●嵐山駅前の変化、その392(脇道沿いの空地)
身というのはおおげさかもしれないが、わが家の裏庭にある合歓木はとても根元から伐採する気になれない。家内は毎年どうにかしろとうるさいが、特に今頃はそうだ。



花は満開で野鳥もたくさんやって来て、その夏らしい様子に姿は、庭に植える木ではないことをよく自覚しながらも、まあいいかと思っている。それに、何度もこのブログに書いたように、それは息子が1歳頃に近く桂川の公園に一本だけあった合歓木がつけた種子の莢を持って帰り、その種子から育てたものだけに、何となく息子の分身のような気もしている。それで全く伐採する気になれない。だが、家内に言わせると、木ばかりがぐんぐん成長し、そのために息子の精力が吸い取られて伸び悩んでいると言う。そういう見方も出来るが、ま、命あるものはそう簡単に殺してしまうことは避けたい。その年齢は息子とほとんど変わらないので、もう樹齢30年を越えているが、そうなると年を重ねるほどに重みが出て来てなおさら切ってしまうことは出来なくなる。だが、さすがに毎年枝は払っている。ところが、夏になると切った何倍もの枝が出て来るし、また長さも伸びる。切らないでおけばなおさらそうなりそうで、困ったなとは思っているが、合歓木が葉をつける間は数か月と短い。そのため、その根元際にあるたとえば牡丹の葉にも光が当たり、合歓木のために枯れてしまった植物はない。これが常緑樹であれば鬱陶しいが、合歓木は年の半分以上は枯木状態だ。合歓木が息子の分身に思えているのであれば、筆者や家内は何の木がそうかとなると、筆者が最も気になっている植物は松尾橋バス停の歩道際の白いスミレかもしれない。以前それを右京区の天然記念物と書いた。先日その葉に混じって雑草が生えているのが気になり、ポケットに鋏を忍ばせてムーギョに出かけた。そしてスミレの場所に着いてすぐ、雑草を引き抜き始めると、鋏がなくても全部むしり取ることが出来た。ふと顔を上げると、筆者と同じくらいの年齢の女性が3メートルほど離れてじっと筆者を見下ろしていた。目が合った途端、「ごくろうさん」と言われたが、どうやら筆者を清掃員と思ったようだ。家内は筆者がよくその場所で雑草を抜き取るところを見て文句を言う。犬の小便がかかったような草をなぜ引き抜くのかと怒るのだ。もちろん白いスミレがかわいらしいことを知ってのことだが、スミレも雑草みたいなもので、放置しておいてもそれなりに毎年開花すると思っている。実際そのとおりだろう。だが、せっかくスミレの葉のロゼッタが整然と並んでスミレ王国を築いているのに、そこに芯の強い雑草がにょきにょきと混じる眺めは全く美しくない。それでか弱いスミレを手助けして雑草を抜いてしまうくらいのことはしてやりたい。毎年それが白い花をたくさん咲かせる様子を見つめるのはとても楽しい。舗装のし直しでそれがいつか全部死んでしまうことを予想すると、どうかそんなことにはならないようにと祈る気持ちだ。だが、前にも書いたように、そのスミレを見て根こそぎ持って行く人があるかもしれず、そっちの方が心配でもある。ともかく、その社会の片隅でひっそりと咲き、ほとんど誰も気づいていないスミレの花が筆者の分身かと思ったりもする。そういう存在で充分というか、ま、努力してもその程度の存在にしかならないだろう。それでも嫌われて引き抜かれてしまう雑草よりはるかによい。
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 さて、一昨日は家内と大阪に出て、帰宅したのは夜の9時半過ぎであった。不思議なことだが、嵐山駅の改札を出てわが家に向かう時、左手つまり駅のプラットフォーム脇に立つ鬱蒼とした大木に目が行った。それはだいたいいつものことで決して珍しくはないのだが、その夜は何となく違った。予感と言っていいかもしれない。とにかくその木が語りかけて来たと言ってもよい。それでその声に気づいて見上げた。ちょうどそんな感じだ。その大木はまるでムンクが描くような立派な丸々とした樹勢で、名前は知らないが常緑の葉をつけている。駅の敷地内にある木では最も古いものに属する。桜でもっと古いものが何本かあるが、花を咲かせない木であるので、文字どおり鬱陶しいという存在感だ。だが、それだけに圧倒する何かが宿っているように感じ、筆者はたまにしげしげとその木を見上げてはその存在感を面白く思っていた。毎年周辺の雑草が刈られるので、そのついでに枝も多少は払われて来たが、何しろ嵐山駅では最も目立つ神木と言ってよいほどの貫禄で、植木職人も遠慮気味のようであった。だが、今日は朝からチェーン・ソーの音がうるさかった。その木とは反対側、つまり駅の北側の樹木が先日切られていたので、その続きかと思っていたが、家内と一緒に今日出かける際に現場を見て驚いた。樹齢はおそらく70年や80年は優にあるその大木が少しずつ切られては地面に積み重ねられている。そして、家内が言うには、搬出用の大きな鉄篭のそばに、白い紙で包んだ2本の清酒があったらしい。今日の最初の写真にそれが写っている。銘柄は「白鹿」であったという。今「はくしか」と打つと、「白紙化」と出たが、樹齢の長い神木のような大木を伐採してその土地を白紙化するのに、2本の一升酒を撒いたのだ。1本でなかったのがまだせめてもの慰みだ。阪急としてもその木を切るのは本当は偲びないのだろう。そう思いたい。だが、先月から始まった雑草の刈り取りに次ぐコンクリートの破壊の後、今度は大木の除去で、変わってほしくない古い景色が1日ですっかり変わってしまった。空は広くなったが、その大木にはたくさんの雀やその他の鳥がさえずっていたのに、彼らも呆気にとられているだろう。邪魔になった大木を始末した後、今度は何がどう行なわれるか。まさかビルを建てるのではないだろうな。わが自治会内は、数年前に比べると空から見るとうんと緑が減った。ますます灰色砂漠になりつつあり、せめて筆者が生きている間はもっと殺風景な環境にならないでいてほしい。緑色のフェンスの一部に新たに開閉扉を取りつけたかと思うと、筆者が30数年眺めて来ていつまでもあると思っていた大木が1日で消えた。だからわが家の合歓木はどんなことがあっても切株にはしないぞと思う。隣家を買った理由のひとつは、その枝が隣家の敷地に伸びても文句を言わせないためだ。今日の2枚目の写真は大木の半分が消えたところだ。もちろんそのまま放置するはずがない。
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by uuuzen | 2016-06-21 23:59 | ●駅前の変化


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