開いていたものが閉じてしまうのかと、いささか心配になった。ザッパ・ファミリーのホームページだ。先日の投稿で『200モーテルズ組曲』が届いたと書いたところ、アメリカの大西さんから珍しくも文章つきのメールが届いた。
大西さんはザッパの新譜発売予定はザッパ・ファミリーのホームページでチェックしているようで、『200モーテルズ組曲』の発売は全く気づかなかったという。筆者はアマゾンもよくチェックする。そこにいつだったか、本作の発売予告が出た。すぐに予約注文したが、11月下旬になると、在庫もない状態となっていた。しかもこちらには届かず、いったいいつ頃届くかと思っていると、アマゾンにしてはいつもとやや違って、発売準備が整った、今日発送する、今日発送したという、逐一報告するメールが届いた。しかも届いた後は梱包はどうであったかとアンケートのメールまで届き、これは本作に限ってのことか、あまりに念入りなことに驚いた。ともかく無事届いたが、ザッパ・ファミリーのホームページにはなかなか本作についての告知がない。それが今朝やっとアップされた。11月30日づけなので、その日がいちおう発売日のつもりなのだろうが、こっちはもう10日ほどになるか、とっくに手にしている。なぜこういうことが起こったかと言えば、ゲイルは生きている間にしっかりした大手のレコード会社と手を結ぶのが得策と考えたようで、ユニヴァーサル・ミュージックから新譜も含めて発売するようにした。その第1弾が本作で、裏ジャケットにザッパの髭マーク、バーキング・パンプキン、そしてZAPPAの文字ロゴの右にUMeのロゴが印刷されている。つまり、いつものように通販ではなく、ユニヴァーサルを通じての発売で、アマゾンが予約を受けつけた。今後の新譜もこのようになるのかどうかはわからない。『ダンス・ミー・ジス』は通販オンリーであるので、アルバムごとの契約かもしれない。それはともかく、ユニヴァーサルが発売するのであれば、本作は解説つきの日本盤が出るかとの期待もあるが、それはないだろう。そこにはザッパ・ファミリーとの契約があるはずで、全世界同じものを今後も売ると思う。ただしDVDは販路が違い、それで『ロキシー・ザ・ムーヴィー』はヤマハ・エンタテインメントが発売の権利を得た。ところが、公式アルバム102であるはずの『ロキシー・ザ・ムーヴィー・ザ・サウンドトラック』はたぶん2枚組になり、しかもユニヴァーサルが発売するはずだが、その1枚はDVDの『ロキシー・ザ・ムーヴィー』に付属したから、ちょっと事情は複雑だ。
さて、昨日載せた写真は、上の赤色表紙のブックレットとディスクは1997年に発売されたCD『200モーテルズ』のもので、下のオレンジ色のジャケットが本作だ。つまり、本作は明らかに『200モーテルズ』の装丁を意識している。それはタイトルの文字にも言える。71年の『200 MOTELS』の文字は下が溶けていた。本作は同じ書体を使いながら、溶けていない。この文字を描いたのは『200 MOTELS』のジャケットやポスターのイラストを描いた画家の手になるものと思うが、いわばそれをパクッた本作の題名の文字は、著作権侵害の観点ではぎりぎり問題になるかならないものだが、ま、そこまで細かいことを言うものはいないとの判断と、また画家からザッパは権利を買っているはずで、どう改作しようが自由なのだろう。ともかく、オリジナルの『200モーテルズ』に準拠した本作のデザインは素っ気ない反面、統一感があってよい。よく見ると、表紙のオレンジ色は何かの写真で、これはすぐにわかったが、ザッパが200軒以上泊まって持ち帰った部屋の鍵のコレクションだ。これは『ビート・ザ・ブーツ』の「スクラップブック」の表紙をめくったところに全面に印刷される。全く同じ写真ではなさそうだが、同じ趣向だ。そしてこのジャケットについては「オリジナル・アート・バイ・スティーヴ・ヴァイ」とのクレジットがあるが、先の「スクラップブック」の鍵コレクションの写真もヴァイのものと筆者はてっきり記憶していたが、先ほどその「スクラップブック」をようやく探し当てて確認すると、そのことがどこにも書かれていない。しかも最後のページに「‘200’MOTEL KEYS PHOTO‘D BY GEOFF AND DIVA」とあるではないか。では筆者はどこでヴァイのコレクションだと知ったのだろう。なお、この200個の鍵と、映画『200モーテルズ』に使われた台本、そして本作の手書きのフル・スコア、そして『200モーテルズ』のLPを海外のオークションに出している人物が外国にいる。数年前から売れていないようで、価格は1165ドルで、そんなに高くない。手書きの総譜つきとはどういうことかと思うが、たぶん全部手書きではなく、大部分は印刷だろう。ザッパは映画『200モーテルズ』を撮る時にオーケストラを雇った。100人は優にいたから、彼らの誰かから譲り受けた人物が放出したいのだろう。モーテルの鍵はどこにでもあるもので、200個を集めるくらい簡単なことだろう。映画の台本もそれなりにたくさんあるはずで、1165ドルは妥当な価格かもしれない。ザッパのサインでもあれば安い。