●『ZAPPAtite』その2
い水と言えば下水を思い出すが、ザッパはコーヒーの意味で使っている。そのことが本作にレーフレットに書かれている。昨日の2枚目の写真だ。



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コーヒーを飲むザッパの後方が真っ黒に加工され、その上部に白抜きの文字がある。タバコは自分にとって食べ物であり、またそれを同じほどコーヒー好きなことを発言している。一説によると、タバコは4箱、コーヒーは50杯だったらしいが、前者は正しいだろう。後者はそれだけ毎日飲む人はまずいないのではないか。筆者もコーヒーは好きだが、3,4杯飲めば充分だ。それはともかく、本作が食事にかこつけて曲の配置がなされ、またジャケットの写真も用意されたのは、このザッパの言葉を思い出させたかったからではないか。それにしてもけばけばしい写真で、食べ物の写真も何枚か使われているが、毒が混じっているのではないかと思わせられるほどにどぎつい。アメリカではまるでカラフルな粘土で出来たように見えるドーナッツが人気と、先頃のTVで見たが、それとよく似ている。食品着色料は人間に無害か可能な限りそういうものが使われているが、あまりにどぎついと、ごくたまにはよくても、毎日口にする気にはなれない。ザッパはそのことをどう思っていたかだが、添加物に敏感であったので、食べ物関してはうるさかったであろう。それで本作に使用される食べ物の写真に対して吐き気を催すつもりで、今日の最初の写真のように、顔をしかめて口を開けているUGLYな表情をしてみせたのだろう。それはそうと、ジャケットの写真はレストランで撮ったもののようだが、どことなく合成、あるいは色をどぎつく変化させたものに見え、印象としては『ゼム・オア・アス』や『オールド・マスターズ』のジャケットに使われたロナルド・ローラー・ウィルソンが描く世界にかなり近い。これが現代アメリカの代表的なヴィジュアルと言えば、それなりに当たっている気もする。日本にはない色合いと感覚と言いたいところだが、「かわいい」の世界はこのジャケットの色合いに近く、本作が今の若者向けを狙ったものかと思わせる。それは日本がそれだけアメリカ文化を取り入れ、消化して来たかを示し、この調子では日本ではザッパはこれからの若者によって人気が高まるかとの予想も出来る。となると、筆者のような還暦過ぎた者がいつまでもザッパのことをあれこれ書くのはまずく、20代から書き手が登場して来なければならない。また、それはツイッターに代表されるように、長文ではなく、せいぜい50字で的確に本質を言い表すべきかもしれず、批評や解説のあり方が大きく変わろうとしているだろう。また、たとえば本作にしてもいずれアマゾンで購入者の感想文が載るから、今後はCDに付属した解説はもうなくてもよいことになる可能性が大きい。実際、本作は日本のユニヴァーサル・ミュージックが発売するとしても、輸入盤そのままになるだろう。アーメットにすればその方がよく、日本でよけいな解説がつけられることをあまり気分よく思っていないのではないか。となれば、日本のレコード会社は輸入盤業者に押されて日本盤で収入を得ることは出来ず、また対訳者や解説を書く人も仕事がなくなる。日本で小学生から英語を叩き込もうとし始めた日本では、いずれそうなるのは必至で、前述を繰り返すと、日本はようやくアメリカが望んだアメリカ色にすっかり染まり、日本語を使わなくなる時代が来る。つまり、日本がなくなるということだ。
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 アーメットはなかなかウィットに富んだ男のようで、本作のジャケット・ワークはなかなかよく出来ていて、その点だけでも買う価値がある。実際筆者のように全アルバムを持っている者は音はもうみんな知っているので、視覚的な面白さに関心を持つ。それが本作では単に写真が面白いというだけではなく、今日の最初の写真の右端に写るように、レストランでのレシートを本作に必要なクレジット欄として念が入っている。また2枚目の写真は収録曲を最初から順に「食前酒」「アントレー」「デザート」に3分し、それぞれの曲がどのアルバムからのものかを示すために、そのジャケット写真を載せている。これは別段珍しくないが、筆者が面白いと思うには、ザッパの顔を大きく使ったアルバムが多いことだ。全部で7点あるが、全身像を含むともっと多くなる。これらの写真と、今日の最初の写真中央の口を開けたUGLYな表情の写真を見比べると、ザッパの多様性がわかる。そういう多様なザッパから本作はジャケットの題名の下に「フランク・ザッパの最も味のあるトラック」と副題があって、その味はバッドかどうかはとにかく一聴しなければわからないが、実は一聴しただけではわからないのがザッパの味の複雑さだ。ただし、どういう味かはジャケット写真がよく示しているだろう。「かわいい」をもっとどぎついものにし、毒が隠れていることを伝える。その毒は本作のヴォーカル曲だけではなく、器楽曲にも言える。そういう毒気を嫌いな人は一聴しても嫌悪し、吐き気を催すかもしれず、それへの警告は今日の最初の写真のUGLYなザッパの顔が前もって見せてくれている。先にアメリカのカラフルなドーナツについて書いたが、食品着色料をこれでもかと使ったそれは、表面がショッキング・ピンクや水色、派手な黄色で縞模様となっていて、そういう食べ物を喜んで口にする感覚が、今は世界的なものになりつつあるとすれば、ザッパの本作も抵抗なく楽しむことが出来る。実際本作収録曲の多くはポップスとしてよく売れ、日本はさておき、ザッパの名前を広めることに貢献した。本作はそのまとめを担い、そして次世代へと引き継ぐ意図を持っている。それにつけ加えるとすれば、毎日タバコを80本、コーヒーを50杯飲み続けると、ザッパのように40代で癌になり、50少しで死んでしまうという警告も本作は担っていると深読みすることも出来るが、そこには「かわいい」文化の繁栄によって、食べ物がカラフルになることが喜ばしいことかどうかを高齢者が批判的に思う楽しみも考慮されていて、なかなかアーメットはやるなと思わせる。で、それはカラフルなザッパの曲を聴き続けると、早死にするぞとの不安も誘うことになるが、筆者は至って元気で、この調子で60代を越え、70代に突入するつもりでいる。さて、アレックス・ウィンターから今日は50回目のメールが届いたが、それについては明日書く。そうそう、書き忘れていたことがある。昨日アマゾンにザッパの新譜3枚を予約した。届くのは来月だが、今年はまるでザッパ・イヤーで、これが今後も続くことを願っている。ということで、来月はザッパについて書く日が増えそうだ。食欲の秋であり、本作はそれを見越しての発売なのだろう。筆者はカラフルな食べ物は食べたくないが、ここ2か月ほど飲み続けている古酒の中に、今日はカシスを原料にした、驚くほど派手なエンジ色の甘い酒があり、そこに真っ青な別のリキュールを入れて、派手な紫色に混ざって行くのを楽しみながら飲んだ。あまりに甘すぎて、口の中がべとべとしたが、その後はザッパが好きな黒い水を飲んで口直しをした。
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by uuuzen | 2016-09-20 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)


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