●『WHO THE F*@% IS FRANK ZAPPA ?』アレックスのメール46,47
日ほどもすればザッパの新譜が2枚届くが、アメリカでは昨日が発売らしい。アレックスからのメールが昨日届いたが、それに書いてあった。



アレックスのメールは前回は6月28日であったが、ザッパのデビュー・アルバム『フリーク・アウト』の発売50周年を祝すもので、取り立ててここに書くべき内容はなかった。発売から50周年とはいえ、それに関して何か催しがあるかと言えば、40周年記念として2006年に『MOFO』が発売されたから、ゲイルにすればそれで『フリーク・アウト』に関しては思い残すことがなかったであろう。それからもう10年も経ったとは信じ難いが、若い世代はそうは感じないのではないか。2、30代にとっての10年と5,60代のそれは倍ほど長さの感覚が違う。いや、もっとかもしれない。『MOFO』は筆者にとっては3年前の発売のように感じる。入手してもそう何度も聴いていないが、それを言えば若い頃はレコードから白い粉が吹き出るほど聴いたのに、ディスクが擦り減る心配のないCDになってからは、10分の1も聴かなくなった気がする。その分ほかのアルバムを買い、若い頃の10倍以上のいろんな音楽を聴いているが、それで1枚当たりのアルバムについて深く味わうことがなくなったかと言えばそうは思えない。20代の頃に100回聴いたアルバムと、還暦過ぎて数回聴くアルバムとでは、味わいの手応えはほとんど差がないか、かえって今の方が一瞥で作品の持ち味がわかるようになっている気がするし、それは真実であろう。だが、そうなって来たのは、若い頃からビートルズやザッパのアルバムを白い粉が吹くほどに繰り返し聴き続けて来たことがあったためで、そういう経験を経ずに、にわかに60代になって音楽を聴き始めても本質を把握するのは困難か、もしくは無理ではないか。つまり、若い頃に同じアルバムを繰り返し聴いたことは、それはそれで意味があり、また必要な体験で、それがあればこそ、この年齢になっていろんな音楽が楽しめるようになった。それはさておき、アレックスは何歳だろう。『フリーク・アウト』を発売時に聴いたのであれば筆者と同じくらいと思うが、もっと若いように見える。大西さんはほとんど発売当時に聴いたと思うが、兄さんの影響があったらしい。大西さんは筆者よりかなり若いのでそれも当然だ。そう言えば去年12月下旬に新宿で面識を得たミュージシャンの谷口さんは筆者と同じ年齢だが、東京の大学に入った頃にザッパの音楽に目覚め、アルバムを買ったとのことだ。それは60年代末期であろう。ザッパ/マザーズの最初の日本盤の発売はいつだろう。谷口さんに古いLPを何枚か見せていただいたが、その中に『ウィア・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マネー』のポリドールの日本盤があった。筆者はそれを初めて見た。そして、それが最初の日本盤LPではないだろうか。その発売はアメリカとさして変わらないとしても、谷口さんのアルバムに記されていた購入年月は1969年ではなかったか。それはともかく、筆者がザッパのアルバムを買い始めたのは1972年で、当時の日本盤はワーナー・リプリーズからの発売で、それ以前の日本盤はレコード店で見たことがない。すでに品切れになっていたのかどうか、『フリーク・アウト』などのヴァーヴ・レーベル盤は輸入盤を買った。なので、ザッパのヴァーヴ盤の日本盤については知識がない。ま、そのような状態であるので、アレックスがいつどういう形でザッパの音楽に開眼したのかが気になる。ドキュメンタリー映画まで作ろうというのであるから、その熱烈なファンぶりは極点に達しているが、そこには同じアメリカ人という強みがある。ザッパの音楽は歌詞つきの曲が多く、また膨大なインタヴューも残したので、それらに精通するには時間もそうだが、まずは英語力がものを言う。そのため、アレックスが製作するドキュメンタリー映画が日本でどれほど歓迎されるかどうかは、それがどううまく翻訳され、しかもザッパの思想が日本で変態や難解とは言われずに誰にでも理解出来るものかどうかにかかっている。
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 昨日のアレックスのメールもさほど重要なことは書かれていない。新譜が2枚出たというニュースのほかに、1980年の年末にイタリア系であろう、アメリカのDJ、リッチ・カッパレラがザッパ家に赴いてインタヴューをした。その様子は一度だけラジオで放送されたが、カッパレラは60分のカセット・テープにインタヴューを録音した。また、ザッパと一緒に写真にも収まることが出来たが、カッパレラは笑顔だが、ザッパは不機嫌そうだ。インタヴューは60分続いたのかどうか知らないが、ザッパは次第に気分を悪くしたらしい。カッパレラはヴァレーズについて、またその管楽器のための曲について質問したが、そういう専門的な話にザッパはカッパレラをどう思ったのだろう。アレックスはヴァレーズにさほど関心がなく、その音楽についても詳しくないようなことが以前のメールに書いてあったと思うが、ザッパとヴァレーズとの関係はそれだけでも1冊の本になるくらいの問題があるだろう。だが、日本ではおそらくヴァレーズとザッパの作品を同じようによく聴いて楽しんでいる人は絶無ではないか。また、これはザッパに訊いてみたいことだが、ヴァレーズは初期作を廃棄したものの、伝統的な作曲法による他者の作品を否定はしていなかったであろう。自分には厳しくても、他人ははそうではなく、いろんな音楽があると思っていた。つまり、伝統的な楽器を用いた曲であっても、それがただちに時代遅れのものであるとは言えないことを知っていた。作曲家は自己表現するのに、自分に合う楽器編成や作曲法その他がある。それは作曲家に限らない。ヴァレーズはヴィラ・ロボスの音楽を絶賛したが、ヴィラ・ロボスの作品はヴァレーズの前衛的なものとは全く違い、どれも大いに聴きやすい。にもかかわらず、そこには独創性があり、また普遍性がある。そして、筆者がさすがヴァレーズと思うのは、若きヴィラ・ロボスの才能を見抜いたことだ。ヴァレーズはブーレーズのような12音音楽に縁がなく、音楽史では孤立している感があるが、それを言えば伝統的な楽器のために作曲したヴィラ・ロボスにもそんなところがあって、そういう一種の辺境的な音楽の点でザッパも通じている。つまり、ヴァレーズとヴィラ・ロボスの音楽が全く異なるものであるのと同じように、ヴァレーズとザッパの音楽も違うということで、であるから、ヴァレーズもヴィラ・ロボスもザッパも面白い。そして、そういう見方が出来るようになるには、やはりそれなりに長年いろんな音楽を聴き続ける必要があるだろう。特に凡人はそうだ。ヴァレーズくらいの才能であったので、たちどころにヴィラ・ロボスの才能を見極めたが、ザッパがヴァレーズの才能に感激したのも同じことで説明出来る。そして、そこにDJのカッパレラがザッパに対してヴァレーズについて質問したことを重ねると、ザッパがだんだんと不機嫌になって行ったことは何となくわかるし、また面白い。ザッパにすれば神々しいイコンを、初対面のDJにそう込み入ったことまで話題にされることが面白くなかったのかもしれない。生齧りで質問しているかどうかくらいは、専門的な仕事をし続けている人にとってはすぐにわかる。
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 それはともかく、インタヴューから数年後にゲイルはカッパレラに連絡を取った。録音したカセットは何年も経っているので劣化しているかもしれず、コピーを取って返すので、借りたいと言って来たのだ。それはザッパのテープ収蔵庫に保管するためで、ザッパやゲイルはインタヴューはすべて手元に置こうとしたのだろう。カッパレラはゲイルの希望にしたがったのかどうかは、アレックスのメールからはわからないが、ゲイルには送らなかったようだ。それに、聴いたことがないカセット・テープが劣化するとは思わないが、安全な形でデータを残すことは歓迎で、それで今回のアレックスがフィルムやヴィデオ、録音テープをすべてデジタル化していることを知り、メールでアレックスに訊ね、カセットを送ったとのことだ。しかもすでに安全にデジタル化の作業は終えたとのことで、インタヴューの内容はアレックスのドキュメンタリー作品に多少至当されるかもしれない。このように、今までなら世界各地の古きザッパ・ファンが個人的に所有していた情報が、アレックスの元に集まりつつあり、ザッパ研究の新たな飛躍が始まっていると言っていい。ただし、すべてのファンがカッパレラのようにアレックスに秘蔵のテープを送るかと言えば、それはあり得ない。また、アレックスのドキュメンタリーはあくまでもアレックスの知性や才能に応じるもので、たとえばヴァレーズにさほど関心がないのであれば、ヴァレーズとザッパの関係に新たな光が当たる可能性は低い。このように、ザッパを語るには、その語り手の人間性が露わになる。もっとわかりやすく言えば、馬鹿がザッパに思いを寄せても、そこからは馬鹿な思想しか出て来ない。それはさておき、アレックスは「バッチ1」と区分けする分量はもう作業をほとんど終え、今は「バッチ2」に取りかかっている。「バッチ1」から見所を多少紹介する作業にこれから入るようで、今後のメールで珍しいザッパの歴史的な映像や音楽の片鱗が紹介されるようだ。
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by uuuzen | 2016-07-17 20:54 | ●新・嵐山だより(特別編)


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