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●倉敷美観地区、その2
しいものに人は群がる。だが、誰にとっても未知なものは無数にあり、それを珍しいと思えばいつでも関心を抱くことが出来るので、世間が騒ぐことにことさら関心を持たなくてよい。



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そのように考えるのはだいたいが老人で、少年時代にそうであればあいつか変わっていると今ではいじめられる。みんなと一緒が大切で、同じものを食べ、同じ服を着、同じゲームで遊んで、同じような顔つきになる。そしてそういう連中からは天才が生まれるはずがなく、やがて国は萎んで行くが、そうなればなったで、また危機感を抱く者が現われて画一主義をぶち壊すから、真剣に考える必要はない。さて、倉敷の美観地区は今うるさい地方創生の合言葉が出て来る前に現在と同じように家並みが整っていたのではないだろうか。倉敷の歴代市長が偉いのか、地元住民の意識が高いのか、美観地区が現在の姿になって来た、あるいは保たれて来た歴史についての本があるのだろう。別に心配はしていないが、嵐山や嵯峨の人気ぶりが倉敷にも多少は及んでいるはずで、筆者らが行った時も中国語が盛んに飛び交っていた。これは聞いた話だが、京都の天龍寺前の商店街は近年地元の商人が経営するのではなく、東京など他府県の人たちが商売をしているケースが増加しているそうだ。彼らは地元の商店組合に加入はするだろうが、昔から経営している人たちとは違って、地元を愛するという考えはやはり低いだろう。愛するから店を経営するが、それは儲かるからであって、そうでなくなればさっさと権利を売り払って別の儲かる場所を探す。それと同じことが倉敷の美観地区にもおそらく見られるようになって来ているだろう。それでも地元にたくさん客が来てお金を使ってくれるのであれば、役所も歓迎で、つごうの悪いことは何もない。だが、ブームがいつまで続くか、またそれが終わった後、どういうことが待っているかを考えておく方がよい。これは筆者の考えではなく、嵐山で昔から商売をしている人の話だ。彼らは大きな商売に打って出るということをしない。ブームに乗って借金をして営業形態を変えれば、確かに短期間に儲かるだろうが、そのブームがいつまで続くかわからない。
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 10年近く前か、雪の季節に家内と鳥取、島根のパック・ツアーに行った。ティファニーのガラス製品を展示した大きな建物があって、植物園の温室が併設されていた。なかなか広々としてムードもよかったが、筆者らが出かけた2,3年後に来場者が激減したため、ガラスの作品を持っていた会社がそれを引き上げることにした。このことは前に書いたが、今は名古屋辺りで展示しているのではなかったか。せっかくの他府県からの観光客誘致に一役買ったのに、ブームが下火になればさっさと撤退で、美術品を持たない小さな町の悲しさだ。その点、倉敷は大原美術館という貫禄が控えていて、先見の明があった。大金を出せばどのような美術品でも購入出来るようなものだが、その大金に見合う経済効果を考えるようでは駄目だ。今の金持ちは美術に関心はないし、あっても買った作品でどれだけ儲けるかをまず考える。ティファーのガラス作品の所有者もその部類だろう。倉敷の美観地区でパフェを食べた店の2階にはガレの作品が10数個並べてあったが、それを売りにしているのではなく、また客の中でガレだとわかって気分よくする人は10人にひとりもないはずだ。その普通にガレを置いていますよというさりげなさが店の風格を感じさせるが、ガレは金の塊に見えて、店主の趣味がさほどいいとは思わない。ガレならほかのところでもたくさん持っているところがあるからだ。だが、倉敷に大きく関係する郷土の作家の作品を置いてもさらに客はわからないから、どうせなら雑誌にも決まって掲載されるようなガレがいいということなのだろう。そこに日本の文化度の貧しさがある。そういうことを感じながらパフェをすぐに食べ終え、筆者はガレの作品を鑑賞する気持ちで見なかった。つまり一瞥で終わりだ。前にも書いたが、川を挟んでナマコ壁の建物が点在する倉敷の美観地区は、ふと京都の伏見を思い出させる。中書島から大手筋商店街に至るまでの川沿いとよく似ているが、倉敷の美観地区のような造り物めいた雰囲気はない。そこがよい。歴史の違いという言うべきか、京都の貫禄勝ちと言うべきか。あるいは普通の市民が普通に生活する地域を好む筆者がそう思っているだけで、倉敷の方が圧倒的に美しいと感じる人も多いだろう。今回の倉敷行きは、パフェを食べれば美観地区をすぐに出たかった。そう思わせる居心地の悪さがあったが、きっとすぐにそこを後にする観光客であることを感じさせられたからだ。絵はがきのような町とはそういうもので、京都の伏見は絵はがきにはならない。今日の最初の写真は大原美術館だが、筆者が目に留めたのは蔦だ。これは別のカテゴリーで使うつもりであったが、今日載せる。
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by uuuzen | 2015-11-03 23:59 | ●新・嵐山だより
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