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●嵐山駅前の変化、その387(マンション)
を選んで歩きたくなる頃で、今年は真夏の訪れが早そうだ。今日の写真はちょうど1年前に撮った。5日前の投稿と比べると、マンション建設現場の周囲に真っ白な塀が出来た。



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1年前はそれを知って撮ったが、1年前の今日に塀が出来たのではない。気づけば出来ていた。簡単な塀なので1日で出来ると思うが、こうなると内部でどんな工事をしているか見えず、撮影する機会はうんと減りそうだと1年前は考えた。それでだが、現在この塀はない。1年の間に建物は完成し、塀ももっと立派なものに取って変わった。とはいえ、その姿を確認してはいない。マンション完成時の塀の外側に別の仮設の塀が取りつけてあって、それが外さされるのはまだ少し先のようだ。今日の最初の写真は、奥に見える建物は朝日新聞の保養所だが、右端には以前は料亭の板塀があった。それがマンションが出来た時にどのように変わるかが楽しみでこの角度で定点撮影をすることにした。敷地は同じであるから、塀の種類だけが変わる。ただそれだけのことだが、その変化が面白いと思った。だが、実際は敷地は全く同じではなく、筆者が立つ道路は少し幅が広げられた。左手は川であるから、マンション建設のために用地を買収した阪急不動産が、今日の写真に見える側溝の幅ほどを市に譲り、道幅が広くなった。これは法律によって道路幅をある一定以上確保せねばならないからだろう。敷地がわずかでも狭くなると、内部に建つ建物や庭はせせこましくなるが、もともとさほど広くない変形の土地で、そこに法律ぎりぎりに背の高い建物を建て、マンションとして25戸を分譲するのは、いくらでも案があるとはいえ、どれもかつかつのことで、設計者も工事業者も箱庭をちまちまと作るように注意深くあらねばならないだろう。今想像するに、それは筆者が数歳の頃に流行った透明な瓶の中に帆船を作る行為をどこか連想させる。特殊な用具を使って、細い口を通して部品を中に順次差し込み、船を作って行く行為は、多少器用で根気のある人ならば誰でも出来るが、そういう細工は透明ガラスであることによって可能で、出来上がった時はその透明さを通じて人々は感心するが、真っ黒な瓶であればそんな面倒臭いことをしようとは誰も思わない。人に驚いてもらえることがわかっているので手間をかけるのであって、そういう趣味はどことなく賤しい。マンションの建設現場を塀で囲い、外からは見えないようにして作業するのは、工事の進み具合を観察されたくないことと、騒音をなるべく防ぐ意味からだが、限られた狭い土地でこつこつと工事をするのは、瓶の中に帆船を作るのに似て、常に注意深くあらねばならない。日本人の器用さは土地が狭いことによって発達したのだろうが、最初は手仕事だ。その延長上に都市における工事が出現した。それでマンションの建設現場の白い塀の出現から筆者は瓶内部の帆船模型作りを連想した。
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 限られた土地に最も効率のよい建物が計画され、そして工事も行なわれる。そして各戸の間取りも効率がよく、そこに住む人も効率のよい仕事を求められ、効率よく生活をする。人間社会はそういうように無駄を極力省くことが理想とまでは言わないが、求められる。それで筆者はそういうところには住みたくないし、また住める経済力もないが、思い当たるのは自分の職業と言えばいいか、つまりは生き方だ。効率のよい人生とは何かを考えもする。そんなものがあるのだろうか。それは生きることにある一定の意味を認めることで、その意味とは効率のよさが格好いいという意識だ。あるいは選ばれた者だけが最も効率よく生きられるとの思いだ。その効率のよさとは、生まれて間もない頃から両親によって始められる。塾や稽古事など、将来に大いに役立つかもしれないことを親馬鹿な考えによって子どもにさせるが、それはなるべく子どもが効率よく生きて行けるためを思ってのことだ。効率よく人より優れた才能を獲得し、人より優れた学校に進み、人より優れた会社に入って人より優れた結婚相手を得、そして人いり優れた家に住む。これらはすべて効率のよさを追求することによって実現されるが、そうして効率を追求した人がある大地震によって家や家族を失ったりする。それは効率主義からの解放であり、どこかで晴れ晴れとした気分になっていいのではないか。だが、世間では賢いと言われる人及び自分でもそう思っている人がその効率主義者になりやすい。効率主義者は自分の計画どおりに効率よく事が運ばなければストレスを抱えるだろう。そして、そういう人に限って芸術など無用の長物と思っている。筆者の中学生時代の同級生であった女性は50代で死んだが、その結婚相手は2歳ほど年長で同じ大学出身者だ。結婚して数年、最初の夢の実現に向かったが、挫折して妻の父の紹介で保険屋となった。そして、わが家には年一回の保険の更新にやって来る。昔からの知り合いなので、それなりに性格も知っているが、趣味が数学ということで近所の子どもに教えていると聞いた。そして去年やってわが家にやって来た時は、得意気に位置エネルギーについて話し始めた。筆者は黙って聞いていたが、まるで筆者がそういうことを知らないかのような顔だ。筆者は最後まで言わなかったが、筆者は学生時代にそのようなことはさんざん学び、入社試験では口頭でその質問を受けて答えたことがある。それほど数学や物理が好きであれば、そっちの道に進んでいるのが筆者は当然と思うが、教えられている子どももかわいそうではないか。いくら頑張ったところで、エンジニアは無理で、保険屋になるのが関の山だろう。それはさておき、話の最後にふとその保険屋は傍らに積んであった『ナショナル・ジオグラフィック』誌の黄色い枠に目を留めた。どうやら初めて見る雑誌のようだ。いつも数学の問題やちょっとしたパズルを筆者に提供し、得意がるその保険屋は、いぶかしげな顔になった。自分の知らないことであるからだ。筆者に言わせれば、『ナショナル・ジオグラフィック』誌を初めて見たということが信じられない。だが、そういうものだろう。有名大学を出たところで、知らないことは何も知らず、ましてや筆者が関心のある芸術の話となると無知同然だ。筆者にすれば全くの退屈な人物だが、本人はそうは思っていないだろう。効率よく生きていて、不要なものはみな排除している。芸術などその最たるものだ。おそらくそう思っているので、目の前に国宝があってもその価値がわからない。
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 だが、世の中は効率主義が蔓延していて、効率の悪いものは駆逐される。それゆえに料亭は高級マンションに建て替わる。以前の料亭は効率が悪かった、つまり要領が悪かったので経営が悪化し、土地建物を売らざるを得なかった。世間はそう思う。その論理が隅々にまで浸透していて、日本の国家は効率の神様が支配している。そしてそこに時に大地震が起こって精緻な効率を粉砕する。これは生き方を考えろということでもあろう。だが、大地震の爪痕はすぐに回復され、何事もなかったかのように装われる。またその回復の仕方も効率主義が率先するのは言うまでもない。話は変わるが、風風の湯は勤務する人が最近ひとりふたり少なくなった。これは経営者が無駄な賃金を払いたくないからだろうが、前庭が雑草だらけで、せっかくのツツジの植え込みは歯抜け状態の無残さを晒している。やろうと思えばいくらでも仕事はあるのだ。たとえば洗い場の壁はタイルが貼られているが、その白い目地はあちこち黴が生えて焦げ茶色になっている。それが気持ち悪いので筆者はシャワーをきつく当てて多少でも黴のぬめりを洗い落すが、そういう清掃はするのであれば、営業が終わった後、10分もあれば充分だ。それを全くしないから、気づいた時はもうこそぎ落とせないほどの黴になっているだろう。経営者の効率とは、いかにしてより金を儲けるかだ。それ以外は無駄で、無駄なことはやらない。風風の湯は玄関を入ってすぐ左手に大きな壁面がある。本来はそこに日本画でも飾れば立派なホテルのロビー並みに見栄えがする。だが、そこには何も飾られていない。ところが3月の雛祭りの頃に、子どもの雑誌の付録のような全くちゃちな印刷の雛人形のイラストが飾られた。それでもないよりましかもしれないが、立派な壁にはあまりに不似合で、また趣味が悪かった。まさか若冲の絵を飾れとは言わないが、嵐山にあるそれなりにまだきれいな温泉であれば、もっと美的なことに金を出してもいいだろう。だが、経営者にその趣味はなさそうだ。それに効率よく金儲けすることに、そんな絵画の飾りなどもってのほかで、思いつきさえしないだろう。それにやって来る客も絵画に関心のある人は100人にひとりもいない。絵に興味があると言えば、影のような人間と思われるのが落ちだ。
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by uuuzen | 2016-05-19 23:59 | ●駅前の変化
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