藝と巨匠たち展』 >> << ●『夜の女たち』

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