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●京セラ美術館
覧会というものはないと思うが、作品を借りて来て特別展を開くこともあるので、そういう場合は会期の初日かその前日に関係者を呼んでそれなりの式典を行なうのだろう。



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入場無料の京セラ美術館は近頃では珍しい存在だが、そこまで行くのは伏見在住者ならまだいいが、わが家からは不便だ。だが、それは自家用車を持っていないからで、そこら辺りの感覚は筆者が異常に遅れているのだろう。車なら活動範囲が増えると従姉の旦那さんは筆者に昔は何度も言ったが、筆者に車を運転する気がないのでいつの間にか言わなくなった。また車を持っている人はあまり美術展に関心がないようで、筆者は従姉夫婦をMIHO MUSEUMの内覧会に誘ったことがない。京都駅からバスで同館まで往復連れて行ってもらえるとはいえ、バスの乗っているのが片道1時間強となれば、退屈するだろう。それに美術品に関心もない。家内が勤務していた頃は筆者はいろんな人に声をかけて一緒にその内覧会に行ったものだが、美術に関心のある人はひととおり誘った。もう誘う人がないかと思った時に家内がずっと家にいるようになったので、今は家内と一緒に行っている。中には4,5人連れで内覧会にやって来る人もあるが、一度筆者は4人で出かけたことがある。それでも何も言われなかったので、人数の制限はないようだが、さすが7,8人といった規模になるとまずいだろう。ともかく、車に乗らない筆者はバスで連れて行ってくれる内覧会はありがたい。これが自力で訪れるとなると、おそらく人数は半分以下に減るだろう。つまり、美術展は交通の便が大きく人の入りを左右する。では京セラ美術館は地元の人にどれほど知られ、また鑑賞されているのかとなると、周囲は工場や会社が目立ち、訪れる人は多いとは思えない。だが、北隣りが見本市会場のパルス・プラザで、そこは春や秋に骨董市が定期的に開催され、大勢の人が訪れる日がある。そういう時にはついでに京セラ美術館もという人はそれなりにいるだろう。だが、その割合がどれほどかは知らない。パルス・プラザの大混雑を見た後、落ち着いた気分で京セラ美術館を訪れる気になるかと言えば、疲れ切ってしまってそれどころではなく、またの機会にと思う人の方が多いのではないか。筆者はその部類だ。それでと言うわけでもないが、いつものようについでではあるが、ひとつの目的として予定に組んで同館に出かけた。
 昨日書いたように、訪れたはいいが、閉館中であったので作品は見られなかった。正確に言えば、京セラの製品の歴史を実物を並べて紹介するファインセラミック館は見た。筆者らだけで、そこを出る直前に中学生数人がやって来たが、たまに団体の見学者はあろうが、普段からあまり訪れる人は多くないのではないか。ファインセラミック館は専門家なら興味深いと思うが、一般人には難しい気がする。自社製品を展示する館としてまず思い浮かべるのは池田のインスタントラーメン発明記念館で、ここは常にたくさんの人が訪れていると思うが、数百円で買える食料品と京セラの先端技術を使った商品や部品となると、比較は無理だ。企業イメージのアップのために一般人に来てもらうことはいいが、それが商品の売り上げにどれだけつながるかとなると、気の長い話だろう。そうであるからファインセラミック館以外に美術館も作り、より来てもらいやすいようにと考えられたのだろう。そして、そういう試みはそれなりに効果が出るのは10年といった歳月が必要ではないか。同じことを続けていると、ようやく数年後に人に知られるというのは、よくある話で、また一旦知られると急にそれまでの不人気を挽回するほどに大勢がやって来るということもある。企業や店がそうであれば、個人ではもっとで、地道に絵を描いている人や、またたとえばこうしたブログは、よほどの何かがなければほとんど人に知られることなく途絶えてしまう。店の場合は閉店だが、経営者は必死であるからあらゆる手段で宣伝する。それでも人気が出るとは限らない。京セラ美術館がどれほどの人気があるかは知らないが、伏見区となるとわざわざ出かけるという熱心な美術ファンであろうし、また一度訪れると二度、三度とはなりにくいのではないか。そのためにこの館は定期的に特別展を開催しているが、それは見上げたことだ。そのために要する手間は会社が経済的に好調であることによって可能で、そうでなければまず無理だ。となると、余裕の産物と言えるが、そのことによる長所も短所もあると想像される。長所はもちろんコレクションの質だ。短所は必死になって大勢に見てもらわなくても困らないという態度だ。その短所を長所と思うことも出来るが、ある一定の数の人に来てもらわねば閉館するしかないという苦境に立たされない状態は、展示に大いに工夫を凝らすという覚悟を生みにくい。つまり、今一般人はどういう美術を見たがっているのかという調査をせず、そのことがなおさら人を集めにくい。だが、この点は別なようにも考えられる。人気のある企画は洛中の別の美術館がやるはずで、そういう流行とは無関係に、あえて他館ではやりそうもない、それでいて京都らしい特別展だ。そしてその方針にしたがってこの美術館が珍しくて渋い内容の特別展をそれなりに開催して来ていると言ってよい。
 筆者が訪れたのは去年12月8日で、その少し前にNHKのTVで特別展を開催中であることを知った。京セラ本社ビルに美術館が出来たことは知っていたが、入場無料とは知らなかった。それで伏見に出た時に立ち寄ることにした。特別展は終わった後で、また常設展の会場も改装中で見ることは出来なかったが、わずかに乾隆ガラスと鼻煙壺の小展示コーナーだけは普段のままであった。ファインセラミック館は2階で、その入口近くに乾隆ガラスを展示する横一列のウィンドウがあった。美術館は1階であったと思うが、受付は南にあった。受付の背後と北面の壁に500号程度の巨大な絵があったが、あまり有名な画家ではないだろう。北側にエスカレーターがあり、それで2階に上がると左手にファインセラミック館の入口がある。後で知ったが、それは出口だ。2階の受付嬢は忙しいのか、座ったかと思えばまた関を外すなど、筆者らは誰も見ていない乾隆ガラス・コーナーに見入り、また写真も撮ったが、今調べると同館は撮影禁止とある。それで載せるつもりであった数枚の写真は控えた方がよさそうだ。乾隆ガラスは不透明な乳白色のガラスで壺を作り、その上に色ガラスを被せて花鳥などの意匠を彫り進み、下地の乳白色のガラスを部分的に見せるもので、そのような手法は漆芸や陶磁器ではさんざん行なわれた。その手法をガラスに応用するのは、素材面からはもっと困難で、そういう技術が清時代に完成した。壺や器など、みな小振りで、それは技術的な制約によるだろう。鼻煙壺でも同じ技法で多色のガラスを用いた複雑なものがあるが、それは掌に収まる小さなものであるので可能となったのだろう。京セラはセラミックの会社であるから、高度なガラス工芸技術の美術品を収集することは理念にもかなっている。では絵画はどうかと言えば、ピカソの銅版画シリーズや日本画など、みな会長の好みに思える。外国の作家はピカソだけのようで、そのほかは明治以降の近代の日本画と洋画、彫刻だ。江戸時代に手を広げると際限がないことと、京セラがセラミックの新たな地平を切り開いた会社ということで、明治以降の作家に絞っているのは納得が行く。今は若冲の人気が高いので、若冲画を何点か展示すると一気に訪れる人が増えるはずだが、そのための費用がないというより、美術館としての考えとして江戸絵画は含まないのだろう。だが、特別展という手がある。一度くらい今人気のある画家を取り上げて、マスコミを賑わせることも必要ではないか。この美術館の知名度が上がることは伏見により多くの観光客が訪れることにもなる。上田秋成が書いたように、伏見は250年ほど前にはもうさびれてしまって秀吉が住んだ頃の面影はなかった。見所はそれなりに多い場所であるから、伏見がもっと活性化してほしいと思う。ともかく、またこの美術館に訪れることを考えている。どうせ行くなら特別展の開催時で、ネットで調べてからだ。
●京セラ美術館_d0053294_17522454.jpg

by uuuzen | 2016-04-15 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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