●渋谷駅南東部を歩く
歩は楽しい。人間は歩ける間は歩くのがよい。それでも筆者くらいの年齢になると、ぼっといている時にこれまでどれほどたくさん歩いて来たことかと、いろんな街角の映像が脳裏にスライド・ショーのように順に蘇り、長く生きて来たことをごくろうさんだと思うことがたまにある。



自治会内では、つい数年前にわが家にやって来て熱心に新興宗教らしき団体への入会とまでは言わないが、教祖が書いた本を読めと何度も言いに来るおばさんがいたが、その人を去年久しぶりに見ると、腰が直角に曲がった姿になっていることに驚いた。もうたくさんは歩けないし、自分が信ずる宗教への勧誘も無理だ。たった数年でそのように人の姿が変わる。あれほど元気に颯爽と歩いていた人がとの思いだが、同じことは誰にでも当てはまる。多少老化が早いか遅いかだけで、いずれ誰もがもう長い散歩などは出来なくなる。そう考えると、また歩ける間は歩いておこうという気になるが、歩くことは苦労で、ごく近所でも車を使う人が多い。そして、そういう人が健康に敏感で、ジョギングをしたりスポーツジムに通ったりするが、金をかけずとも歩けば済む話ではないか。それはさておき、今日は去年12月24日の朝のことを書く。前日はザッパ・ファンの大平さんの車に乗せてもらって都内のあちこちを見物し、夕方からは新宿のアコースティック・アートという地下のライヴ・ハウス兼飲み屋でもうひとりのザッパ・ファンの谷口さんと合流し、店のマスターを交えて2時間半ほど飲んだ。家内はその夜に京都に帰るので、雨の中筆者と家内は大平さんの車で東京駅まで送ってもらった。家内と別れた後、筆者はひどくなった雨の中をJRで渋谷駅まで出て、そこから大平さんが予約してくれたホテルまで歩いた。初めての道だが、地図は印刷していた。だが、渋谷駅は大きくてややこしい。地図を見ると、渋谷警察署が目印で、その北側を東に10分から15分ほど歩いたところがホテルだ。また、その日は大平さんの車がそのホテル際の道を南に下った際、「これが○○ホテルです」と聞いていたこともあって、工事中の外観は記憶していた。東京はとても人が多いというのが家内の最初の印象となったが、23日の夜は雨がひどかったためもあってか、渋谷署北側から東へと伸びる道は人影はとても少なかった。ホテルに着くと、小さな傘であったので、全身ずぶ濡れという状態で、フロントの女性は少し驚いたようであった。
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 筆者はいつも朝は10時過ぎに起きるが、東京にいる間はそういうわけには行かない。それに気が張っているので目覚めは早い。24日の朝は6時頃に目が覚めた。TVを見ながらゆっくり出かける心づもりをし、ホテルを出たのは8時半頃だ。あまり時間を気にしないので、記憶は曖昧だが、9時少し前であったかもしれない。幸い雨は上がり、散歩するには持って来いとなった。東京行きの2,3日前にホテル近くの地図を印刷していたが、留意したのは神社の位置だ。ホテルから歩いて充分行ける範囲内にいくつかの神社がある。前日は大平さんの母校の国学院大学の博物館を案内してもらったが、ホテルは同大学から歩いて10分ほどのところにある。それで同大学の正門の前を南に下って神社に行くことにした。そうして回った24日午前中の神社は5か所で、全部写真に収めた。それらは2月から再開する神社シリーズに投稿する予定でいるので、今日は違う写真を使うが、「薔薇の肖像、その13」に書いたように、このクリスマス・イヴの午前中の散歩の間に撮った薔薇の写真はすでに使っている。その薔薇を見て5分ほど後に遭遇したのが今日の最初の写真だ。実は反対方向つまり写真の奥からこっちを見て撮った写真が最初に見た光景で、その写真がメインであるべきなのに、帰宅後に写っていないことがわかった。そういうこともあるかもしれないと思って予備的に撮ったのが今日の写真だが、どうにか筆者が撮りたかったものはわかる。1月半頃か、NHKのTV番組で東京都内に珍しい場所があることを知った。幅は10メートル近いのに奥行きが数十センチしかない自転車の修理屋だ。近所の人たちが不思議がっている店で、客はとても少ないが、わずかに贔屓にしている人があって、近くの新しい、そしてもっと安い店に行かずにわざわざその奇妙な形をした店にタイヤのパンクなどの修繕を頼みにやって来る。店主は60代後半だったか、眼鏡をかけた優しそうな人だ。店は小さいながら、電気を引いていて電話もあるし、また自転車の部品も揃っている。写真に見えるように椅子が4,5客あって、店主は出勤して来るとそれに座るし、また客にも奨める。この番組を見た時、場所は恵比寿と聞いたが、筆者はそこへは一度だけ写真美術館に行くためにJRの駅を何年か前に下りたことがあるだけで、土地勘は全くない。それでその珍しい自転車屋も見ることはないと思っていた。ところが、ホテルから国学院大学の前の坂道を神社目指してゆっくりと下りながら、大通りに出て北に向かおうとしたその瞬間、すぐ目の前に見なれた眺めがあるではないか。見慣れたと言ってもTVでのことだ。それでもすぐにわかった。全く予期せぬ朝の散歩中に気になった番組の自転車屋が目に現われ、こんな幸運はないと思ったと同時に、東京もえらく狭いと感じた。まだ9時少々なので店主は出勤しておらず、店は閉まったままで、またTV番組で紹介された時と違ってすぐ北側が工事中だ。それで2枚目に撮った今日の写真は振り返りざまに急いでシャッターを切ったが、その写真がうまく撮れているのに、ゆっくりと角度を決めて撮った写真がそうでないことになったのは、納得が行かないが、人生とはそういうものであるとも思う。
 その自転車屋がなぜそんな二次元のような薄い敷地になったか。TV番組ではそのことを紹介していた。自転車屋は元はもっと前が広かった。それが道路の拡張工事で立ち退きになった。その時、東京都は現在の自転車屋のわずかな敷地は買い取ることを拒んだ。店主はそれも一緒に売りたかったが、都としては不要なものは買いたくない。それで合計で2坪ほどの面積が残った。大半の土地を売った店主は億単位の金を手にした。それで何か新しい商売でもすべきだが、その辺りのことを店主は語りたがらない。どうやらギャンブルか何かでその金を失ったようだ。それでやれることと言えば自転車屋だ。結果残されたごくわずかな土地でまた商売をするようになった。そういう人生もあるのかと思わせられた番組だが、現在の店主は仕方がないという思いを抱えながらも顧客と話して楽しそうだ。億単位の金があってもそうした時間を得られるとは限らない。何か自分に出来ることがある人は幸福だ。たいていの人は金があればとの夢を見る。また、金があれば解決出来る問題は多いのは事実だ。だが、持っているだけでは役に立たない。有益に使ってこそで、またその有益ということがたいていの人にはわからない。妹から何年か前に聞いた話に、ある老婆が大金持ちで、正月に集った子や孫に100万円札の束をひとつずつ配るそうだ。それを妹は天晴だと言いたいような顔つきで語るが、筆者は何と下品な老婆かと思う。確かに自分の金であるし、また持ったまま死ねないから、子や孫に与えるのはわかるが、100万円の価値がわからない子には不要なものだ。それは益にはならず害になるだろう。一方、これは昔書いたことがあるが、家内の姉の旦那さんが50億だったか、とにかく大金を手にした。店を畳んだ時にそれだけの金となったのだ。だが、今まで見たことのない大金にほとんど気が狂い、数年でその金がすっかりなくなった。家内の兄から去年聞いたが、その兄は大金を手にした姉婿のお供をして大阪の北新地を飲み歩いた際、姉婿はホステスらに「わしを誰と思っ照るのか」と言いながら、50億の数字を刻印した通帳を見せ、そして100万円の札束をばら撒いたそうだ。何とも醜い話で、大金を得て人間が変わることのいい例だ。ま、金をもらったホステスはいい目をしたので、人助けをしたことになるが、家内は1円ももらっておらず、また却ってそれでよかったと筆者も思っている。あぶく銭は身につかずで、まともに働いて得た金の範囲内で暮らして行けばよい。話が脱線したが、渋谷の南東部は少しは歩いたのでどういう街並みかわかった。そのようにして東京に出るたびに少しずつ違う場所を歩けば、東京が身近に感じられるのではないかと思っている。今日の2枚目の写真は青線が24日の朝に歩いた道筋で、かなり迷った地域がある。そのことは神社シリーズで書く。泊まったホテルの位置は青線の右端上だ。
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by uuuzen | 2016-01-14 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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