●鳥羽の藤、その1
は花房が垂れるので運気が下がる縁起のよくない花だと家内は言う。昔の人はみなそう言ったようで、筆者の世代では物心ついた頃にそのことを聞き知る。



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これは藤が花の中では嫌われものに属するからではないか。山辺で藤が大きな木に絡みついて咲いている様子を見かけることがよくある。人間と同じで絡まれた方は迷惑だ。藤は昨日写真を載せた蔦と同じように蔓性だ。蔦は壁面を覆うのでまだよいが、藤は花房が垂れるので、鑑賞するには普通は蔓が絡まって行くように水平な棚を作る。山に自生する場合はその棚の役割を他の樹木が担うが、その樹木には陽射しが当たりにくくなる。他に迷惑をかける藤であるところから、下がり藤などと縁起のよくない植物と言われるようになったのではないか。それでも花は美しいし、香もいいので、雑草のように嫌悪されることがない。その点、藤はちゃっかり者、したたか者で、生きる術をとてもよく心得ている。人間で言えば芸能人みたいなものか。以前書いたように、10年ほど前か、藤の苗木を家内がどこかからもらって来て、それをわが家の裏庭の片隅に植えた。毎年蔓が伸びて葉をたくさん繁茂させるが、ちょうど他の植物もぐんぐん成長する時期で、せっかく伸びたその藤もどんどん剪定される。そのため、いつまで経っても背丈ほどにもならない。去年だったか、ついにほとんど引き抜いたも同然なほどに、ばっさりと切ってしまった。それが藤であることも忘れていたほどで、それほど家内はもらって来たにもかかわらず、藤を大きく育てることを嫌がった。ところが、もうなくなったかに見えた藤はまだ健在で、それが今年も蔓を伸ばし、葉をたくさんつけ始めた。以前書いたように、晩秋に掘り起こして大きな鉢に植え代えてやろうと思っている。鉢植えの藤をたまに見かけると、ちょっとした大きな盆栽に見える。絡まるものがないので、幹を太くし、短い数本の枝に花房を数個つける。いわば自立の姿で、他者に絡まって生きていない姿なので、それで印象に強い。だが、藤にすれば絡まるものがほしいはずで、鉢植えはいわば「BORN IN A PRISON」状態で、迷惑な話だ。とはいえ、面積が小さいのにそれなりにたくさんの植物が密集して生きている裏庭であれば、藤が育つ余裕は全くない。鉢植えで独立させてやる方が日光も栄養も生き届いていいだろう。昨日のTVで、「上り藤」の映像が紹介されていた。ルピナスだ。この花は比較的珍しい。筆者が知ったのは20歳頃で、図鑑で見た後、植物園で接した。洋花で、花の色は藤とは違って豊富だ。それが少し暑苦しい。藤の花房を逆さにした形で、他の植物に絡まる必要がなく、自立しているので、育てるのは藤より簡単だろう。藤は蔦のようにどこまでの蔓を伸ばして大きくなって行く。その性質を利用して藤棚が作られる。そう言えば筆者が藤棚を最初に見たのは小学校の校庭の片隅だ。プールとしてかつては使っていた縦横10メートルほどのコンクリートの水槽があって、その上部に藤棚があった。水槽は水が抜かれていて、防火用水にもなっていなかったが、取り壊されなかったのは、藤棚があったからではないか。藤はクレヨンの藤色で小学生に入る頃には誰でもその名前を覚えるが、実際の藤の花を意識して見るにはそれが咲いている場所に行かねばならない。どの小学校にも藤棚があるとは限らず、その点筆者は藤の花を早くから知ったと言えるかもしれない。それでも校庭の片隅の藤棚に咲く花を何とはなしに意識したのは高学年になってからで、また花の寿命は短いので、「ああ、咲いているな」と感じる程度で、間近でしげしげと鑑賞するのとは違った。小学生で花をそのように観察するのは珍しいだろう。花は子どもが遊び回る様子を見ているが、子どもはその花をほとんど意識しない。
d0053294_129347.jpg 昨日は新緑の蔦の写真を載せた。その関連で京都鳥羽水環境保全センターにて4月下旬に一般公開された「鳥羽の藤」の写真を今日は載せておく。今日は真夏日の暑さで、今頃藤の写真を載せると季節外れであろうが、まだ5月なのでどうにか許容範囲と考える。「隣り合う赤と白、アゲイン」に書いたように、4月28日に家内と自転車で「鳥羽の藤」を見に行った。何年も前からいつか行きたいと思いながら、今年は自治会の掲示板にポスターを見てついに行くことにした。ゴールデン・ウィークに遠出しない代わりに、近場で行ったことのない場所を訪れるのもいいかと思ったのだ。梅津に住む従姉のご主人が去年あたりから自転車で伏見方面に何度か出かけ、最近は宇治近くまで行くらしい。70代半ばにしてはとても元気だ。そのことを聞いていたので、自転車道路を使って伏見近くまでまず行ってみるには、まず手初めに「鳥羽の藤」がちょうどよい機会と考えた。筆者の自転車は去年従姉のご主人から2000円で譲ってもらったものだが、まだまだ使える。捨てられていたものを、近所の器用なおじさんが修理してその程度の値段で売っているのだ。家内が乗る自転車はもう6,7年経つか、梅津のムーギョの手前にあった自転車から中古で買った。当時3000円か5000円で、元はいい品種らしいが、もう廃品でもそこまで古くはないというほどで、ペダルを漕ぐたびに変な音がする。家内は当然毎回文句を言うが、その音が前を歩く人によく聞こえ、自然と道を開けてくれる。自転車は中古で充分だ。新品はすぐに盗難に遭う。筆者も何台盗まれたかわからない。ともかく、ほぼゴミと言ってよいボロ自転車を連ねて、初めて走る自転車道路を南へと向かった。ただし、途中でそれらしき道路がなく、真横をダンプが何台も走り去る時は縮み上がった。向こうもそう思っていたろう。桂離宮前からずっと右岸を走ったが、その手前の五条通りに架かる西大橋から下流は左岸に自転車道路があることを帰宅後に知った。右岸の車道では歩道として白線で区切られている部分は幅が50センチほどか、ハンドル操作を間違えば、左下の土手の坂を転がり落ちるか、右すれすれを走る車に巻き込まれる。そのような思いをして久世橋に至り、それを越えて次の端まで行き、それをわたって鳥羽水環境保全センターの北西角に至った。橋の名前は調べてもわからない。「久我井堰」と呼ばれている場所にある橋で、まだ新しい。嵐山に住んでいると、その付近の殺風景な様子には馴染みにくいが、野鳥が多く観察出来るらしく、それだけ自然が残されている。その堰の橋をわたって600メートルほどで四辻に至り、その信号を南下して300メートルで「鳥羽の藤」を見るために出入りする門に至る。今地図を確認すると、そこから南東1キロに城南宮がある。城南宮まで嵐山からバスを利用すると、京都駅まで一旦出て、乗り換えて南下せねばならず、1時間半は優にかかる。自転車ではその半分で済むし、無料だ。城南宮を再訪する予定はないが、次回は自転車がいいかもしれない。さて、「鳥羽の藤」は、場内でもらったパンフレットによれば、975平米の公開エリアに3品種37本が植えられている。少ないようだが、1本で枝を四方に広げ、毎年それが伸びる。1本当たり26平米の計算で、これは約5×5メートルの面積だ。藤棚の幅がだいたい2メートルとずれば13メートルの長さになるが、妥当ではないだろうか。あるいはこの公開エリアというのは、人が自由に散策出来る場所も含むかもしれないが、そうだとすれば、1本の藤が占める面積は975平米の数分の1となって、実情に合わない。当日は大勢の人出で、そのことが写真からわかると思う。年配者が多く、また老人ホームから団体が訪れていて、車椅子に乗った無表情な高齢者を何人も目にした。せっかくきれいな花が満開であるのに、それに目を向けず、真正面の空を見つめていて、笑顔でいる若い引率者たちとはあまりに対照的であった。なるべく人を写さないように心がけたが、ひとりも写さないでは臨場感が失せて面白くない。門を入ってすぐ南に向かって藤棚が続いていて、最初の写真はその最初、つまり北の端だ。右下に見えるピンク色の芝桜をまで行って撮ったのが2枚目で、3枚目はまた藤棚の下に潜った。画像加工で少し赤味を増しているが、そのことで実際の雰囲気に近づいた。これほどの藤棚は小さな庭では全く無理な話で、「鳥羽の藤」が人気があるのはそれが理由でもあるだろう。放っておいても育つのか、それとも肥料を与えたり、蔓を棚に絡みやすいように手入れをしたり、それなりに専門家の手が必要なのか、その説明書きはなかった。
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by uuuzen | 2015-05-26 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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