●飛び出しボーヤ、その26
かると借りるは同じではないが、どちらにしても長い間返さなければ自分の物になる場合がある。返してほしい物であれば相手が返す気がないようでも定期的に請求すべきと何かで読んだことがあるが、貸したことをいつの間に忘れてしまうことがある。



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預かる、借りる場合でもそういうことがあり、返さないままに相手が死んでしまい、かといってその物はもう時代遅れで価値はほとんどない。それはさておき、預かった、借りたものは返すのは当然として、元の状態でそうするのが常識だ。だが、たくさんの人に借りられると、傷みが激しくなって行く。図書館の本やCD、DVDはそうだ。今日は2週間と1日ぶりに家内と自転車で右京中央図書館に行った。怪しい空で、途中で雨が降ると困るので、傘を持って行ったが、降らずに済んだ。図書館で本とDVDを返し、また新たにDVDを借りて、2週間と1日前とほぼ同じ道をたどって梅図のトモイチまで行った。買い物をたくさんして自転車の前の籠にそれらをふたつに分けて入れた後、家内がし忘れた買い物を思い出し、また中に入って行った。筆者は自転車のところで5分ほど待ったが、ずっと西北の嵐山方面を見つめていた。真っ黒な雲がむくむくやって来て、今にも雷雨になりそうだ。墨流しをしたようなと言うと平凡な形容だが、そのとおりの空だ。雲の上に大きな人がいて、空という水に墨を垂らし、それが模様を描いて行くのを眺めている様子を想像しながら、形を変えて急速に移動して行くその黒い雲を凝視し続けた。そのようなことはほとんど初めてだ。白い雲が風で流れて行く様子は毎年見るが、地上から500メートルほどかと思える間近な黒い雲がのた打ちながら移動して行く様子に別な面白さを感じた。筆者が睨んでいたせいか、墨色は希釈され、雷が轟く心配は家内が出て来る頃にはなくなった。その5分の間、5歳くらいの男子を連れた眼鏡をかけた母親が、黒い雲に激しい雨を予想し、「(雨が)やって来るな」と後ろに座らせた息子に話しかけながら急いで立ち去った。厳密に言えば、その親子が立ち去ろうとする直前、筆者と家内の自転車のサドルに直径3ミリほどの雨粒がふたつずつ付着した。大粒の雨を予想したのに、黒い雲はたっぷりと水分を抱えながら消え去った。それはさておき、2週間と1日というのは、昨日の返却日が大雨で出かける気になれなかった。返却カウンターで筆者の順番が回って来た時、司書の女性にそのことを正直に言うと、「雨で本も濡れますしね」などと笑顔で許してもらえた。1日でも遅れるとその日は借りられないことが以前はあったが、司書の采配に任されているのだろう。2週間と1日前、筆者は予約していた本を収納するのにふさわしい袋ないし包みをどうしようかと迷い、最近ドイツから空輸で買った時に使用されていた厚紙の封筒を持って行くことにした。同じものは日本でもあるが、ドイツのその封筒はかなり大きく頑丈だ。筆者の自転車の前籠は底の金網の一部が破れていて、単行本はその重みで小口が傷む。プチプチをたくさん持っているので、それを敷いてもいいが、面倒だ。それで本の空輸で使われた厚紙封筒なら、その周囲が折れたりするだけで、中の本は安全と考えた。そのとおりで、今日もそれに本とDVDを入れて返却しに行き、借りたDVDをまたそれに入れた。雨の場合は紙であるので中の本に影響を及ぼしかねないが、たぶん雨は降らないだろうと思って傘は小さなものを家内だけがサドルの後ろに刺した。この輸送用の厚紙封筒を前籠に入れるには斜めにしなければならず、角が折れるが、ていねいに扱えば数か月は使えるだろう。借りた本をそのままの状態で返すという心がけをどのくらいの人がしているのか知らないが、それは筆者にはどうでもいいことで、借りたものはきれに扱って返したい。
d0053294_119677.jpg 図書館からの帰りは、往路とは違う道をたどる。往路は三条通りを東へ進み、帰路は図書館から斜めに走って四条通りの梅津に出る。その道筋はいくつかあって、今日はまた初めての道をわずかだが走った。家内が筆者とともに自転車で右京中央図書館から梅津に向かうのは今日が4回目だと思う。まだどの方向に走っているのかわからないようで、それはそれで楽しそうだ。知らない道を行くのはいつでもちょっとした旅行気分だ。さて、今日の投稿はどうしようかと思ったが、2週間と1日前はカメラを持って行かず、せっかく初めて見かけた「飛び出しボーヤ」の看板を撮影し損なった。そのことを覚えていれば今日は持って出かけたのに、すっかり忘れていて、2週間と1日前に見かけた「飛び出しボーヤ」の看板の近くまで来た時に、カメラを持って来るべきことを思い出した。それに今日は前述のように初めて通る多少の道があって、そこにも「飛び出しボーヤ」をふたり見つけた。だが、2週間後に今日と同じ道を走ることが出来るかどうか、あまり自信がない。ま、そのようなことで、今日は3月以来3か月ぶりに「飛び出しボーヤ」の写真を載せる。それにはもうひとつの理由がある。それをこの段落に書くと、昨夜筆者は急に家内と3年前に東尋坊を訪れた時のことを思い出し、GOOGLEのストリート・ヴューで調べることにした。何をかと言えば、三国港駅から東尋坊まで歩いた時に見かけた一風変わった住宅の飾りだ。そのことは「東尋坊にて、その2」に書いただろうか。少しでも道のりを短縮するために、荒磯亭という岬の角にある料理屋の前を通らず、手前の階段を上って丘を斜めに横切り、そしてその料理屋を越えた地点に下りることにした。確か階段の上り口にその付近の住宅地図の看板があって、三角形の二辺を歩かず、一辺を歩いてショートカット出来ることを知った。そのことは「その2」に書いたと思う。そのようにして歩いてわずかだが道のりを短縮し、また海岸べりを歩き始めたが、300メートルほど行くと、右手にブロック塀があって、そのてっぺんに陶製の人形や壺のようなオブジェがびっしりと並べられていた。その写真は民家でもあるので撮影しなかったが、とても気になり、東尋坊を見た後、バスで三国港駅まで行く途中、車窓からまたそのオブジェの列を確認した。帰宅後ストリート・ヴューを見ると、まだ福井県は載せられていなかった。昨夜は理由がわからないが、急にそのオブジェを確認したくなり、ストリート・ヴューを見ると、海岸沿いの道は見られるようになっていて、筆者らが上り下りした荒磯亭付近の石段はもちろん、そのブロック塀も確認出来た。2012年8月に画像取得となっているから、筆者らが訪れた1か月前の撮影だ。そのブロック塀上のオブジェの列の写真を今日は載せようかと思いながら、やはり個人の家であるので躊躇し、文章だけにしておく。「その2」から剽窃ではなく引用すると、『そこを歩いたのは石段の上り下りを除くとほんの20秒ほどだ。そのわずかな時間が強く印象に残った。旅は意外な出会いがある。名所旧跡よりもかえってそんな名のない場所の方が意味もなく心に残る。予期しなかった出会いであるからだ』とあって、今日見かけた「飛び出しボーヤ」もそうだ。他人にはどうでもいいことだが、誰でも自分の「出会い」の経験をあたかも大切なもののように思う。人生は人に限らず出会いだ。その意味で筆者には東尋坊の民家のブロック塀上のオブジェの列や、手描きの飛び出しボーヤの看板といった目に留まるものは人生を面白くする経験で、それで今日は「飛び出しボーヤ」の写真を使うことを思いついた。それで今日はストリート・ヴューで今日載せる3枚目の写真の「飛び出しボーヤ」を確認した。2年前の今頃に撮ったものだが、その看板は道を歩いていて見かけたものではない。瀬田駅前から美術館まで往復歩くことをこれまで二度行なったが、長い一本道沿いに何体か見かけた以外に、その道と直角に交わる住宅地への道の遠くに、「飛び出しボーヤ」の看板を見つけ、その二度目にそこまで歩くことにした。つまり、寄り道だ。そこまでして「飛び出しボーヤ」を撮影するのはめったにない。その特別な例であるので、3枚目の写真はそれなりに思い入れがある。それでストリート・ヴューで確認した。それが4枚目で、この写真は少しマウスを動かすだけで3枚の別の日に撮影した写真に切り変わる。その中で筆者が最も気に入ったものを選んだが、それは朝日によって「飛び出しボーヤ」の影が地面に落ちているもので、「飛び出しボーヤ」そのものが小さくて目立たないことをどうにか助けている。
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 美術館までの一本道の中ほどにこの2体の看板が設置される区画に続く道があって、看板まで200メートルはあるだろうか。かなり離れているのに、また視力が弱いのに「飛び出しボーヤ」だとわかったのは、遠目にも目立つからで、デザインが優れている。4枚目の写真の右端奥の突き当りが一本道で、そこから筆者はこの看板の前まで下って来た。美術館からの帰りに行ってみようと思ってそうしたが、3枚目の写真からわかるように、「飛び出しボーヤ」に西日が当たっていて、5時頃であったと思う。200メートル離れて筆者が見ていたのは、右側のもので、それがすぐ近くにもうひとつあることに驚いた。新しく出来た住宅地で、みな比較的大きな家だ。どういう理由か、写真のように道路に挟まれて三角形の土地があり、そこはゴミ出しの場に利用されながら、三方のどこからでも「飛び出しボーヤ」が遠くか見えるように設置されている。ともかく、「飛び出しボーヤ」が見えなければ絶対に踏み込まない場所で、一本道に戻る時は途中でまた別の区画に入り込んだ。その時の記憶はそれなりに楽しいものとなっている。それもひとりであったからで、家内と一緒では嫌な顔をされたことが印象に強く残る。さて、今日の最初の写真は千本中立売を東に入ったところのパチンコ屋の裏手で見かけた。よく見かけるタイプのものを印刷してあって、これは初めて遭遇した。同じ「飛び出しボーヤ」でも、設置される家並みは4枚目とかなり違う。だが筆者はこの狭い京都の西陣界隈の方を好む。2枚目は5月に不退寺に行った後、山沿いの道を歩きながら思い出して撮った。この看板の反対側は去年5月に撮影し、「その18」の最初に載せた。同じデザインだが、「その18」は日陰で、今回は日が当たり、細部がよりわかる。実はこの看板を撮ったのは別の理由があるが、それはいずれ書く。「飛び出しボーヤ」のシリーズはもうそろそろ終えようかと思っている。それが3か月も空いた理由でもある。新たに見かけるものが少なくなっているからだが、先に書いたように今日は3つほど見かけた。それに上桂にまだ撮影していないのが10はある。そられはもう惰性で撮るようなところがあり、『予期しなかった出会いである』と言えるほどのものではない。それを求めるには行動範囲を大きくしなければならないが、旅行をほとんどしない筆者は『予期せぬ出会い』は卑近なことに限られる。そのうえ、予期せぬ面白くないことが多く、そのことに文章が染まりがちだ。このブログは別に誰かから義務として預けられているものではないが、毎日書くと決めているからには、そう言ってもよい。そしてその義務を果たして返すならば、きれいな状態であるべきで、腹立ちをぶち撒けるようなことではよくない。それはわかっているが、人生には急に飛び出す事故のような厄介事がしばしばある。「飛び出しボーヤ」はその暗示で、また対処の仕方を示している。
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by uuuzen | 2015-06-27 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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