●在野の干し柿作り
んでもなく高いと思うのはあまりにも庶民であるからだが、今日百貨店に東京行きのお土産を物色しに行った時に地下の果物売り場でびっくりした。



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果物はスーパーで買うのがもっぱらなので、百貨店できれいに包装されて売られているりんごやメロン、いちごや梨など、どれも筆者が思っている数倍の価格であることに一瞬目を疑った。そこには干し柿もあって、5,6個入って3000円以上していた。1個500円の干し柿で驚くのは庶民でも貧しい方だろうが、干し柿を作る手間を考えるとそのようになるのも納得出来る気もする。それに百貨店の商品は厳選された見栄えと味のよいものであるはずで、高級品だ。そこが百貨店とスーパーの違いということで、そういう違いがあってもよい。誰か偉い人が出て来て百貨店の高級な商品をけしからんと言って撤去されたとする。すると今度はスーパーで品質と価格の差別化が始まり、百貨店並みの高級スーパーが登場する。世の中は何でもランクがあるものだ。だが、百貨店で売られるものが、どれもスーパーよりも品質がいいとは限らない。それは幻想だ。百貨店は幻想を振りまくことで、またそういう幻想に酔いたい人があって成立している部分がある。つまり、名前の価値だ。それは信用ということだが、それがひとり歩きすると、時として勘違いがはなはだしいことになる。百貨店といえども、経営するのは人間で、働いている人も大半が庶民だ。だが、世間は百貨店の信用を買い、安物を売るスーパーはそれが少ないと思う。それで世間には肩書きというものが幅を利かすが、これも前述のように幻想であって、また肩書きを誇示する本人もそれに自惚れやすい。実体はたいしたことがないのに、肩書きで当人は守られ、本人も錯覚する。肩書きのない者をまるでろくでもないもののごとく見下す人も世間には多いが、それを笑っても仕方がない。世間とはそのようなもので、悔しければ肩書きを持てということだ。そうそう、これは少々話が外れるかもしれないが、ザッパ本をデザインした梅村さんは、ネットで「在野のザッパ研究家」と称している。これは笑えた。本人に意味を訊いていないが、「在野」というのが面白い。ザッパは在野の音楽家であったから、それに合わせた表現だろうが、では在野ではない研究家は日本にいるのだろうか。そこで思い当たることがある。何年か前だが、早稲田だったか、そこの講師や教授かが、ザッパの音楽を学生にそれなりに教えていることを知った。学校の授業ではないかもしれないが、大学で肩書きのある人物がザッパ学をやるというのは、それは在野ではない。ザッパもついにアカデミックな学問分野に格上げになったようだ。そして一旦そうなると、筆者のような肩書きのない者の意見は屑のように扱われるだろう。ザッパがそれを喜ぶかどうかは別の問題だが、それも仕方のない話だ。また、梅村さんの「研究家」という言葉も笑えるのは、筆者はとてもそう自称出来ないからだ。それに単なる愛好家で充分だ。ザッパを研究するとは楽譜の一音符ずつを吟味するほどでなければならないと筆者は思っているが、とてもそういう能力はない。
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 それに筆者はどんな関心事にも研究家を自称する勇気はない。家内は筆者のことを広く浅いと言うが、全くそのとおりだろう。それに広くもなく、狭く浅いだ。何を知っているのかと自問すると、自分のこともさしてわからないほどで、それで気づけば還暦を超えているではないか。人生は光のように早い。またこんなことを言うのは決まって老人で、そのことに気づくほどに実際老人になっている。それに、今日の話題で言えば、干し柿を自分で作るなど、まるっきりの老人の趣味だ。そして思うのは、百貨店で1個500円ほどで売られる立派な干し柿の見栄えだ。それを見れば筆者が作るのはおそらく同じ材料なのに、なぜしわくちゃの老婆にしか見えない、見栄えの悪さなのかと思う。さすが百貨店に卸す商品はそれなりの専門家が作ったもので、高級商品となるのはわかる。前に書いたことがあるが、筆者は秋になると出回る中国産の干し柿を昔からよく買う。だが、ここ3,4年はぱたりと買わなくなった。中国産の食べ物が危ないという理由からではない。もう飽きたのだ。その味を思い浮かべただけで食べた気になれる。それに中国産とはいえ、昔より高くなっている。それでも干し柿好きの筆者はそれを食べたいから、干し柿のシーズンになると、ついつい目が行く。3年前は妹が割合に高価なものを買ってくれたが、それは自分ではまず買わない価格のもので、筆者にはもったいない気がした。そしてその高価な干し柿を食べた後、ひょっとすれば自分で作れるのではないかと思った。それで去年はネットで干し柿用の渋柿を買って自分で作った。今日の最初の2枚の写真がそれだ。写真では1個のサイズがわかりにくいが、マグカップほどの馬鹿でかいもので、皮を包丁で剥く際に左手に持つと、指が当然回り切れず、思わず落としそうになる。それほど大きな渋柿なので、それなりに高い。送料を含めればもっとそうなるが、スーパーで買う半額以下だ。スーパーでもごく一時期に同じ渋柿を売るが、たいてい4、5個だ。個人で趣味で作るにはそれほどでよいとの考えだが、それではさびしい。同じ手間をかけるには10数個でも少ない。それでと言うのではないが、今年は3枚目の写真にあるように、30個ほど箱で買った。10キロ入りだ。送料込みで2000円ほどで、1個70円ほどだ。これが段ボール箱で届られた時、一番底のしかも中央の1個が液体になって箱の内部をドロドロにしていた。家内に言わせると、箱を乱暴に扱ったからだ。確かにそうかもしれないが、証拠はない。その溶けた1個の隣りに半分溶けたものがあった。それが写真左上端のもので、その半分のまま吊るして干した。また溶けた半分を舐めると甘く、液体状になったものを全部すすったが、最後に渋が残っていて、その刺激が長く舌に残った。崩れた1個半はもったいないが、残りを量ってみると、ちょうど10キロあって、業者は1,2個は多めに入れたのだ。それで文句を言うのはやめにした。それにしても有名な宅配業者であるのに、その現実は手荒いということも多少わかった。
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 皮を剥き、紐にくくりつけ、その状態で熱湯に数秒漬けるのは全部筆者の仕事だ。家内は干し柿があまり好きでなく、ほとんど全部を筆者が食べるから、干し柿作りは家内は手伝わない。干している間に雨に濡れれば黴が生えて来て失敗するので、絶えず雨が降らないかどうかを心配する必要がある。食べられるまでは2週間かかるが、今年は暖冬で、陽気に誘われた小蝿が飛来した。紐にくくりつけている蔕の部分から、1週間目くらいに柿を揉んだ時に内部の汁が溢れ出て、その匂いに誘われてやって来る。暖冬であるから早く乾燥するかと言えば、そうでもない。2週間で食べ頃になりはしたが、まだ内部は生のような感触だ。それにわずかだが、凹んだ箇所は乾燥しにくく、白い黴が生えて来た。ティッシュで簡単に拭えるが、冬らしからぬ天気はどうやら干し柿作りには向いていないことがわかった。去年よりかなり仕上がりが悪く、また味ももうひとつだ。特に蔕近い部分は酸っぱく、これは半ば腐っているのかもしれない。そこは判断が難しい。雑菌と発酵菌が同居し、醗酵菌が勝っていると思う。そう考えて蔕に近い箇所も食べる。だが、今日見て来た百貨店の高級干し柿を思い出すと、大きさは同じほど、つまりマグカップほどの巨大な渋柿で作っているのに、なぜ見栄えが全く違うのだろう。筆者のは粉が吹かず、全体に湿った感じがする。雨に濡れないように気をつけ、眠っている間に雨が降る天気予報があると、全部部屋の中に移動するほどていねいにしたが、家内は部屋に吊るしている柿の匂いが妙におかしいとうるさく、多少雑菌が混ざりながら半乾きになって行ったようだ。そこで思ったのはまた価格で、1個500円ではなく、筆者のは70円プラス筆者の手間だ。その手間というのが世間では金に換算される。筆者は趣味で、また自分で食べるために作っているので、手間はいくらでもかけられる。だが、干し柿作りをしている人たちはそれで子どもを学校に行かせ、車を運転し、米を買わねばならない。そのため、無料で庭で収穫出来る渋柿が、百貨店では1個500円になる。だが、作り手が得るのは100円ほどか。そう考えると、儲けるのは名前の価値のある百貨店ばかりだ。それに百貨店は、『売ってやっているんだから、ありがたく思え』と内心思っているかもしれない。1個500円の干し柿を食べてみたくないと言えば嘘になるが、自分で作ったものは楽しい。自分の手で皮を剥き、吊るし、柔らかくなるように揉んだという記憶がいい。毎年作っても筆者の年齢では干し柿作りの権威になれるはずがない。いつまでも拙い在野だ。だが、干し柿は野にあるもので、百貨店の地下の食品売り場の片隅で豪華な箱に入って5,6個で3000円台といった権威のあるものにするのは何だか変だ。在野の干し柿愛好家はそう思っています。
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by uuuzen | 2015-12-20 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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